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一ノ瀬 蒼空
インターネット産業を経営するバーチャル商人の
鳥羽 魅兎 は、日本帝国の特務機関である「総督府」などと契約し、仕事を請け負っている。 -
一ノ瀬 蒼空
四国・九州での商売を済ませて帰還した鳥羽に、第四学校の山田玉子という転校生を警護する依頼が届いた。
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一ノ瀬 蒼空
能力を更新した鳥羽は、総督府から虚人東山軍に潜入捜査していた黒沢俄勝や、十三宮教会の美保関天満らと共に、山田の外出先へと同行する事になった…。
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今日も電子の海を漂っていると、総督府からの指示が表示された。
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鳥羽 魅兎
「今回は護衛っスね~。了解っス」
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内容をさらっと読んで、対象の情報を表示した。
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山田玉子、第四学校の三年生。
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表ではここまでしか出ていないが、山田家は軍人のエリートが多く出ている家で有名である。
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滅んだ国家に対して積極的に協力しており、資産は莫大な物となっていた。
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鳥羽 魅兎
「お嬢様は世間知らずのいい子ちゃんすっね~」
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彼女は普通に暮らしていると勘違いしているかも知れないが、常に命を狙われている要人である。
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勿論報酬も、かなり弾んだ状態で前払いされていた。
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護衛も慣れたので、断る必要が無い。
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鳥羽 魅兎
「今度は何を新調するスかねぇ~」
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鳥羽 魅兎
(コアがもう少しでアップデートできそうだからそれに回すか~)
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アップデートに必要な物をカートに入れ、呑気に考えていた。
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総督府にて
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(コンコン)
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鳥羽 魅兎
「ういっす! お待ちしてッス!」
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今回一緒に仕事する事になっている天満を、部屋に招いた。
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山田に売るために置いてあるオカルトグッズが、部屋にびっしり置いてあった。
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美保関 少弐 天満
「鳥羽さんの趣味変わってますね~。
御宅 って感じ、やば」 -
鳥羽 魅兎
「御宅っぽいスかね~! 普通に失礼で笑うっス!」
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お互いくすくす笑っているが、眼が笑ってない。
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電池が、切れたように。
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鳥羽 魅兎
「はぁ。。。。今回の護衛の資料っす。それ貰ったらさっさと帰れっス」
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美保関 少弐 天満
「ちょ、そんなに雑に渡されても。。!」
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鳥羽 魅兎
「読めば馬鹿でも分かるっスよ~。さあーさあ。帰れ~」
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電子端末と茶封筒を渡されて、ポンッと部屋から出された。
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美保関 少弐 天満
「あの人やる気あるの。。。? ちょっとウザ。。」
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鳥羽の噂、興味が無くなると秒で部屋を出される。
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わざわざ出向いて来たのに、これって無くない?
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と、頬を膨らませた天満であった。
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一方…。
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鳥羽 魅兎
「今回のアップデートはかなりやれる事が増えるっス!」
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オカルトグッズがあった部屋の奥に、勝手に改造して作ったラボに引き籠もっていた。
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鳥羽 魅兎
「そうとなれば作戦に使えるように試運転っス!」
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胸に埋め込まれている丸いコアを、新しく作り上げた物と交換した。
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鳥羽 魅兎
「起動」
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電子世界に、移った。
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鳥羽 魅兎
「鳥羽魅兎、アップデート開始」
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コマンドを、打ち込む。
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鳥羽 魅兎
「システムオールパーフェクト」
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基本システムについては、問題なく起動できた。
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今回の護衛には戦闘を要すると書いてあったため、新システムで魔眼を埋め込んだ。
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モルダバイト、魔力を込める石を見付けるのに苦労はした。
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今の体に、より馴染んでいると体感した。
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それ用に、魔弾専用のスナイパーライフルを作り上げた。
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長距離狙撃銃「
刻弾魔 」と名称した。 -
鳥羽 魅兎
「試し撃ちしないといけないっスね。。。どこがいいんだろう。。。」
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予備のセーブを持って、部屋を出た。
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どこがいいだろうと考えて、歩いていると碓井槐が話し掛けて来た。
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碓井 丹波守 槐
「うーたん! なんか新しくなったねぇ!」
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鳥羽 魅兎
「槐様~。気付いたスか! 魅兎、アップデートしたんス!」
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碓井 丹波守 槐
「最新って事~?!」
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眼を輝かせ、話を聴いて来た。
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鳥羽 魅兎
「最新っス! 今から新機能使うんスけど、槐様見たいスか?」
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碓井 丹波守 槐
「えー!!! みたいー!! 槐と模擬戦やろ!」
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鳥羽 魅兎
「も、模擬戦スか。。。(汗)」
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碓井 丹波守 槐
「ハンデあげるからいいでしょおー?」
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鳥羽 魅兎
「そこ問題じゃないんスよね」
