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一ノ瀬 蒼空
サイドワインダー伊予松山基地の職業軍人にして「すっとこどっこい教官」などと呼ばれる、御存じ「ヤーマン土田」こと、土田エリカ教官(階級 少佐)。
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一ノ瀬 蒼空
カメラを見ては「吠える」「噛み付く」「暴れる」の3連コンボ。
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一ノ瀬 蒼空
そんな傍若無人の噴飯者が続ける悪行の数々に業を煮やしたサドワTVが編み出したのが…「人体実験」である。
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一ノ瀬 蒼空
数々の装備品やパーツの性能の高さを体を張って日々証明している…そんな彼女が今回挑むのは…?
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サイドワインダー伊予松山基地
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格納庫 -
土田 エリカ
「なんだよ
格納庫 に呼び出しやがってよサドワTVよぉ相変わらずに…ふざけんな本当によぉ!」 -
一ノ瀬 蒼空
「どうも土田教官っ」
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土田 エリカ
「なんだよ! また
サドワTV か! オレは出ねぇって言ったろ! お前よぉ!」 -
一ノ瀬 蒼空
「だって土田教官には(何だかんだで)お世話になってますし…」
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土田 エリカ
「嘘つけ! オメー達また何か変なの考えてんじゃねーのか?!」
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松山 いつき
「教官いつもありがとう御座います♪」
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いつきがそう言うと、エリカの前に洗面器とタオルを差し出した。
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松山 いつき
「洗面器とタオルと言えば〜?♪」
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土田 エリカ
「風呂に決まってんじゃねぇか」
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松山 なつき
「温泉ですよ! 温泉!」
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土田 エリカ
「温泉!?」
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そう、空飛ぶ猿は大の温泉好きでもある。
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そこで、今回すっとこどっこい教官が挑む人体実験は「人間温度計」である。
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浦霧 光江
「やぁ、ここで今回の実験の趣旨と、今回の実験で鍵を握るラジエーターの説明をしよう」
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実験するのは、液冷エンジンのラジエーターの性能だ。
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レシプロ機のエンジンは基本的には、飛行中の風により直接エンジンを冷却する「空冷式」がメインだが、一部の機体にはエンジン内部に「クーラント」と呼ばれる液体の冷却剤をエンジン内部に循環させて冷却する「液冷式」も存在する。
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ここで必要になるのが、そのクーラントを冷却する「ラジエーター」なんだ。
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ラジエーターとは、エンジンに熱されて高温になったクーラントを冷却する装置で、クーラントの温度を一定にする事で、エンジンのオーバーヒートを防ぐ役割があるんだよ。
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例えば、大出力のレシプロ機…そう「空のF1」と呼ばれる「エアレース」に出場する機体は空冷だと空気抵抗が大きくなって、速度が伸びなくなる。
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しかし、液冷エンジンはそれが少なくなるんだ。
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エンジンから来た高温のクーラントがラジエーターを通る事で、冷却され、またエンジンに戻る…こうする事で、エンジンのオーバーヒートを防ぎつつ、空気抵抗を減らしてスピードアップにも繋がるんだ。
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それが大容量のタイプともなれば…より多くのクーラントを冷却できるから、エンジンの温度上昇を抑えられるんだよ。
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今回はエアレース用大容量タイプラジエーターと純正ラジエーターで温度上昇の違いを見ていく、使用する機体は、レシプロ練習機の傑作と名高い
テキサン 高等練習機を液冷エンジンに載せ替えて、エアレース用に改造した物を使う。 -
今回の装置の仕組みはこうだ、水道からエンジンに水を供給し続けて、エンジン内部とラジエーターを通って高温になった水がホースを通り、そのままバスタブへ流れる一方通行方式を取ってるよ。
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彼女自身に大容量ラジエーターと純正ラジエーターの違いを感じてもらおう。
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浦霧 光江
「さて、実験開始と行こうじゃないか♪」
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こうして、浦霧光江の声掛けにより実験が開始された。
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無論、暴れるのを防ぐためにヤーマンを縛り上げて…。
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浦霧 光江
「まずは、今取り付けている大容量レース用ラジエーターからだ」
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土田 エリカ
「おいふざけんな! こんな事しやがってよぉ! 大体何だこれ!?」
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すると、なつきが例の噴飯者に声を掛けた。
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松山 なつき
「湯加減どうですかー?」
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一ノ瀬 蒼空
「人道的見地によりクーラントではなく真水です♪」
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土田 エリカ
「ふざけんな!って…お? 丁度いいと言うか…なんか温いな!」
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松山 いつき
「なつき姉ぇ! 一旦
送風機 止めて!」 -
松山 なつき
「分かった!」
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ラジエーターの前にある送風機を止めると…。
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松山 なつき
「湯加減どうですか?」
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土田 エリカ
「おー! いい感じだよー! いい湯加減だ!」
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浦霧 光江
「今のラジエーターはエアレース用の大容量ラジエーターだよ」
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土田 エリカ
「い〜感じだよ!ってか、何だよコレ!!(縄で縛られている)」
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一ノ瀬 蒼空
「お気になさらず♪」
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土田 エリカ
「おいっ!」
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浦霧 光江
「さて、次は純正ラジエーターで試してみよう…果たして数倍にも上がる水温に彼女は耐えられるかな…?」
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松山 いつき
「それじゃ行きますよ〜♪(暗黒微笑)」
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土田 エリカ
「何だよ
いつき よぉー! 何でコックピット に居んだよ!」 -
いつきがエアレース仕様の
テキサン のエンジンを空吹かしして回転数を上げていくと…。 -
土田 エリカ
「おい! 吹かすんじゃねぇよ!! 熱くないかこれ!? ちょっと熱ちぃぞこれ!!」
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松山 なつき
「wwwwww」
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土田 エリカ
「おい! 熱ちぃよオメー!」
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松山 いつき
「( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽ」
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土田 エリカ
「ふざけんな! 熱っちぃよ!! 熱ちぃだろうがよぉ!! 熱い熱い熱い!!」
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松山 いつき
「え? もっと?♪(更に回転数を上げる)」
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土田 エリカ
「いつき! 吹かすな! おい! やめろ!! オメー達(蒼空・なつき)も助けろ!!」
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松山 なつき
「「wwwwww」」
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一ノ瀬 蒼空
「(´^ω^`)ブフォwww」
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土田 エリカ
「熱ちちち! 熱ちぃ!! こんな事したら大変な事になるって!!」
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これにはさすがの光江もドクターストップを掛け、なつきと蒼空はエリカを湯船から引き上げ、常温の水でエリカの身体を冷やした。
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松山 いつき
「教官〜湯加減どうでしたか〜?♪」
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土田 エリカ
「バカヤロー! オレを茹で上げる気か!! 熱っちぃよ! コノヤロー!!」
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一ノ瀬 蒼空
「お風呂は熱めがいいと言いますし…」
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土田 エリカ
「ふざけんな! 幾ら何でも限度があるだろうがよ!!」
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浦霧 光江
「あぁ、そうそうエリカ君…まだエアレース用の2層ラジエーターを試してなかったんだ。やってくれるね?」
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土田 エリカ
「ふざけんな! 誰がやるかよ! オレは寮に戻るからな!」
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一ノ瀬 蒼空
「あの…服は?」
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土田 エリカ
「要らねぇよ! このまま寮へ戻るんだよ!!」
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そして、例の噴飯者はバスタオル一枚で幹部寮へと帰って行った。
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