【善法寺伊作前提】忍び怪談
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【第六夜】
(その夜も保健室に遊びに来ていたあなただが、誰もいない室内に小首をかしげた。
諦めて部屋に戻ろうとしたとき、庭から男性のうめき声が聞こえてきた。
声のする方へ歩いていくと、ぽっかり空いた穴の中から伊作の声が昇ってくる)
あいたたた…っ…
こんばんわ、ごめんね?
こんな泥だらけで
情けないよね、最高学年にもなって後輩の落とし穴に落ちまくってるなんて。
にしても綾部君の話は怖かったよね?
見える人の話って格別に怖い気がする。
…それじゃぁ、今日は僕の体験話を…え?
今日は君の体験話を聞かせてくれるって?
僕の話はエグそうだから??
……心外だなぁ…
うん。
…じゃぁ今日は君の話を聞かせて貰うよ。
【迷子】
小学校半ばくらいの時、ある子供が祖父母の住んでいる田舎に遊びに来ていました。
畑や田んぼに川…
何処を見ても山の緑に覆われたその場所は本当に田舎だった。
かわぶきや瓦の屋根の家ばかりだし、コンクリートも無い。
映画の中にでも飛び込んだような風景。
初めての大自然に、その子は目を輝かせて遊びまわりました。
そして山に入る獣道を見付けたのです。
まるで冒険の入口に見えたのでしょう。
喜んで山の中に入って行きました。
街では見たことのない様な大きな木 。
毛布を引いたふわふわした岩 。
綺麗な小川をバシャバシャ越えて 。
蜘蛛のお家をひょいひょい避けて 。
その子にとっては大冒険で、そうして一人遊び続けました。
歩き疲れて、そろそろ帰ろうかと、もぐらの通り道を突くのを止め、辺りを見回します。
しかし困った事に遊びに夢中で自分が何処から来たのかわからなくなってしまったのです。
何処を見ても木、木、木…
楽しかったその場所がまるで今は自分を閉じ込める檻の様な気がしました。
パニックになったその子は泣き出してしまい、その場にうずくまってしまいます。
わんわん、わーわー泣いて、泣いて…
自分の泣き声しかしない状況に余計に怖くなってしまいました。
その時、後から声をかけられ、肩を跳ねさせました。
「うしろのしょうめんだーあれ?」
あんまりにビックリしたもんだから涙も引っ込んだ。
見ると、自分くらいの年頃の着物を着た男の子が、ニコニコこちらを見ているのだ。
「どうしたの?」
男の子は尋ねます。
その子は「お家がわからなくなったの」と答えてまた泣きそうに顔を歪めました。
すると男の子は手を引いて、「こっちだよ!」っと歩き出しました。
蜘蛛のお家をひょいひょい避けて 。
「ねぇ知ってるかい?
蜘蛛は自分が足をおく場所にはネバネバの糸は張らないんだよ?」
綺麗な小川をバシャバシャ越えて 。
「僕の水切り見せてあげるね!
一回、二回、三、四、五、六、七、八、…ああ、今日は駄目な日だ…
本当はもっと飛ぶんだよ?
本当だよ??」
毛布を引いたふわふわの岩 。
「毛布じゃないよ?苔だよ!
君はふわふわの苔を見るのは初めて??」
街では見たことのないような大きな木 。
「この木は、君が生まれるずーっとずっと前からここに立ってるんだよ?
耳を当ててごらん?
ほら・・・水の音がするでしょ」
帰りながら、男の子はその子に沢山の遊びを教えてくれた。
街では体験出来ない様な遊びに夢中になっているウチに、いつの間にかその子は自分が迷子になっていたことを忘れてしまっていました。
そして見知った場所に出た時、その子は自分が今まで迷子になっていた事を思い出し、泣いて獣道から飛び出しました。
帰ってこれた!
帰ってこれたと泣きながら振り返る。
しかし不思議な事に、もう男の子はその場所には居ませんでした。
後日祖母に聞いた話によると、その山には天狗が住んで居るという伝説があるそうです。
???