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資料確認した限りでは、碓井槐は鬼狩りの一族の末裔であり、「業火の鬼狩り」と呼ばれていた。
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鳥羽 魅兎
(戦闘データ、手を抜いてても強いってチートっスよ。。。。)
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やる気のある時が珍しい、と言われているレア度を考えてしまったら。。。
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戦闘データが欲しい、が勝ってしまった。
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碓井 丹波守 槐
「うーたん。眼の色違うね」
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鳥羽 魅兎
「え、あ、まあ。。。」
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碓井 丹波守 槐
「雰囲気って言うか、魔眼入れた?」
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鳥羽 魅兎
「おっと、槐様それ以上は秘密っスよ?」
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人気が無くなった山に着いた時に、あっさりと新機能がバレてしまった。
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鳥羽 魅兎
「でも、まだ実践データが無いスからね~」
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碓井 丹波守 槐
「じゃあ、槐が初めて見るんだね!」
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鳥羽 魅兎
「そうっスねぇ~。山に入ったらよーいドンっス」
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碓井 丹波守 槐
「よっしぃ。よおおおい、どぉーーーん」
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一斉に、駆け抜けた。
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刻弾魔を槐に向け、撃った。
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碓井 丹波守 槐
「うわぁ! 凄い速さで来る弾だねぇ!」
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属性に合わせて、改良して良かった。
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相性が良かったのか、誤差修正がmm単位で行えるようになっていた。
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近距離戦に強い碓井を寄せ付けないように、正確に射撃する。
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鳥羽 魅兎
「ちょっと魔眼使うスよ~」
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鳥羽 魅兎
「魔眼解放! 刻弾ッッ!」
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普段糸目である眼が、開いている状態になった。
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碓井 丹波守 槐
「凄い。。。解放するとそうなるんだね。。! さすがに手抜きでかわすのキツいかもね!」
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刻弾は、魔眼が開放されると4発だけ撃つ事が可能な魔弾となっている。
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設計上ではそれ以上撃つ事は不可能であり、開眼にかなりの魔力を消費する事が記されていた。
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碓井 丹波守 槐
「ちょっとマジで避けるよ」
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鳥羽 魅兎
「正確に撃ち抜くっス」
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碓井 丹波守 槐
「行くよぉ!」
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結果
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近距離戦闘になり、魔力切れも重なってステイモードに入ってしまった。
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慌てて、予備のセーブを起動に掛けた。
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鳥羽 魅兎
「たはぁー! いいデータ取れたっス」
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碓井 丹波守 槐
「槐がお手伝いしたからもんねぇー!」
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鳥羽 魅兎
「そうっスねぇ」
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と、ガサガサゴソゴソと和菓子を即日お届けにして注文した。
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碓井 丹波守 槐
「わぁ!! お菓子だぁ!」
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鳥羽 魅兎
「槐様のっス、お茶もどうぞ」
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お菓子に釣られている間に、データを転送した。
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鳥羽 魅兎
「じゃあ、研究に戻るっス!」
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碓井 丹波守 槐
「はーい、またねぇー!」
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作戦当日
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美保関 少弐 天満
「買い物ねぇ。。。何買うんだろ。。」
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街の時計の下で待つ天満、鳥羽から送られて来た資料には買い物に付き合う事と書いてあった。
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山田 ランスロ 玉子
「おーい! 今日は宜しく頼む!」
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山田玉子が、声を上げて向かっていた。
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美保関 少弐 天満
「先輩~。遅いですよぉ!」
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山田 ランスロ 玉子
「何? 待たせてしまったのか、それは申し訳ない!」
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美保関 少弐 天満
「御飯奢って下さいね!」
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山田 ランスロ 玉子
「あぁ、勿論! 何が食べたいんだ?」
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美保関 少弐 天満
「んー。イタリアンとかですかねぇ??」
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山田 ランスロ 玉子
「分かった。すぐに手配をさせよう」
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美保関 少弐 天満
「ありがとう御座います♡ それで先輩。。今日の買い物はどこに行かれるんですか?」
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山田 ランスロ 玉子
「あぁ、
某 のドレスを見に行くんだ」 -
美保関 少弐 天満
「ど、ドレス。。?」
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山田 ランスロ 玉子
「急遽、パーティーに招待されてな、新調しに来たんだ」
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美保関 少弐 天満
「え、でも先輩胸ありませんよね?」
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山田 ランスロ 玉子
「あるわ!!!」
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美保関 少弐 天満
「え、貧相な胸に合うドレスってありますか。。?」
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山田 ランスロ 玉子
「今から見に行くんだ!!!」
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美保関 少弐 天満
「心の余裕は胸の豊かさですよ?」
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山田 ランスロ 玉子
