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最近、俺がハマっているゲームがある。
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『ドリームワールド』だ。
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『ドリームワールド』は、プレイヤーの見た目を自分好みの見た目にする事ができるアバターゲームで、遊び方は農業を営んだり、お店を経営したり、依頼を受けてモンスターを倒したり……と、かなり自由度の高いゲームだ。
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このゲームの中なら課金すれば、現実ではフツメンな俺もイケメンになれるのだ。
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……そう、課金すればの話だ。
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無課金アイテムも悪くはないのだが、やはり課金勢のほうが見た目が良い。
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よって、課金勢のほうが人気がある。
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まだ、高校生でバイトもしてないし、お小遣いも少ないしで、俺はまだ無課金勢だ。
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ゲームの中では、剣士をやっていて、モンスターを倒して、ガチャを回すのに必要な石を集めているのだが、有償石でしか回せないガチャがあり、そのアイテムが、めちゃくちゃオシャレなのだ。
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まだ、このゲームを始めて日が浅いのもあるだろうが、俺はゲームの中ではぼっちだった。
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……まぁ、リアルでもぼっちなんだけどな。
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今日もゲームにログインすると、期間限定で現れるレアモンスターというものが実装されていた。
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こいつを倒すと……有償ガチャが回せるガチャチケットが貰えるだと⁉
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こっ、これは本気を出すしか無い‼
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ちょうど明日から土日なのもあり、今日は徹夜で期間限定のレアモンスターを探す事にした。
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レアモンスターを探す事一時間、見た目からして、めっちゃ強そうなドラゴンが現れた。
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管制機 クリスタロス
『レアモンスター出現‼ 戦いますか?』
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ゲームのマスコットキャラクターが、俺にそう尋ねる。
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答えは、はいかイエスしかねぇだろ‼
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……と、勢い込んだものの、このドラゴン……めちゃくちゃ強い。
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ヤバい……負けそう……。
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そう絶望した時に、どこからかレアモンスターのドラゴンに向かって銃弾が飛んで来た。
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何事だ⁉
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と思ってると、チャットが送られて来た。
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Lodi
『俺のジョブはスナイパーです。俺が遠距離から援護射撃するので、トドメだけお願いします』
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何と、見ず知らずの俺を助けてくれるみたいだ。
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神か、こいつ……っ‼
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そのまま、どこに隠れてるか分からないスナイパーさんが、ドラゴンをフルボッコし、ドラゴンが逃げようとした時に俺がトドメを剣で刺した。
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ほぼ、スナイパーさんの御蔭で無事にガチャチケットを入手した。
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Lodi
『お疲れ様でした』
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いつの間にか、目の前に超イケメンなアバターのライフル銃を装備したプレイヤーが現れた。
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成幸
『あ、もしかして助けてくれた人ですか⁉ ありがとう御座いました‼ めっちゃ助かりました‼』
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Lodi
『いえいえ、今回の期間限定モンスターで
梃摺 ってるプレイヤーさんは、大体レベルが3桁いってない方だろうなと思い、勝手ながら助太刀させて頂きました』 -
このイケメン……、中身もイケメンじゃねーか‼
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成幸
『マジで感謝です‼ 俺、無課金勢なんで、どうしても今回のガチャチケットが欲しくて……』
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Lodi
『そうなんですね。もし、宜しければ俺のダブってるアイテムで欲しいのありましたら交換しますか?』
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このゲームでは、ダブったアイテムは交換する事もできるのだ。
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成幸
『えっ、いいんですか⁉ じゃあ、プロフィール見せてもらいますね……って、レベルえぐっ‼ 最高レベルまで行ってるじゃないですか‼』
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Lodi
『俺も無課金勢なんで、有償アイテムが欲しかったら強くなるしか無かったんですよ……』
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成幸
『え? でも、めっちゃ有償アイテム持ってる……』
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Lodi
『イベントは一つ残らず、やってますから』
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そうして、スナイパーさんは俺に有償アイテムを与えてくれた。
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こんな良い人を逃すわけには、いかない……っ‼
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俺は勇気を出して、スナイパーさんに声を掛けた。
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成幸
『あのっ、フレンドになってもらえませんか⁉』
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このゲームでは相互フォローになると、フレンドになる事ができ、救援信号を送ったりできるのだ。
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Lodi
『…………俺で良ければ、フレンドになりましょう』
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少し間が空いたのが気になったが、無事にスナイパーさんーーープレイヤー名はロディさんとフレンドになる事ができた。
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Lodi
『無償ガチャでも、たまに凄く良いアイテム揃いのガチャとか来る事あるんで、モンスター討伐以外もやって、無償石たくさん貯めとくと良いですよ』
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成幸
『分かりました‼』
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そうして、初めて『ドリームワールド』で、イケメンなフレンドが出来たのだった。
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それからも、ロディさんとの交流は続いた。
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……と言うか、ロディさんはゲームにログインしている時間が長い。
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引き籠もりか何かか?
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と勘ぐるが、口に蓋をする。
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俺とロディさんは、共通の趣味とかも多く、時間を掛けて、かなり仲良くなったと思う。
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だから、俺は決心した。
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成幸
『ロディさん‼ 良かったら、二人でオフ会しませんか‼』
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Lodi
『オフ会……ですか……』
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ロディさんは、しばらく悩んでいたが結果的にオフ会に了承してくれた。
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ロディさんとのオフ会場所は、俺もロディさんも好きなアニメのコラボカフェでやる事になった。
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オフ会当日。
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少し緊張しながら、それでも楽しみが勝って心臓がドキドキした。
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ずっとオフ会というものに憧れていたのだ。
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ロディさんに気付いてもらえるように、推しキャラの縫い包みを持って、二人席でロディさんを待った。
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待ち時間は5分にも満たなかった。
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俺と共通の推しキャラの縫い包みを持った人物が、目の前に現れた。
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ロディ
「リアルでは初めまして……。ロディです……」
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成幸
「……………………。ロディさん、美少女ですね…………」
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何と、ロディさんは女の子だった‼
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しかも、めっちゃ可愛い‼
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ロディ
「ゲームの中では、男装カフェも営んでるので男の格好なんですよ……」
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成幸
「へぇ…………」
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どうしよう……。
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女子とまともに喋った事ないのに、こんな美少女と何て会話すればいいんだ⁉
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誰か、助太刀求む‼
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