パラレル兄弟

短気連載「Penalty game」
パラレル兄弟シリーズ(元ネタ提供 某名無し様)



その日、和田家はてんてこ舞いの忙しさであった。
原因は長兄、宗一郎の寝坊である。

「あり得ねぇあり得ねぇあり得ねぇ!!」

そう叫びながら、なぜか止まっていた目覚まし時計を放ると、宗一郎はスウェットのまま子供部屋へと走った。

「大雅、隆平!!起きろ!!遅刻だ!!」

怒鳴り声を上げながらドアを叩き破るようにして開ける。
すると、部屋の隅に置かれた二段ベッドの上に寝ていた大雅が、不機嫌そうにモソモソと布団から顔だけ出すと、枕元にあった自分の時計を確認して、また寝返りを打った。

「起きろっつてんだおめぇはぁあああ!!」

声を荒げて二段ベッドまで大股で近づいた宗一郎は、布団を剥いで再び夢の中へ誘われようとしていた大雅を二段ベッドから引き摺り降ろした。

「隆平も起き…ん?」

大雅のパジャマの襟元を手に掴んだまま下を覗き込むと、そこに寝ているはずの末弟の姿が見当たらない。
それにはて、と首を傾げた宗一郎は、背筋を伸ばして大雅の布団を探ってみるが、やはり居ない。
一体どこへ、と部屋を見渡すと、宗一郎が入って来た子供部屋のドアのすぐ横でパジャマから腹を出したまま大の字で熟睡している隆平が発見された。

「ダイナミック寝相ーー!!」

一体いくつ寝返りを打てばここまで来られるんだよ‼と、律儀にツッコミを入れたにも係わらず、二人の弟が目覚める気配は全く無かった。


現在、朝の7時半。


和田家の両親が海外出張に出掛けてから初めての朝。

長男、宗一郎(17歳)、次男、大雅(10歳)。
そして三男、隆平(4歳)の三人だけの生活が始まった。
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