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十三宮 幸
「…まあ、これで一応、新刊の印刷はできそうだ」
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十三宮 幸
笹木さんが書いてくれた同人誌『星の下での約束』などの確認を終え、いよいよイベント当日を迎える事になった。
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卯月二十日
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東京府 東京市 蒲田区
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イベント当日、呑川(とある映画で怪獣が上陸した河川)の流域を南東に進み、私達は蒲田へと向かった。
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会場である蒲田産業会館に到着した私達は、友人の
幹雄 と合流し、望月まぅゆ様のアイドルグループと共に、出展ブースの設営を進めた。 -
十三宮 寿能城代 顯
「…よし、ブースの準備が終わった! これで自信を持って開演できるな」
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十三宮 幸
「そうだね。新刊も多めに印刷できたし、きっと沢山の人に見てもらえるよ」
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幹雄
「これで、スライダーの会の知名度も上がると良いっすね!」
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一応の自信に満ち溢れながら、私達は即売会の開始を待つ。
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小規模なイベントではあるが、会場には人々が集まりつつある。
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笹木 詩絵楽
「…さ~て、いよいよ本番ね。日頃の崖登りとドレスカード集めの成果、見せてやるわ! あ…あれ、変身システム用の学生証どこに入れたっけ…?」
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柊七海と笹木さんが「スライダーの会」の販売スタッフを担当し、サークルの作品を宣伝してくれる事になった。
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七海はメイドの姿に着替え、笹木さんはいつも通りの格好で現れ、私達のブースで待機している。
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十三宮 幸
「ななみん、そのコスプレ可愛いね!」
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柊 七海
「そうでしょう! 私、大好きな猫耳メイドのコスプレに憧れてたの♪ 皆にも喜んでもらえるかな?」
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笹木 詩絵楽
「ま、あたしは普段の姿でも充分に魅力的なんだから、いつも通りの態度で接客するわよ」
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十三宮 幸
「ななみんと笹木さんが宣伝してくれれば、きっと沢山の人に注目してもらえるよ!」
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そう話しているうちに、イベントが始まった。
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笹木さんは普段通りの態度で作品を宣伝し、七海は可愛らしい声でお客さんに声を掛ける。
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笹木 詩絵楽
「ねぇ、この作品は凄く面白いから、受け取りなさいよ! あたしが書いたんだから、ね? 言いたい事、分かる?」
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柊 七海
「無料です! ぜひ読んでみて下さい♪」
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笹木さんと七海、二人の熱意に応えて、お客さん達が作品を手に取り、ブースを賑わしてくれている。
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十三宮 幸
「うわ~、凄い宣伝効果だね! 笹木さん・ななみん、ありがとう!」
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笹木 詩絵楽
「やっぱり、このあたしが接客してあげる効果は絶大ね! あたしには、人の心を掴む魅力があるの!それを使わないなんて、勿体無いじゃない?」
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柊 七海
「私も、本当に楽しいよ♪」
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私達は手を取り合い、笑顔で喜びを分かち合った。
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笹木さん達が店番を務めてくれている間、私達は他サークルのブースも見に行く事にした。
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十三宮 寿能城代 顯
「幸君、あのブースに可愛い爆乳アイドルの同人誌があるみたいだよ! 行ってみようか?」
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十三宮 幸
「そうか。なら、顯の好きな作品が見付かるかも知れないね」
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私達は一緒に、そのブースに向かった。
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特に顯は、実に分かり易く興味津々な様子で、アイドルの同人誌に飛び付いた。
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十三宮 寿能城代 顯
「ああ、これは良いな! 買っておこうかな?」
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十三宮 幸
「顯は、いつもそうだね。まあ、趣味を楽しむのも大切だよ」
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そう笑いながら私達は、気に入ったグッズを手に取り、お会計を頼んだ。
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今回のイベントは、ただ作品を販売するだけでなく、新たな出逢いや刺激を得る場でもあった。
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これからも私達は一緒に成長し、新たな作品を生み出し、仲間との絆を大切にしながら、未来に向けて歩みを進め続ける。
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こうして即売会が無事に終わった後、私達は蒲田の中華料理屋に寄り、ほかのスタッフ達とも楽しく飲食しながら、今日という一日を総括した。
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十三宮 幸
「…ああ、本当に楽しかったね! ここの料理も、最高だよ!」
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十三宮 寿能城代 顯
「ん…確かに、この餃子と蒸しパンは美味しい。また来たいね」
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私達は食事をしながら、今日の同人誌即売会を振り返ると共に、大切な仲間達についても話し合った。
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十三宮 幸
