「…と言う訳なの」

「なるほど…未玖さんに恋心を抱く訓練生からのラブレターねぇ…」

「でも私…同性からのラブレターなんて一度も貰った事ないし…」

「うーん…アタシはこういう返事はあまり得意じゃないし…かといって…（いつきの方を見る）」

「じゃあどうしたら…」

「あ、なつき達ここに居たんだ…もう程々にしてよ、任務外時間とは言え児童院職員寮に来るなんて…他の隊員達に示しがつかないじゃん」

「あ、ちょうどいい所に！ 伊予松山基地の精鋭部隊ハンター隊の隊長！」

「あのさー…ボクを褒めちぎるって事は何かあるって事だよね？」

「あのミナトさんっ、この手紙読んでもらえますか？」

「あー…この訓練生ね…名前は『上甲ミサキ』かつて二人組の東山"ビッチツインズ"の被害を受けた女学生で、今は東山の子供を産んで伊予松山基地（ここ）の訓練生になってるよ。これじゃあ未玖さんに惚れちゃうのも無理ないよ…」

「そうなのね…」

「でも、この子のようなタイプは下手に文章と話の内容を選ぶと取り返しがつかないよ…」

「まぁ…やってみない事には始まらないね…始めにアタシがやるよ」

「うーん…これじゃどうしようも…」

「力になれなくてごめんなさい…」

「はぁ…ミナトさん…」

「…仕方ないなぁ（ペンを取る）」

　あなたの身の上を知って驚きを隠せませんが、私はそうするべきではないと思います。

私はあなたに対し、同情の気持ちも励ましの言葉も、何も持てません。

　だってあなたを愛してくれる人なら居るでしょう…私が。

　私があなたに最大限の愛を注ぎます。

自分の殻を破る事ができないのなら、私が外から殻を破りに行きます。

「しかも何気なく会う約束も取り付けた!?」

　会わせて下さい…いや、あなたに会いたい！

　ご、ごめんなさい…突然こんな事書いて…綺麗事ばかり並べて、私はそんなに大層な人間じゃないんです…。

　だって私は…ただ…。

　あなたを愛しているから。

「すごい！ 締め方がプロ級っ！」

「まだ終わってないよ、仕上げにコレを付けて完成だよ！」

「ええっ?! 赤いバラのスタンプを押して花言葉を書き足したの!?」

「『大人の女性の手紙の返答』という憧れを相手に持たせるという演出…!?」

「…とまぁ、こんなものかな（ハーブカム噛みながら）」

「完璧だよ…！」

「完璧過ぎる…これが…！」

「「"フォローのマエストロ"鵜久森ミナト!!」」

「訓練生寮のポストに投函して！」

「ありがとう御座いますっ！」

「ミナト…ありがとう」

「いいんだよ♪ これは人生の中で誰でも経験する事でしょ？」

「…だね」

「いいわよ、あなたの返事…聴かせて？」

「…喜んで♪」