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一ノ瀬 蒼空
南海コモンウェルスは、東山備中の強姦で産み落とされた子供達の孤児院を、四国4県に設立し、サイドワインダーの将兵らが運営に当たっていた。
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一ノ瀬 蒼空
しかし、そんな彼女らを悩ませていたのは…東山の子供達が、父親と同じような凶悪犯罪者に成長してしまうのではないか?という不安であった。
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一ノ瀬 蒼空
本来、人間の後天的な性格・思想などは遺伝しないから、親が犯罪者だからと言って、子供も同じような罪を犯すと決め付けるべきではない。
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一ノ瀬 蒼空
けれども東山備中は、地球人類の理解を超越した生命体であり、その遺伝子には、人格を凶暴化させるプログラムが埋め込まれている…という説もある。
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一ノ瀬 蒼空
東山の遺伝子を受け継いで生まれた子供達に、父親の好ましくない形質が発現してしまう事態は、どうにかして避けたいが、そのためには、子供達の遺伝形質を改造する技術が必要である。
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一ノ瀬 蒼空
そのような技術は実現可能なのか、可能だとしても倫理的に許されるのか…そんな議論の最中に、日本列島の遥か上空から、瀬戸内海・四国を見下ろす母子の姿があった…。
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『We will arrive at the Earth soon. Repeat, we will arrive at the Earth soon. Please be careful not to forget』
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桜橋 蘭香
もうすぐ、地球という星に着く。
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桜橋 蘭香
昔、旅行した時はとっても綺麗で食べ物も美味しかったけど、今はどうなってるのか分からないな……あ、いや、大体酷い惨状なのは想像つくかも。
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桜橋 蘭香
南海コモンウェルスなる団体の噂を遠い星の私達ですら色々聞くくらいだし……アイツ、居るみたいだし……。
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桜橋 遊理
「ママ? どうして怖い顔してるの?」
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桜橋 蘭香
「あ、ううん。なんでもないよ……そんな事より、地球に居る間、その特別入場許可証をどこでも外しちゃダメだよ?」
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桜橋 遊理
「分かった! ママ」
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桜橋 蘭香
この子が産まれてすぐ、産声も上げないうちから、この黄色い瞳に
母の刻印 を入れたのも、もう10年前になる。 -
桜橋 蘭香
赤髪までは書き換えられなかった私の娘。
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桜橋 蘭香
なぜ赤髪が嫌なのか……かの有名な宇宙指名手配犯、東山備中と同じ髪色だからだ。
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《伊予》
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一ノ瀬 蒼空
「今日もパトロール張り切ってくよ」
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神田エルンスト遊火
「そうですね! 先輩」
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その日は比較的平和だろうという事で、訓練生と隊員によるパトロール訓練が行われていた。
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3人一組、
各々 が市民の手伝いや聞き込みをして街の安全を守っている。 -
鷺原 イズミ
「今日は何か変わった事ありませんでしたか?」
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十三宮 寿能城代 顯
「あぁ、大丈夫だよ。ありがとう、助かるよ」
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珍しく
仄々 とした日常。 -
……だと思われた。
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禅定門 念々佳
「きゃあああああ! 東山よ! 東山が出たわ!」
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その雰囲気に訓練生達は立ち位置に戻り、隊長達に報告を、と試みようとした時。
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桜橋 遊理
「ひがしやま……?」
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赤髪の巻き毛ツインテール、間違い無い。
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東山の特徴の少女がそこに居る。
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だが、何か様子がおかしい。
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桜橋 遊理
「ひがしやまって、誰?」
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東山なら、女性を見た時点で強姦を仕掛けるはず……しかし、その少女は襲うどころか誰?と周りの住民達に
訊 いて回り始めた。 -
桜橋 蘭香
「こらこら、ダメだよ遊理。勝手にママから離れないで」
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ゆりと呼ばれた少女は、ママと自称した女性の所へ走って行く。
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そして、女性は訓練生を見て微笑み、こう続けた。
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桜橋 蘭香
「私は
桜橋 蘭香 。この子は私の娘の遊理 なんだけど、そちらも私に訊きたい事はあるだろうし、私もそちらに訊きたい事があるし。貴方達の基地に連れて行ってもらえる? 危害は加えないし、この子も安全だから。ほら、特別入場許可証もあるし」 -
訓練生らの報告を受けた伊予基地の隊員が現れ、桜橋蘭香に職務質問した。
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松山 いつき
「へぇ……全部偽物ではないのね……言ってる事は信憑性ないけど」
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桜橋 蘭香
「当たり前だよ、そんな偽物作ったってすぐバレるし。そもそも偽物なら私の娘も既に暴れてるよ」
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蘭香と名乗る女性は、遊理と呼ぶ少女に肩を置いた。
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桜橋 遊理
「ママー。このお姉さん達と何話してるのー?」
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東山のような姿の少女が、年相応の無邪気な顔で女性を見ている。
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桜橋 蘭香
「んー、遊理はまだ知らなくて良い事だよ」
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その異様な光景に目を奪われていると、突然、手が空いてる子は居るかな?と蘭香は私達に訊いて来た。
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松山 いつき
「何故?」
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桜橋 蘭香
「まだこの子に聞かせたくない話なんだ。子守りをお願いしたい」
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あまりにも危険だ、仮にも東山の娘、何をしでかすか分からないのに。
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せめて子供に聞かれたくないならば耳打ちで良いから軽く契約を交わさねば。
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襟 のマイクで録音機の電源を付け、話を録り始める。 -
その動作をバッチリ見ていたはずだが、蘭香は気にも止めない顔で話に応じる。
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松山 いつき
「……万が一私達が襲われた時の責任は?」
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桜橋 蘭香
「私の射殺でどう? 斬首でも良いよ?」
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松山 いつき
「……私達が危害を加えた場合は?」
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桜橋 蘭香
「その場合はこの星を離脱、貴方達に信じられなかった者として関わりを断つよ。危害は加えない」
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どうやら正気らしい……。
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取り敢えず預けて遊んでてもらう事にした。
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東山の話と犯罪の話はしないようにと釘は刺してある。
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松山 いつき
「んで、要件は何?」
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桜橋 蘭香
「伊予松山基地に協力体制を申し込みたい」
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ますます訳が分からない。
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松山 いつき
「話を聴くよ」
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桜橋 蘭香
「私達にこの星に居る間の住居と少しのお金を与えて欲しい」
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松山 いつき
「……条件は」
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桜橋 蘭香
「メタバースワールドに生身で関与できるシステムの開発、完成。及び娘から取れるDNAデータの収集の許可だ」
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旨過ぎる話か……?