「七海の可愛さには、やっぱり癒されるよね。彼女の笑顔を見るだけで、こちらまで元気になれるんだ」
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十三宮 寿能城代 顯
「そうだね、本当に妹って最高だよ。いつも私たちを支えてくれるし、ほんとに大切な存在だな」
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七海や笹木さんだけでなく、望月まぅゆ様への感謝も話題になった。
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十三宮 幸
「望月さんは、本当に素晴らしいアイドルだよね。私達の応援が、少しでも彼女の活躍に繋がればと思うよ」
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十三宮 寿能城代 顯
「そうだな。一生懸命に活動している人の歌声は、本当に魅力的だよ」
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お互いの思う所を分かち合いながら、私達は打ち上げ会を楽しんだ。
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同じ趣味を持つ仲間との時間は本当に大切で、心が暖かくなる。
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この日の出来事を振り返りながら、私達は更なる成長と新たな出逢いを期待して、笑顔で帰路に就いた。
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次回のイベントも、きっと素敵な感動が待っているという事を、今から楽しみに感じている。
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そして…。
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十三宮 寿能城代 顯
「これからも、大切な人々との時間を、感謝の気持ちを胸に日々を過ごし、個性と自信を持って挑戦する…私は、そんなあなたを応援しているよ」
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こうして、会食を含む全てのプログラムが終わり、私達は解散した。
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しかし、先に帰宅したはずの七海から連絡が来たので、蒲田駅前で再び合流する事になった。
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どうやら終電車に乗り遅れ、翌朝まで帰宅困難になってしまったらしい。
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柊 七海
「幸お兄ちゃん、ごめん…飲み過ぎて、終電を逃しちゃった…」
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申し訳無さそうな表情で謝る七海に、私は笑みを浮かべながら頭を撫でた。
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十三宮 幸
「大丈夫だよ、ななみん。それなら、一緒に泊まって明日までゆっくりしよう」
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柊 七海
「ありがとう、幸お兄ちゃん。一緒に泊まれるなんて嬉しいな」
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そこで私達は、蒲田駅前にあるカラオケ屋へと向かった。
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夜の街を一緒に歩く七海は、私と手を繋ぎながら嬉しそうに寄り添ってくる。
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カラオケルームに入り、私達は好きな曲を選んで歌い始めた。
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七海の歌声はとても可愛らしく、私は彼女の歌声に魅了された。
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柊 七海
「幸お兄ちゃん、これからもずっと一緒に居てね。私、お兄ちゃんが大好きだから」
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十三宮 幸
「私も、七海の事が大好きだよ。これからも、ずっと一緒に居るからね」
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七海の笑顔と言葉に心を満たされながら、二人で一緒に歌い、兄妹としての特別な時間を過ごした。
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翌朝、私達はカラオケ屋を出て、蒲田の朝市で美味しい朝食を楽しんだ。
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七海は目を輝かせながら、美味しそうな食べ物を口に運んでいる。
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柊 七海
「幸お兄ちゃん。このお店のお団子、めっちゃ美味しいよ!」
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十三宮 幸
「そうだね。七海と一緒に食べる御飯は、いつもより特別な味がするよ」
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この特別な時間が終わる事を惜しむように、私達はゆっくりと歩いて家に向かった。
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七海の笑顔や優しさに触れながら、これからも兄妹としての絆を大切に深めたいと感じた。
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後日、私は笹木さんと一緒に横浜の街を歩きながら、同人誌即売会を手伝ってくれた事への感謝を、改めて伝えた。
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十三宮 幸
「笹木さん、先日は本当にありがとう。新刊を書いてくれたお蔭で、即売会が成功したんだよ。それに当日も手伝ってくれて、本当に助かったよ」
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そう言いながら、笹木さんと横に並んで歩いていると、今度は笹木さんが、微笑みながら私のほうに顔を向けた。
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笹木 詩絵楽
「ふっ…な~に、急にどうしたの? そんなにあたしを褒めてくれるなんて、下心でもあんの? あ、もしかして…あたしと手を繋ぎたいとか思ってない?」
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十三宮 幸
「い…いや、別に…ただ、こうしてあなたと一緒に居る事は楽しいし、感謝している気持ちを伝えたかったんだよ」
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笹木 詩絵楽
「ま…ま~あ、あんたがどうしてもあたしと手を繋ぎたいって頭を下げるなら、特別に少しだけなら繋いであげてもいいけど? ふふっ♪」
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そう言って笹木さんは、戸惑っていた私の手を握り締めた。
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そして、朱夏の風が近付きつつある横浜の景色を背に、優しく語りかけた。
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笹木 詩絵楽
「あ…ありがとう、十三宮君。あたしも、こうしてあんたと遊んであげるの、まあ悪い気はしないわ。だから、これからも思い出を創りましょ? ふふっ♪」
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