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九龍 千歳
梅田、助けてくれ。
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梅田 伊織
ん?何?
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九龍 千歳
俺はもうダメかもしれない。
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梅田 伊織
は?なんだよ
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九龍 千歳
俺は多分一生このままでいなければならないのかもしれない。
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梅田 伊織
だからなんだってば!
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九龍 千歳
今、俺はアイツを捕獲している。
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梅田 伊織
アイツ?
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九龍 千歳
黒光りする、全人類の敵のアイツだ。
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梅田 伊織
え、ゴキブリ?
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九龍 千歳
馬鹿野郎!
名前を出すな…名前を言ってはいけない…! -
梅田 伊織
ヴォルデモートかよ
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九龍 千歳
一人で夕飯を取っていたのだが、丁度床を這いずり回っていたアイツと目が合ってしまった。
そこで俺は咄嗟に手に持っていた茶碗を被せてしまったのだ。 -
梅田 伊織
へぇ、まあ捕まえられたなら良かったじゃん
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九龍 千歳
お前は馬鹿なのか?
茶碗で被せただけだぞ?
これ、俺が手を少しでも動かして茶碗と床の間に隙間が空いてしまったら、完全にパンドラの箱が開く。 -
梅田 伊織
ちょっとだけ茶碗浮かせて殺虫剤をぶち込むとか?
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九龍 千歳
この家にいるのは俺だけだ。
殺虫剤には手が届かん。
ポケットに入っていた携帯を取って、お前に連絡するのが関の山だった。 -
梅田 伊織
じゃあそのまま放置してれば?
飯が無いんじゃゴキブリも生きていけないだろ? -
九龍 千歳
おまっ!名前を言うなって!
いや、飯はあるんだ。
というか俺が与えてしまった。 -
梅田 伊織
もしかして、茶碗の中にまだご飯入ってたとか?
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九龍 千歳
That's Right.
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梅田 伊織
腹立つな!
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九龍 千歳
コイツの生命力なら茶碗1杯分の白米でどれだけ生き延びられるか計り知れん。
俺が先にくたばる事になる…。
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梅田 伊織
いや、その前に家族の誰かしら帰ってくるだろ。
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九龍 千歳
両親は旅行中、妹は友達の家へお泊まり、爺ちゃんはもう寝ている。
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梅田 伊織
あ、詰んでるわ
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九龍 千歳
一生のお願いだ。
今から俺の家に来てくれ。 -
梅田 伊織
こんなとこで一生のお願いを使って良いのかよ。
まあ行くけどさ。 -
九龍 千歳
ありがとう!
命の恩人、感謝永遠に!! -
九龍 千歳
よし、今鍵を開けたからいつでも来い!
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梅田 伊織
あれ、茶碗から手が離せなかったんじゃなかったの?
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九龍 千歳
…TheEND.
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