小さな物語
地平線に沈む夕日は、全てのものを赤く染めていくようだ。
「シラス君!」
王都からさほど遠くない村。
馬から飛び降りた王太女は、騎士団長のもとに駆け寄る。処々を血に染めたシラスと聖剣 。辺りには彼が斬り伏せた魔獣たちが転がっていた。
「リゼット様……何故」
来たのかとシラスが問う前に、血で汚れた身体に触れられた。貴婦人なら卒倒してそうな状況だが、この王太女はこれくらいのことでは怯まない。
「さすがシラス君。無事で良かったのですわ……怪我はなくて?」
「ご心配なく。全て返り血です」
安心させようとリゼットに触れかけて、シラスは手を止めた。綺麗なリゼットを汚してしまう。
「……えいっ」
リゼットはシラスに抱きついた。
「汚れることなど構わないのですわ」
笑うリゼットを、シラスは優しく抱き返した。
「もうすぐ日が沈みますわ。早く帰って休みましょう」
単騎の王太女を慌てて追いかけてきたのだろう。騎士団の馬車が見えた。
「シラス君!」
王都からさほど遠くない村。
馬から飛び降りた王太女は、騎士団長のもとに駆け寄る。処々を血に染めたシラスと
「リゼット様……何故」
来たのかとシラスが問う前に、血で汚れた身体に触れられた。貴婦人なら卒倒してそうな状況だが、この王太女はこれくらいのことでは怯まない。
「さすがシラス君。無事で良かったのですわ……怪我はなくて?」
「ご心配なく。全て返り血です」
安心させようとリゼットに触れかけて、シラスは手を止めた。綺麗なリゼットを汚してしまう。
「……えいっ」
リゼットはシラスに抱きついた。
「汚れることなど構わないのですわ」
笑うリゼットを、シラスは優しく抱き返した。
「もうすぐ日が沈みますわ。早く帰って休みましょう」
単騎の王太女を慌てて追いかけてきたのだろう。騎士団の馬車が見えた。
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