覚悟(中編)
いったい何の目的で連れてこられたか全く見当の付かない。
この少女に何をされるか、はじめのうちは警戒していた隆平だが、滅多にお目にかかれない美少女の迫力に、若い少年の心はあっけなく奪われてしまった。
そんなわけで、現在隆平の脳内には警戒はおろか、心配さえなく、わくわくな妄想ばかりが先走っている状況に陥っていた。
目の前の少女が少し身じろぐだけで良い香りが漂う。
それが今まで嗅いだことがないような実に甘い香りで、隆平は拉致された理由も忘れ、頭が真っ白になって、胸がドキドキするのを抑えられなかった。
透けるような白い肌、大きな目、細い腰、柔らかな髪。
以前会った時と同じで、彼女は本当に可愛くて、綺麗な少女だった。
そしてピンク色の唇が艶めかしく動く。
「ちょっと。聞いてんの?」
「へ。」
その綺麗な顔に険しい表情が浮かびあがり、隆平はハッとした。
どうやら自分が彼女に見とれている間に、話が進んでいたらしいのだ。
「…聞いてなかったの。」
「いえーーーー!!!滅相もありません!!き、き聞いて、まし、ま、ま…」
口ごもった隆平を見て、怜奈はハァ、と形の良い眉を顰めてため息を吐いた。
その動作や表情が壮絶な色気を放っていて、隆平の心臓の音は、もうドキドキなんてかわいいものではなくなっていた。
「(太鼓だ…!!太鼓鳴ってる!!どんどん鳴ってる!!息できない!!くるしい!!)」
そして顔に血が昇り、真っ赤になった隆平は、いよいよ耐え切れず、「もうだめだ」と呟くと勢いよく自分の鞄をトマトのようなった顔に押し付け、視界から怜奈を遮った。
「…。」
「…。」
「ちょっと。」
「すいません、違うんです。気にしないでください。」
「…。」
最善の策を取ったつもりの隆平だったが、その防衛策は立ち上がりテーブル上に乗り出してきた怜奈にあっけなく鞄を奪われる羽目となった。
「ぎゃー!!ちょっと!!だめ!!返して下さい!!」
慌てた隆平が、必至で鞄を取り返そうと怜奈の方に腕を伸ばそうと身を乗り出した。
と。
「!!!!」
彼のすぐ目の前には、大胆に空いたシャツの胸元から彼女の胸の谷間が覗いていた。
さらに、それに合わせて大きな胸がシャツ越しでぷるんと揺れたのを間近で目撃した隆平は顔を真っ赤にしたのち、白目をむいた。
それはおそるべき破壊力。
その隆平の一瞬の隙を付いた怜奈は手早く隆平の鞄を引っ手繰ると、自分の方へ鞄を置き、
その上に自分の鞄を乗せた。みごとな早業である。
「あああああ…」
鞄の行方を情けない声で追った隆平が、白目のまま声と同じくらい情けない顔をして、行き場を無くした両手を空中で彷徨わせていると、鞄争奪に見事勝利した怜奈が再びテーブル上に凱旋し、すごみをきかせて隆平を睨み付けた。
「…ナメてんの?」
ピンク色の唇を尖らせて、眉を吊り上げた怜奈が眼前に迫り、隆平は迫力に押されて思わず仰け反った。と、いうのも、顔が近づくのと同時に彼女の胸も迫ってきたからである。
そして隆平の判断能力は美しく豊満な谷間と、艶めかしく動くピンクの唇のおかげで著しく低下した。
「(な、舐める…!!?)」
怜奈の唇がピンクなら、隆平の頭の中もまっピンクだった。
多感でお盛んな年頃の少年に、紙面では無い本物の女の谷間は、おそらくメテオよりも破壊力があったに違いない。
「それとも何、これってあたしに対する挑戦と受け取っていいわけ?」
「朝鮮…!?」
「つーか、あたしのこと覚えるって言ったけど、本当に分かってんの?」
「民主主義」と思わず続けそうになった隆平はハッとしてから彼女の問いにこくこくと頷いた。
「く、九条先輩のかの、お、お友達、です」
しどろもどろの隆平の答えを聞いた怜奈は、何やら不満げに眉を潜めたが、まぁ、半分は正解か、と小さくため息をついた。
半分って何だ、と隆平が僅かに怪訝な顔をすると、怜奈は表情を変えないまま「オッケー」と呟いた。
「そう、あたしと九条はお友達。でもただのお友達じゃないから。」
「?」
にこ、と可愛らしく笑った怜奈に反射で隆平もにこ、と思わず微妙だと定評のある引きつった笑みを返してしまうが、隆平の脳内は怜奈の言葉についていけない。
ただでは無いと言うのであれば一体なんなんだ。
「あたしと九条は、ふつーのお友達と違って、えっちな事ができるお友達なわけ。」
「はい?」
「いわゆるセフレ、セックスフレンドってやつ。」
「せ…?」
瞬間、隆平の思考回路が完全に停止した。
が、やはりそんな状況になったとしても隆平の視線の先に豊満な二つの膨らみがあったのは言うまでもなかった。
