夏だ!川だ!~三千人感謝~

三千人目のお客様が、当サイトをご訪問くださいました。
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管理人はもちろん、この世界の住人皆で、心から御礼申し上げます。


……って、皆さん(鬼+主人公s)今回は、河原でバーベキューしてます。

月讀さんのお財布事情を慮ってなのか

はたまた

前回、朝までお座敷を占拠したために、お店から出入り禁止を言い渡されてしまったのか

詳しい事情は定かではありませんが。

 * * *


「熱っっ!」

瑠璃は、慌てて引っ込めた自分の手を恐る恐る見つめる。

「すぐに冷やした方がよい」

珍しく慌てた様子で駆け寄った無月は、彼女の手をとると、火傷を負った箇所に手をかざしながら何やら唱えた。


慣れた手つきで肉や野菜を焼きながら、心配そうに彼らを眺めていたはるかが、感心したようにつぶやく。

「水か氷か……具現化する形や大きさも、ちゃんとコントロール出来るんだ……さすが無月」

「コン……?とは何のことだ?初めて聞く言葉だが」

無月の言葉を受けて、瑠璃が返す。

「うまい具合いに調整する……ってこと。私も、もっと水練がんばらなくちゃ」


「その前に、おっちょこちょいを直した方がよくないか?しょっちゅうおまえに怪我やら火傷やらをこさえられたら、こっちの心臓がもたない」

いつの間にか瑠璃の傍らに立っていた祢々斬が、彼女の手を無月から奪うと、自分の顔に近づける。

「まだ赤いな……もう少し冷やした方がいいか?」

「ああ。その方がよいであろう」

手当て途中の瑠璃の手を、無月が祢々斬から奪い返す。


長いため息をつきながら、瑠璃が嘆く。

「ごめんね……毎回毎回、ドジなことして、みんなに迷惑かけちゃって……。はるかちゃんみたいに、何でも手際よく出来るようになりたいなあ」

「いやいや、私が手際いいのは、食べることに関してだけですから」

「はるかちゃん!生きてく上では、それが一番大切なことだよ!」

力説する瑠璃に、はるかは、片手を顔の前でパタパタと振りながら答える。

「そんなこと言って~、瑠璃さんだってお料理上手じゃありませんか。先だってご馳走になったチキンカレー、絶品でした!」

「あ、あれは…祢々斬お気に入りのメニューだから……」

ちょっぴり頬を赤くしながら口ごもる瑠璃に、はるかが畳み掛ける。

「祢々斬てば、幸せ者ですねえ。瑠璃さんの愛情こもった手料理を満喫できるなんて……ぅひゃ!」
「おい」

横から頬を引っ張られ、はるかがそちらに顔を向けると、その先には竜尊がいた。

*

「おい、どうして、瑠璃の手料理を食べられるのが祢々斬限定なんだ!?」

「仕方ないじゃないですか、連載中(当時)の『虹色ドーナツ』で、そういう設定なんですから」

事も無げに言い放ち、また肉を焼き始めたはるかの背後に回り、竜尊が目を細めながら微かに口角を上げる。

「ほぉ……それなら、俺がおまえを食うのもありってことか」

「へ!?いや~……それはそれ、これはこれってことで……」

ギクッとしながら竜尊の方に向き直り(敵に背中は向けないのが基本!)、一目でそれとわかる作り笑いを浮かべながら、後ずさりしようとするはるか。

だが、竜尊は余裕の表情で、そんな彼女との距離を縮めていく。

その様子はまさに、小動物を追いつめる天敵さながら――


「おいっ、竜尊!」

はるかが焼いた肉をひたすら食べていた魁童が立ち上がり、彼女と竜尊の間に割って入る。


「相手が違うだろ?俺のはるかに近寄んな」

「ふっ……悔し紛れに、お子様の悪あがきのつもりか?」

「ああ、お子様でけっこうだ!ちゃんと、はるかと釣り合うからな。竜尊、おまえ、千年も生きてる年よりのくせして、女子高生に手ぇ出してんじゃねえよ」


竜尊が何か言い返そうと息を吸い込んだのと同時に、瑠璃が堪えきれないように吹き出した。

「ぷっ……っくく…やだ、魁童……そんな言い方したら、竜尊が変態みたい……」

「瑠璃さん、ナイスつっこみ!ありがとうございます。あ……でも、"みたい"は不要ですよ」

はるかも、ここぞとばかりに『竜尊変態説』を後押しする。

「おい、おまえら!黙って聞いてれば……ん?」

言いかけて竜尊は、途切れ途切れに聞こえてくる足音に気付き、音のする方角を見た。

その他の面々も、竜尊にならって川上に顔を向ける。



「はるかお姉ちゃん!かっちゃん!」

玖々廼馳が息を切らしながら駆けてくる。

「あっちに、魚の群れがいます!あと、見たことのない鳥も」

「ほんとか!?」

魁童が目を輝かせる。

「玖々廼馳、でかした!よっしゃ!!行くぞ、はるか」

「え?あ……ちょっと……ちょっと待ってってば」

焼きかけの肉を未練がましく振り返りつつ、菜箸を握りしめたまま魁童に引っ張られていくはるか。

嵐のように去って行くお子様組の三人を、残された大人組の四人は呆然と見送った。


「……はるかは、箸で魚のつかみ捕りでもするつもりであろうか」

「あいつなら、やりかねん」

無月の呟きに、祢々斬が応じる。


竜尊は、瑠璃に近寄ると彼女の腕をつかみ、意地悪そうな笑みを浮かべる。

「瑠璃、さっきは、よくも笑ってくれたな」

「そ……そうだったかな~……あー!お肉が真っ黒焦げ!こっちは炭になってる~」

焼き網に目を移した瑠璃が叫ぶ。




この後みんなで、お子様組の捕ってきた魚を焼いて、おいしくいただきましたとさ♪(箸で捕まえるのは無理だったらしい……→って、やっぱり挑戦したのか!?)


 * * *

ご訪問くださいました皆様に、心からの感謝をこめて―――m(_ _)m

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