小さな物語

「シラス君は、神様に美しく造られた芸術作品だと思いますの」
「はぁ……?」
 うっとりとしたように言う王太女リゼットと、よくわからないがとりあえず返事をする騎士団長シラス。
 彫刻のように整ったやや冷たさを感じさせる中性的な美貌だが、シラス本人に自覚はない。
「わたくしを造る時は、猫のことでも考えてたのかしら?」
 可愛らしい顔立ちのリゼットは、猫のような口が特徴的だ。両親や祖父母からの遺伝ではないが、初代女王エリサベトの肖像画を見ると猫のような口をしている。
「……愛らしさを追求しようとしたのでは?」
 シラスが言った。
 真相は、神様だけが知っている。
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