(その夜も保健室に遊びに来ていたあなただが、誰もいない室内に小首をかしげた。
諦めて部屋に戻ろうとしたとき、庭から男性のうめき声が聞こえてきた。
声のする方へ歩いていくと、ぽっかり空いた穴の中から伊作の声が昇ってくる)
あいたたた…っ…
こんばんわ、ごめんね?
こんな泥だらけで
情けないよね、最高学年にもなって後輩の落とし穴に落ちまくってるなんて。
にしても綾部君の話は怖かったよね?
見える人の話って格別に怖い気がする。
…それじゃぁ、今日は僕の体験話を…え?
今日は君の体験話を聞かせてくれるって?
僕の話はエグそうだから??
……心外だなぁ…
うん。
…じゃぁ今日は君の話を聞かせて貰うよ。
【迷子】
小学校半ばくらいの時、ある子供が祖父母の住んでいる田舎に遊びに来ていました。
畑や田んぼに川…
何処を見ても山の緑に覆われたその場所は本当に田舎だった。
かわぶきや瓦の屋根の家ばかりだし、コンクリートも無い。
映画の中にでも飛び込んだような風景。
初めての大自然に、その子は目を輝かせて遊びまわりました。
そして山に入る獣道を見付けたのです。
まるで冒険の入口に見えたのでしょう。
喜んで山の中に入って行きました。
街では見たことのない様な大きな木 。
毛布を引いたふわふわした岩 。
綺麗な小川をバシャバシャ越えて 。
蜘蛛のお家をひょいひょい避けて 。
その子にとっては大冒険で、そうして一人遊び続けました。
歩き疲れて、そろそろ帰ろうかと、もぐらの通り道を突くのを止め、辺りを見回します。
しかし困った事に遊びに夢中で自分が何処から来たのかわからなくなってしまったのです。
何処を見ても木、木、木…
楽しかったその場所がまるで今は自分を閉じ込める檻の様な気がしました。
パニックになったその子は泣き出してしまい、その場にうずくまってしまいます。
わんわん、わーわー泣いて、泣いて…
自分の泣き声しかしない状況に余計に怖くなってしまいました。
その時、後から声をかけられ、肩を跳ねさせました。
「うしろのしょうめんだーあれ?」
あんまりにビックリしたもんだから涙も引っ込んだ。
見ると、自分くらいの年頃の着物を着た男の子が、ニコニコこちらを見ているのだ。
「どうしたの?」
男の子は尋ねます。
その子は「お家がわからなくなったの」と答えてまた泣きそうに顔を歪めました。
すると男の子は手を引いて、「こっちだよ!」っと歩き出しました。
蜘蛛のお家をひょいひょい避けて 。
「ねぇ知ってるかい?
蜘蛛は自分が足をおく場所にはネバネバの糸は張らないんだよ?」
綺麗な小川をバシャバシャ越えて 。
「僕の水切り見せてあげるね!
一回、二回、三、四、五、六、七、八、…ああ、今日は駄目な日だ…
本当はもっと飛ぶんだよ?
本当だよ??」
毛布を引いたふわふわの岩 。
「毛布じゃないよ?苔だよ!
君はふわふわの苔を見るのは初めて??」
街では見たことのないような大きな木 。
「この木は、君が生まれるずーっとずっと前からここに立ってるんだよ?
耳を当ててごらん?
ほら・・・水の音がするでしょ」
帰りながら、男の子はその子に沢山の遊びを教えてくれた。
街では体験出来ない様な遊びに夢中になっているウチに、いつの間にかその子は自分が迷子になっていたことを忘れてしまっていました。
そして見知った場所に出た時、その子は自分が今まで迷子になっていた事を思い出し、泣いて獣道から飛び出しました。
帰ってこれた!
帰ってこれたと泣きながら振り返る。
しかし不思議な事に、もう男の子はその場所には居ませんでした。
後日祖母に聞いた話によると、その山には天狗が住んで居るという伝説があるそうです。
???