この少女に何をされるか、はじめのうちは警戒していた隆平だが、滅多にお目にかかれない美少女の迫力に、若い少年の心はあっけなく奪われてしまった。
そんなわけで、現在隆平の脳内には警戒はおろか、心配さえなく、わくわくな妄想ばかりが先走っている状況に陥っていた。
目の前の少女が少し身じろぐだけで良い香りが漂う。
それが今まで嗅いだことがないような実に甘い香りで、隆平は拉致された理由も忘れ、頭が真っ白になって、胸がドキドキするのを抑えられなかった。
透けるような白い肌、大きな目、細い腰、柔らかな髪。
以前会った時と同じで、彼女は本当に可愛くて、綺麗な少女だった。
そしてピンク色の唇が艶めかしく動く。
「ちょっと。聞いてんの?」
「へ。」
その綺麗な顔に険しい表情が浮かびあがり、隆平はハッとした。
どうやら自分が彼女に見とれている間に、話が進んでいたらしいのだ。
「…聞いてなかったの。」
「いえーーーー!!!滅相もありません!!き、き聞いて、まし、ま、ま…」
口ごもった隆平を見て、怜奈はハァ、と形の良い眉を顰めてため息を吐いた。
その動作や表情が壮絶な色気を放っていて、隆平の心臓の音は、もうドキドキなんてかわいいものではなくなっていた。
「(太鼓だ…!!太鼓鳴ってる!!どんどん鳴ってる!!息できない!!くるしい!!)」
そして顔に血が昇り、真っ赤になった隆平は、いよいよ耐え切れず、「もうだめだ」と呟くと勢いよく自分の鞄をトマトのようなった顔に押し付け、視界から怜奈を遮った。
「…。」
「…。」
「ちょっと。」
「すいません、違うんです。気にしないでください。」
「…。」
最善の策を取ったつもりの隆平だったが、その防衛策は立ち上がりテーブル上に乗り出してきた怜奈にあっけなく鞄を奪われる羽目となった。
「ぎゃー!!ちょっと!!だめ!!返して下さい!!」
慌てた隆平が、必至で鞄を取り返そうと怜奈の方に腕を伸ばそうと身を乗り出した。
と。
「!!!!」
彼のすぐ目の前には、大胆に空いたシャツの胸元から彼女の胸の谷間が覗いていた。
さらに、それに合わせて大きな胸がシャツ越しでぷるんと揺れたのを間近で目撃した隆平は顔を真っ赤にしたのち、白目をむいた。
それはおそるべき破壊力。
その隆平の一瞬の隙を付いた怜奈は手早く隆平の鞄を引っ手繰ると、自分の方へ鞄を置き、
その上に自分の鞄を乗せた。みごとな早業である。
「あああああ…」
鞄の行方を情けない声で追った隆平が、白目のまま声と同じくらい情けない顔をして、行き場を無くした両手を空中で彷徨わせていると、鞄争奪に見事勝利した怜奈が再びテーブル上に凱旋し、すごみをきかせて隆平を睨み付けた。
「…ナメてんの?」
ピンク色の唇を尖らせて、眉を吊り上げた怜奈が眼前に迫り、隆平は迫力に押されて思わず仰け反った。と、いうのも、顔が近づくのと同時に彼女の胸も迫ってきたからである。
そして隆平の判断能力は美しく豊満な谷間と、艶めかしく動くピンクの唇のおかげで著しく低下した。
「(な、舐める…!!?)」
怜奈の唇がピンクなら、隆平の頭の中もまっピンクだった。
多感でお盛んな年頃の少年に、紙面では無い本物の女の谷間は、おそらくメテオよりも破壊力があったに違いない。
「それとも何、これってあたしに対する挑戦と受け取っていいわけ?」
「朝鮮…!?」
「つーか、あたしのこと覚えるって言ったけど、本当に分かってんの?」
「民主主義」と思わず続けそうになった隆平はハッとしてから彼女の問いにこくこくと頷いた。
「く、九条先輩のかの、お、お友達、です」
しどろもどろの隆平の答えを聞いた怜奈は、何やら不満げに眉を潜めたが、まぁ、半分は正解か、と小さくため息をついた。
半分って何だ、と隆平が僅かに怪訝な顔をすると、怜奈は表情を変えないまま「オッケー」と呟いた。
「そう、あたしと九条はお友達。でもただのお友達じゃないから。」
「?」
にこ、と可愛らしく笑った怜奈に反射で隆平もにこ、と思わず微妙だと定評のある引きつった笑みを返してしまうが、隆平の脳内は怜奈の言葉についていけない。
ただでは無いと言うのであれば一体なんなんだ。
「あたしと九条は、ふつーのお友達と違って、えっちな事ができるお友達なわけ。」
「はい?」
「いわゆるセフレ、セックスフレンドってやつ。」
「せ…?」
瞬間、隆平の思考回路が完全に停止した。
が、やはりそんな状況になったとしても隆平の視線の先に豊満な二つの膨らみがあったのは言うまでもなかった。