-
-
十三宮 幸
2684(共和六)年の春は、穏やかな陽気に包まれていた。
-
十三宮 幸
教会では復活祭が祝われ、人々は心を清めるために集まっていた。
-
私の姉である
十三宮 聖 と、彼女の助手である嶺咲 ウルスラ は、教会の礼拝に参加していた。 -
厳かな雰囲気の中、聖書の章や詩を読み、讃美歌を歌う。
-
その後の説教では、復活の意味について考えを巡らせた。
-
十三宮 伊豆守 聖
「春の訪れは、新たな希望と生命の始まりを象徴するものですね」
-
と、聖が微笑む。
-
嶺咲 ウルスラ
「確かに、聖書の中にもそのようなメッセージが沢山あります」
-
と、ウルスラが頷いた。
-
昼間には、二人はカフェで静かに聖書を読み、考えを巡らせた。
-
聖書の文字は小さく、時には読みにくい事もあるが、ウルスラが用意した眼鏡を掛ける事で、聖の読書がスムーズになった。
-
十三宮 伊豆守 聖
「ウルスラ様。この眼鏡、本当に助かります。ありがとう御座います」
-
と、聖が感謝の意を込めて言った。
-
嶺咲 ウルスラ
「どう致しまして。聖様が心地良く読書できるなら、それが何より嬉しいです」
-
と、ウルスラが微笑んだ。
-
二人の心は、春の陽光の中で穏やかに満たされていた。
-
彼女達は、新たな季節と共に、心を清める旅を続けてゆくのだった。
-
東京市 大森区 池上町
-
2684(共和六)年の春、武蔵野荏原台地にある、長栄山の寺院に向かう私と十三宮
仁 。 -
長栄山では花祭が開催され、釈迦堂で盛大な法要が行われていた。
-
仏像に水を掛け、神仏に祈りを捧げる十三宮仁の姿は、静かな中にも厳かな雰囲気を漂わせていた。
-
十三宮 幸
「この山は、本当に歴史を感じさせる場所だね」
-
と私が言うと、十三宮仁は微笑みながら頷いた。
-
十三宮 巫部 仁
「そうだね。古墳や氷河時代の地形が残っているというのも、この場所の魅力の一つみたいだよ」
-
と、仁が返答した。
-
二人は歩きながら、長栄山の悠久の歴史に想いを馳せた。
-
その中で、人類の叡智を結集した経典がこの寺院で読誦されている事を思い出し、感慨深い気持ちになった。
-
長栄山の屋台出店では、私達の親友で眼鏡を着けた十三宮
顯 が、笑顔でジャガバターを食べていた。 -
会場には、明るい雰囲気が広がっていた。
-
十三宮 巫部 仁
「あっくん、美味しそうに食べているね」
-
と十三宮仁が声を掛けると、顯はにっこりと笑った。
-
十三宮 寿能城代 顯
「当然だよ、僕の好物なんだから」
-
と顯が答えると、十三宮仁も微笑みながら頷いた。
-
そんな中、十三宮仁の視線が屋台の片隅にある眼鏡店の看板に向けられた。
-
十三宮 巫部 仁
「経典をじっくり読むなら、眼鏡を買ったほうが良いかも知れないね」
-
と彼女が呟くと、私は微笑みながら肯定の意を示した。
-
十三宮 幸
「そうだね、仁さん。眼鏡を掛けると、お経の文字もはっきり見えるから、読むのが楽になるよ」
-
と私が言うと、彼女は少し考えた後、決断したように頷いた。
-
十三宮 巫部 仁
「じゃあ、帰りに寄ってみようか」
-
と彼女が言いながら、私達は歩き続けた。
-
長栄山の美しい風景を満喫しながら、帰路を楽しみにしていた。
-
長栄山を後にして、私と
美保関 天満 は堤方村を通り、途中にある神社に立ち寄った。 -
その神社は太陽神や古代の大王を祀る場所で、厳かな雰囲気が漂っていた。
-
日差しは暖かく、春らしい陽気が心地良かった。
-
私が神社に向かって歩いて行くと、美保関天満は薄着で短いミニスカートを穿いた姿で、少し戸惑った様子で私に近付いて来た。
-
十三宮 幸
「美保関さん、その格好で参拝するのは大丈夫なの?」
-
私が心配そうに尋ねると、彼女は軽く笑って答えた。
-
美保関 少弐 天満
「大丈夫ですよ、あたしの服装は問題無いです。それよりも、あたし新学期になったからイメチェンしたいんですけど、眼鏡を掛けたら似合うでしょうか?」
-
彼女が、真剣な表情で質問する。
-
美保関天満の美しい顔立ちに、眼鏡が似合うかどうか考えるのは難しい。
-
しかし、その質問を真剣に受け止め、彼女の希望に応えるべく私は考え込んだ。
-
十三宮 幸
「美保関さん、君はどんな姿でも素敵だよ。眼鏡を掛けても、きっと似合うと思うよ」
-
と私が微笑みながら答えると、彼女も笑顔で頷いた。
-
美保関 少弐 天満
「ありがとう御座います。今度の新学期は、皆を驚かせちゃいますね! でも、その前に…今は、ここで世界平和を祈りたいです」
