【善法寺伊作前提】忍び怪談

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【第一夜】

(深夜の医務室にて、少年は少女を出迎えた

どうやら少女を歓迎してる様子です)


おや?
こんな夜更けにどうかしたのかい??

ふ~ん…暑くて寝られないんだ…
そう言えば目の下が文次郎みたいになってるよ?

…あはは!うそうそ…怒らないでよ!

じゃぁ今日から一週間、背筋が氷つく様な話しを聞かせてあげるね…?

……これは、一年生の良く働く男の子が体験したお話しです。




【新聞配達】



俺の家は貧乏で、何でも自分でやらなければならなかった。

学校に通うにも新聞配達をして通っていたが、仕事をするのも慣れていたし、何より給料が良かった。

そんな風に人より辛い仕事をしていると、お年寄りの方に良く気に入られる。

「毎日がんばってるね」

「えらいね」

って、まぁ悪い気はしない。

年配の方は早起きな人が多くて、わざわざ家の前で待っていて、直接受け取る人が居る。

まだ道も薄暗くしか見えない早朝にたぜ?
最初見たときは本当に驚いた。

今目の前に居る婆ちゃんもその一人で、毎朝俺から新聞を受け取っては、時々お菓子をくれたりするんだ。

今朝も顔をくしゃくしゃにして「ありがとう、これ良かったら食べてね」 と飴を三つ手渡してくれた。

「ご馳走さまです!
じゃぁ、帰りの階段は気をつけて上がってくださいね?」

そう言って俺は配達を再開した。

配達が終る頃、薄暗かった空ではもう太陽が張り切っていて、照り付けられ滲み出た汗を拭きながら配達事務所に帰った。
すると顔を出した同僚のオヤジが言った。

「きりちゃん、困るよ~不着だよ?」

「えっ!?マジっすか??」

馴染みが無い奴はわかんねーと思うけど、配達を忘れた家からは申し出が入るんだ。
それを不着って言うんだけど…

まぁ早い話が、俺、その日何処かの家に新聞入れ忘れちまったらしい。

帰って早々に言い渡されたミスに焦りながら、不着した家を聞いた。

そして俺は驚いた。


「××丁目の石川さん!」

「……ぇ…っ?」


だってその人は先程新聞を手渡したそのお婆さんだったんだ。

「嫌だなぁ?なんかの間違いじゃないっすか?
石川さんならいつものお婆ちゃんに手渡しで渡して来ましたよ?」

そう言うとオヤジは顔を青くして言った。

「…きりちゃん、それ本気で言ってる?」




「石川の婆さん…つい一週間前に亡くなったじゃないか…」


蝉がミンミン煩く泣わめき、空気が凍り付いた。

ポケットに手を入れると、そこには確かに飴玉が三つ入っていた。





1年は組
摂津ノきり丸
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