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そもそも東山の話が上がった時点で色々おかしい。
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そうは思うが取り敢えず話を最後まで聴かないと……。
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桜橋 蘭香
「この綺麗な星を守る為なら、私の持った全てで守りたい。娘も憧れた世界なんだ、頼む」
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東山の娘であり母の刻印によって別人と成った遊理という少女。
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その証拠か、彼女の目には母親である蘭香の目には無い桜の模様がくっきりと浮かんでいる。
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あやしていて不思議だが、危険性は感じられない。
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無邪気な少女そのものだ。
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桜橋 遊理
「お姉ちゃん?」
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石本 ユミカ
「あ、ごめん。綺麗な目だからつい……」
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桜橋 遊理
「あ、私の目? 可愛いでしょ! お母さんが見たどんな花よりも綺麗な花だから、私にくれた自慢の目なの!」
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あぁ……道理で……屈託も無く、無邪気な顔で笑っている目の前の少女に嘘も何も感じられる訳が無い。
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こんなに母親の愛で育ち、満たされ、守られている。
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それを遊理は自らしっかりと証明しているのだから。
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桜橋 遊理
「ねぇ、お姉ちゃん」
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石本 ユミカ
「なぁに? 遊理ちゃん」
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桜橋 遊理
「この星にしかこの花咲かないんでしょ? さくらっていう花なんだよね!」
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そうか、この星にしか咲かないのか……そして、この星にしか咲かないという事は……。
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この日本にしか、自生して咲く事ができない事を意味している。
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あぁ、蘭香は本当にこの星を愛し、日本を守りたいと思ってくれているのかも知れない。
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石本 ユミカ
「桜は春に咲くんだよ。もう少ししたら咲くくらいだから……」
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桜橋 遊理
「知ってるよ! だから見てみたいって私が言ったんだもん」
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このような可愛らしい子が、なぜ東山の娘なのだろうか。
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東山にふつふつと怒りが湧いて来る。
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その時だった。
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桜橋 蘭香
「遊理ー終わったよー」
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桜橋 遊理
「遅いよママー。でも、お姉ちゃんがちゃんとお喋りしてくれたよ!」
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扉が開き、子守りが終わったようだ。
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桜橋 蘭香
「そうなの? じゃあ、そういう時はどうするんだっけ?」
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桜橋 遊理
「感謝の為に歌います! 分かってるよ!」
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そして息を吸って彼女は歌い始める。
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不思議だ……凄く癒される歌声だ。
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まるで……そう、心の痛みを和らげて、私がそばに居るよと、微笑み掛けられているような、そんな安心感を与えられている気がする。
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桜橋 遊理
「ありがとう! お姉ちゃん!」
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そして母娘は中本未玖に連れられて収容エリアへと向かって行った。
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桜橋蘭香が遊理に施した「母の刻印」とは、子供の心身をほとんど傷付けずに、東山備中の遺伝形質が有害に作用するのを抑制する技術(地球人から見れば超能力)であった。
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桜橋の出自には疑問が残るが、彼女の技術を地上で実用化できれば、多くの子供達を守る事ができる。
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自らも東山備中の子供(石本のぞみ)を産み育てている伊予サイドワインダー司令官、石本ユミカ准将の意向もあり、桜橋母子は松山基地への受け入れを許可される事になった。
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以後、東山備中の遺伝形質を抑制する「母の刻印」技術が、地上での実用化に向けて研究され始め、治験が完了次第、四国を中心とする東山の子供達に施される予定である。
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もっとも、この施術を受ける前に四国・瀬戸内海を離れ、東山備中の気質を色濃く受け継いだまま、成人して生きている者も居る。
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その人物の名前が「嶺咲ウルスラ」である事を、私達はまだ知らない…。
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