【善法寺伊作前提】忍び怪談

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【第五夜】

(今夜も伊作の元にやってきたあなた。
だんだん本格的に眠れなくなってきているため、彼の傍にいるのが日課になってきてしまっている)


こんばんわ!

昨日の話は怖かったねぇ~ 。
そう言えば数馬のやつが帰って来てからここはやたらとバンッ!とかドンッ!とか…ドタドタッ!!ってうるさいね…?

ああ、彼とり憑かれ体質なんだ。

それでね?今日も取っておきの話を持ってきたよ!

このお話を聞かせてくれた子、ちょっと変わってて…いわゆる普通の人間を見るレベルで幽霊が見えちゃう子らしいよ?

これは、そんな学園一の穴掘り名人から聞いたお話です。





【じゃんぷ】




おやまぁ?
伊作先輩じゃないですか??

穴の中は涼しくないですか?

……そう言えば…怖い話を探しているそうですねぇ…?
よろしければ、その落とし穴のお詫びにお聞かせしましょう。

これは僕がまだ7つくらいの時の話で、僕の実家は寺子屋をやっているんですけどね?

その中の生徒の一人が酷い虐めにあっていたんですよ。

はて…女の子だったか、男の子だったか…?
余りに身なりが粗末な子だったし、数年も前の話で良く覚えてないですねぇ…
まぁどちらでも良いです。

それで虐めがどんどんエスカレートしていって見兼ねた僕が父上に告げ口してやろうと思ったら…

「九っ!九っ!九っ!九っ!九っ!」

ってひたすら九つ(ここのつ)を連呼する声が聞こえたんです。

見に行ってみると、その虐められっ子が蓋をした井戸の上で“ここのつ”と繰り返しながら跳びはねてたんです。

その姿はとても楽しそうだった。

「あ~あ…あの井戸…もう使えないな」

僕が興味なくぼやくと、裏戸を開いて虐めっ子のリーダーが入って来た。

そして「おい、こじき!何やってんだよ?」と絡みだす。

…よせばいいのに…馬鹿なやつ。

虐めっ子に絡まれた虐められっ子はいつもなら怯えるのに、今日はそんな様子も無く…

チラッと虐めっ子を見ると、また楽しそうに井戸の上で跳びはね始めた。

「九っ!九っ!九っ!九っ!九っ!」

あんまり楽しそうに跳びはねていたからか、無視されたのが頭にきたからか…虐めっ子はその子を突き飛ばすと自ら井戸の上に上がった。

勝ち誇った顔で虐めっ子が飛んだその瞬間!

「うわあぁぁぁあ゛ぁぁ!!」

虐めっ子は絶叫して井戸の中に消えた。

虐められっ子が虐めっ子が飛んだ瞬間蓋を外したのだ。

不思議な事に水に落ちる音は聞こえなかったし、最初の絶叫以外に聞こえて来る声もなかった。

そして虐められっ子は井戸に蓋をすると、また何事もなかったかのように跳びはね始めた。

「うふふふっ!
十っ!十っ!十っ!十っ!十っ!
あはははっ!!」

楽しそうに跳びはね続けた。



それからしばらくして…って、1~2週間前の夏休みの話なんですけどね?

実家に帰ったら子供達がこんな事を話していたんです。

「ねぇ?知ってる??
同じ数を数えながら跳んで遊んでる幽霊の話!」

「しってる!!
井戸の上で楽しそうに跳びはねてるんだよね?」

「そんなの作り話だよ!
だってここには井戸なんて無いじゃないか!!」

そうだ、だって井戸は僕が父上に言って直ぐに埋めさせたんだもの。

でも…

おかしいなぁ?



「二十一っ!二十一っ!二十一っ!二十一っ!
あはははっ!!」



また…数が増えてる……








四年い組
綾部喜八郎
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