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お嬢様
……川島
まだ起きてる?
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執事
お嬢様!
いかがなさいましたか。
まさか、
どこか具合がお悪いとか
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お嬢様
ううん、そうじゃないの。
なんだか眠れなくて。
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執事
さようでございましたか。
リラックスできる温かいお茶をお淹れいたしましょう。
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お嬢様
大丈夫。
ただ、川島にくっついて寝たいなって。そうすれば安心して眠れると思う。
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執事
かしこまりました。
私も、ちょうど横になっていたところです。
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執事
お嬢様、こちらへ……。
-
お嬢様
ありがとう、お邪魔しまーす。
川島の部屋ひさしぶり。
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お嬢様
ベッドで本読んでたんだね。
川島は、そのまま続きを読んでていいから。 -
執事
よろしいのですか?
-
お嬢様
うん。少しだけ髪の毛さわっててもいい?
-
執事
もちろんです。
私のすべては
お嬢様のものですから。 -
執事
…………
-
お嬢様
ふふ。
川島の髪、気持ちいい。
-
執事
…………
-
お嬢様
ナデナデ
-
執事
……はぁ。
-
お嬢様
?
-
執事
集中できない。
-
お嬢様
ぁ……そうだよね。
ごめんなさい。
-
執事
お嬢様の手が気持ちよすぎて
集中できないって
言ってるんです。
-
お嬢様
え?今なんて──
-
執事
このようなイタズラな手は、こうして押さえておきましょうね。
-
お嬢様
あっ、川島……!
-
執事
チュ、……ん…お嬢様
-
お嬢様
んンっ……
はぁ…ん -
執事
……このまま運動なさいますか?
グッスリお休みになれますよ。
-
お嬢様
運…動って?
-
執事
ン……っそれはもちろん
気持ちいい……運動です。 -
お嬢様
川島のバカ!エッチ。
私はただ安心して寝たいって言ったでしょ。
-
執事
は、申し訳ございません。
お嬢様の方から来てくださったのが嬉しくて、つい。 -
執事
それでは何か、眠くなることをいたしましょう。
-
お嬢様
じゃあ単純に、しりとりは?
-
執事
ふふ。お可愛らしい。
よろしいですよ。
-
お嬢様
私からね。
りんごの「ご」
-
執事
ごちそうさま、と可愛らしく
微笑むお嬢様の「ま」
-
お嬢様
ふふっ、なにそれ。
マンガの「が」
-
執事
ガーベラを愛でる清楚で可憐なお嬢様の「ま」
-
お嬢様
…………。
マスカラの「ラ」
-
執事
ラ・カンパネラを優雅に
弾きこなすお嬢様の「ま」
-
お嬢様
また「ま」?
川島、まじめにやってよ! -
執事
「よ」でございますか。
よ、よ、よ…… -
お嬢様
ちがうー。
ちゃんと単語を連想して
しりとりするの。
-
執事
そのように仰られましても。
私が連想するのは、お嬢様のことばかりなのですから仕方ないでしょう。 -
お嬢様
それは嬉しいけど……
うーん、
しりとりはもう終わり。 -
お嬢様
手をつないでいい?
普通にしてた方が眠れるかも。
-
執事
かしこまりました。
私の手が上で
重くはないですか。 -
お嬢様
大丈夫……。
スー。スー。
-
執事
よかった、無事にお休みになられたようだ。
-
お嬢様
うぅーん。
-
執事
!!
お嬢様の手が
オレの……上にっ
-
お嬢様
んー……。
-
執事
あっ……そんな、手の甲で
-
執事
は…あぁ、気持ち…いい
お嬢様…っ……ダメです
-
お嬢様
うーん……
スー。スー。
-
執事
はぁ、危なかった。
やっと退いてくれた。 -
執事
困ったな。逆にオレの方が
眠れなくなってしまった。
さっきのしりとりに、きちんと答えられなかった罰なのか?
-
お嬢様
スー。スー。
-
執事
お嬢様……うぅっ
つらい夜です。
おやすみなさいませ。 -
執事
羊が1匹、羊が2匹、
羊が3匹、羊4匹、 -
1時間後
-
執事
羊が601匹、羊が602匹、羊が603匹、
羊が……うぅっ。
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