-
彼女が、嬉しそうに言う。
-
私達は神社で手を合わせ、世界平和を願った。
-
美保関天満の真剣な姿勢は、私に勇気を与えるものだった。
-
十三宮 寿能城代 顯
明治中期~昭和初期、長栄山の周辺(本門寺公園・めぐみ教会)には温泉旅館があり、めぐみ坂の料亭は田山花袋『東京近郊』や徳富蘆花『富士』にも描かれています。
-
大森区
馬込 町 -
馬込町の桜並木は、春の訪れを告げる華やかな場所だった。
-
妹の
柊 七海 と一緒に、私はその美しい景色を楽しむために訪れた。 -
河川が流れ、桜の花が風に揺れる様子は、まさに春祭の雰囲気そのものだった。
-
屋台では広島風お好み焼きや今川焼、クレープなどの美味しい食べ物が並び、沢山の人達が賑やかに行き交っていた。
-
私達はまず、お好み焼きの屋台に向かい、熱々の鉄板で調理される様子を眺めながら、注文を待った。
-
十三宮 幸
「ななみん、何を食べようか考えてる?」
-
私が妹に尋ねると、七海は目を輝かせながら答えた。
-
柊 七海
「やっぱり今川焼が食べたいな、あの甘い味が堪らないんだよね!」
-
七海が、笑顔で答える。
-
私も微笑みながら頷き、屋台のほうに注文を告げた。
-
少し待つと、熱々の今川焼が出来上がり、私達の手に渡された。
-
ふわふわの生地に甘い餡がたっぷり詰まっていて、その香りが口の中に広がると、思わず笑顔が零れた。
-
十三宮 幸
「美味しいね、ななみん。春って、こんなに楽しいんだね」
-
と私が言うと、七海もにっこりと笑って頷いた。
-
柊 七海
「そうだね! これからの季節、もっと色んな事が楽しめそうだよ。沢山のイベントが待ってるんだから、楽しみだね!」
-
七海が、ワクワクと話す。
-
私達は今川焼を楽しみながら、春の予定について話し合った。
-
桜の花が優しく舞い散る中、新しい季節の始まりを心から楽しみながら、家族で過ごす幸せな時間を感じた。
-
東京市 蒲田区
-
蒲田の街は、今日も賑やかだった。
-
春の陽気が街中に溢れ、人々が笑顔で歩き回る中、同人誌即売会の開催が待ち遠しい一日が始まった。
-
-
私は柊七海と共に、会場へ向かった。
-
テーマが「眼鏡」だという事で、多くの人が眼鏡を掛けたキャラクターの同人誌やコスプレで会場を賑わせる事だろう。
-
七海は興奮気味に、手に持った猫耳メイドのコスプレ衣装を眺めていた。
-
柊 七海
「これ、可愛いでしょう? 眼鏡を掛けて、この衣装を着たら絶対、幸お兄ちゃんやお客さん達を悩殺しちゃうんだから♪」
-
七海が、笑顔で言う。
-
私は笑みを浮かべながら、七海の楽しそうな姿を見ていた。
-
彼女はいつも元気で、どんな状況でも前向きな考え方を持っている。
-
十三宮 幸
「そうだね、ななみん。そのコスプレ、きっと似合うよ。さっきから興奮してるね」
-
柊 七海
「うん! もう、今からワクワクしてきちゃう! 幸お兄ちゃんも、きっと喜んでくれると思うなぁ」
-
七海が、ワクワクと語る。
-
会場に到着し、私達はブースの準備を始めた。
-
七海は猫耳メイドの衣装を着て、眼鏡を掛け、コスプレの完成度を高めていった。
-
私は彼女の姿を見て、彼女の努力と情熱に感心した。
-
十三宮 幸
「ななみん。そのコスプレ、凄く似合ってるよ!」
-
私が七海を褒めると、彼女は嬉しそうに微笑んだ。
-
柊 七海
「ありがとう、幸お兄ちゃん。これできっと、沢山の人に喜んでもらえるはず!」
-
七海が、胸を張って言う。
-
そして、待ちに待ったイベントが始まった。
-
多くの人がブースを訪れ、七海のコスプレに興味津々だった。
-
彼女は笑顔で対応し、眼鏡を掛けた猫耳メイドとして会場を盛り上げた。
-
やがて、イベントは終わりを迎え、桜の花弁が舞い散る中、私達は会場を後にした。
-
十三宮 幸
「ななみん、今日は楽しかったね。次のイベントも、一緒に頑張ろう!」
-
私が七海に言うと、彼女はにっこりと頷いた。
-
柊 七海
「うん、幸お兄ちゃん。次も、絶対に盛り上げてみせるから!」
-
七海が、笑顔で言う。
-
蒲田のイベントが終わったが、私達の楽しい日々はこれからも続く。
-
何かが終われば、何かが始まる。
-
それが私達の、明るい未来だ。
-
十三宮 寿能城代 顯
本書を御覧下さり、ありがとう御座います。
-
十三宮 寿能城代 顯
この機会に、ぜひフォローして下されば幸いです。
-
十三宮 寿能城代 顯
宜しくお願い申し上げます。
-
2024(令和六)年4月20日(土曜)
大森清陵会
タップで続きを読む