「関係ないだろぉ!!!」
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と向かった店は、かなり値の張る所だった。
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山田 ランスロ 玉子
「何をしてるんだ、某に付いて来い」
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美保関 少弐 天満
「え、ここめっちゃ高い。。所。。。」
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山田 ランスロ 玉子
「そうなのか? いつもここにしか行かないから分からない。いい所があるのか?」
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美保関 少弐 天満
「はえ。。?」
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美保関 少弐 天満
(え、大金持ちの会話しててクラクラしそう。。)
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鳥羽 魅兎
「あ、天満って子にお金持ちって伝えてなかったっス」
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遠くから尾行するように、伝え忘れた事を思い出した。
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その後の作戦は、何も起きず過ぎていった。
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ドレスを新調した後アクセサリーやバックを見て、高級料理店まで連れて行かれて金持ちの感覚に付いて行けなくなった天満が交替を申請した。
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その後は招待されたパーティーに行く事になっているので、魅兎がエスコートをする事になった。
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鳥羽 魅兎
「ドレスお似合いスね」
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山田 ランスロ 玉子
「某に相応しいだろ! 魅兎はタキシードなんだな」
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鳥羽 魅兎
「まぁ、ドレスが映えていいんじゃないスかねぇ」
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山田 ランスロ 玉子
「ははは、そうだな! 某が魅力的だからな!」
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鳥羽 魅兎
「ハイハイ、行くっス」
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腕を組んで、パーティー会場に入って行った。
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中に入って行くと、山田がだんだん大人しくなっていった。
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どうやら、緊張しているらしい。
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鳥羽 魅兎
(まあ、親も手を焼くぐらいの厨二病。。。いつもの感じでは話せないスね)
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鳥羽 魅兎
「今日は魅兎が相手するっス。隣に居てくれるスか?」
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コクっと、頭を下げた。
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鳥羽 魅兎
(この砕けた感じも印象に左右されるっス。仕事モード対応切り替えっス)
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一ノ瀬 蒼空
「招待状を確認致します」
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鳥羽 魅兎
「お嬢様、お飲み物は
如何 なさいますか?」 -
山田 ランスロ 玉子
「えっと。。オレンジ。。。」
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鳥羽 魅兎
「オレンジジュースを二つ」
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一ノ瀬 蒼空
「確認できました。お飲み物を受け取り広間へどうぞ」
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鳥羽 魅兎
「行きますよ」
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この先には持ち物検査があり、目立った武器を持ち込む事ができないので、会場周辺を偵察している同僚の黒沢俄勝に刻弾魔を預けて、広間へと向かった。
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入った瞬間に、違和感を覚えた。
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山田が狙われている事が、すぐに分かった。
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警戒態勢を取っていると、辺りが暗くなった。
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鳥羽 魅兎
「手を掴んでて下さいっスね」
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山田 ランスロ 玉子
「わ、分かった」
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今まで秘密裏に処理されていたので、慌てている山田を
宥 めながら辺りを見渡した。 -
近付いて来る足跡が、多い。
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鳥羽 魅兎
(近距離戦では不利過ぎる。。)
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そう思いながら打開策を考えていると、異変を察知した黒沢俄勝が駆け付け、刻弾魔を鳥羽に投げ渡すと同時に、山田を連れて脱出する態勢を取った!
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黒沢 俄勝大姉 蓬艾
「山田様の護衛は私に! 鳥羽様は
折伏 をお願い致します!」 -
鳥羽 魅兎
「ういっス~。お嬢様お願いっスね~!」
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ハンドガンを撃ちながら、敵勢力を制圧して行く。
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パーティー会場の敵を片付け終わると、悲鳴が聞こえた。
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山田を連れて逃げたはずの黒沢俄勝が、負傷していた!
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妖魔が、負ける…?
有り得ないと思いながらも、山田が敵勢力に攫 われて行く! -
山田 ランスロ 玉子
「や、やだぁ。。。たすけてぇ!」
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声を聴いて、刻弾魔を構えて撃った。
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逃走車両に当たっているが、スピードが落ちない。
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細工がされている!
後を追いながら撃ち続けたが、中々止まる気配が無い。 -
鳥羽 魅兎
「魔眼解放! 刻弾ッ!」
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モルダバイトの魔眼を解放し撃つと、タイヤに当たり車は止まった。
相手は3人、居るようだ。 -
一人ずつ、確実に仕留めていった。
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最後の一人が、山田を人質に取って足掻いていた。
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鳥羽 魅兎
「正確に撃ち抜くっス」
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正確な射撃で、山田に当てずに撃ち抜いた。
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ステイモードに入っているため、すぐセーブを起動し山田の安否を確認した。
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気絶しているようで、それ以外の外傷は見られなかった。
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それにしても、総督府に所属している黒沢俄勝が負傷するほど強い奴の居る事が分かった。
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もう、近くに居る様子も無い。
山田の救出に手間取っている間に、逃走したようだ。 -
とても長い一日が、終わろうとしていた。
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嶺咲 ウルスラ
「山田さんって軍の令嬢だったのね。。ふふ」
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と、微笑む女性がぽつりと
呟 いた。
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