謝憐がこの世で一番愛してやまないのは
ひらひらと銀色の蝶が舞う。
寝起きで頭がぼーっとしていた謝憐は、隣で寝ている花城を起こさない様に気を遣いながら、その蝶へ向かって人差し指を差し出した。
ふわっと風のような軽やかさで蝶が謝憐の指先に止まり、羽根休めのようにゆっくりとぱたぱた双翅を羽ばたかせる。
「兄さん」
てっきりまだ彼は寝ていると思っていた謝憐はびっくりして身動ぎし、それと同時に銀色の蝶も跡形もなく消えてしまっていた。
「三郎、起きたのかい」
昨晩の情事のせいで一糸まとわぬ姿で寝てしまった自分を恥じたのか、白衣を胸元まで引き寄せる謝憐の赤くなった頬を見、眼帯で隠されていない方の花城の目が笑いの形を取る。
これについては謝憐はしょっちゅう花城に言っているのだが、一向に彼が改める気がないのが困りものだ。
笑いたいなら思い切り笑えば良いし、馬鹿にしたいならはっきりそう言えば良い。
花城のやり方はいつもどちらとも取れる曖昧な表現で、それについて文句を言う謝憐の不満も押し倒されて口付けで塞がれてしまった。
「さ…三郎、その…、朝だし。そろそろ起きて、ほら、朝ごはんを作ったりしないと」
「兄さんは寝ていて良いよ。俺がやるから」
そう言いながらも花城は謝憐の身体を裏返しにし、剥き出しになった彼の臀部に硬くなったものが当てられる。
謝憐の頬の赤みは更に増したが、それよりも恥ずかしいのはこの触れ合いで自身の股間も同じように反応を示してしまったことだ。
鬼の砲身は人間のそれと違い、生身の身体の温かさはないものの、それが故に一層、硬く感じられる。
いや、他者と比べる程、謝憐は自分自身のそれについてさえ精通しているわけじゃないが、「三郎、頼むから」ともう一度彼に頼み込む前に、既に謝憐の中にそれは入り込んでしまっていた。こうなるともう謝憐にもどうにもならない。
背後から突かれ、強弱をつけて幾度も揺すられ、花城の唇に肌を吸われ、翻弄されるうちに、謝憐の身の内にも熱く、官能的な欲情が湧き起こる。
「あ……」
とか細く泣く、謝憐の鼻先に先程の蝶が飛来し、無数の鱗翅で埋め尽くされる幻想の中に謝憐を閉じ込め、彼は鬼王の腕の中で藻搔き、蝶の中へと埋もれて行った。
おかげで今朝は朝から謝憐のご機嫌がいささか斜めのご様子だ。
そうは言ってもこの太子殿下は修行のせいかのおかげで、感情の波に揉まれて、激情をぶつけたりなどしないが、花城を見る目が何やらちくちくと刺々しく感じる。
「三郎、今日の羹の出来はどうかな」
「うん。美味しいよ。兄さんが作る物なら、何でも美味しい」
「それは良かった」
と言いつつ、謝憐はまったく口にせず、先程から皮を剥いた慈姑だけを食べ続けている。明らかにわざと塩辛く、それはもう花城でなければ気が狂う程のクソ不味くて、到底、食べられないものを敢えて気の向くままに作ったに違いない。
先程の仕返しとばかりにふふんといつになく得意気な謝憐を見ることが出来たのだから、この世のものとは思えない食事を与えられようと花城は充分、満足だった。
「いつもならきみの方が早く起きてるのに」
それに死霊蝶が彼の意図から外れて勝手に飛んでいた。死霊蝶は花城の耳であり、目であり、そして彼の武器でもある。
寝ている最中に花城の身の回りを舞うのは非常に稀で、謝憐もそのことが気になったようだ。
特にそのことを指摘されても花城は動じもせず、いつも通り、眉を動かしただけで「ああ、夢を見ていた」とあっさり答えてくれた。
鬼王が見る夢──?
謝憐の目にはっきりと興味を示す光りが見え隠れする。
それを見ても別段、面倒とも思わない顔で花城は笑うと、「兄さんの夢を見ていた」とあっさり教えてくれた。
「私の?」
「うん。兄さんの」
「どうせろくでもない夢だ」
「どうしてそう思うの?」
「どうしてって───」
そんなこと、口に出来る筈はない。
謝憐は高潔な士で、三界の笑いものなどと嘲られようと、彼の心は常に清廉潔白なのだ。
夢の中で花城と抱き合い、彼の愛撫に身を委ね、声も絶え絶えになる程、喘ぐ姿など、想像したくもない。
「安心して。兄さんが思うような夢じゃないから」
「わ、私は、べべべつに、そんな変な夢は想像して」
「だから安心してってば。兄さんが子供の頃の夢さ」
花城のその言葉で謝憐の手から食べかけの慈姑の実が落ち、コロコロと卓の上を転がる。花城は箸でその実を捉えると、汚れた実をもったいないと謝憐が食べてしまわない様に、そっと自分の傍へと移動させた。
「私の子供の頃なんて、きみが知る筈がない」
「うん。俺は兄さんより後に生まれてるからね。でも死霊蝶を使えば出来ないこともない」
「………」
「そんな顔しないで。太子殿下はものすごく可愛くて、愛らしくて、そして皆に愛されていた」
「──過去のことだよ」
「捨てる必要はない。過去も今も、兄さんは誰よりも最高で、至上で、素晴らしい人だ」
「もー、三郎!」
ぐしゃぐしゃと髪を掻き毟り、卓に突っ伏す謝憐の反応に花城はくすりと笑いはしたが、彼のご機嫌を取って、「そうだね、過去の兄さんは今の兄さんとは関係ない」とは言ってくれなかった。
どうやら花城は本当に小さな頃の謝憐に会ったようで、「兄さんと一緒に金箔の城を作って遊んでた」と報告してくれた。
「俺が壊そうとしたら、子供の兄さんは「そんなことしちゃ駄目だ」って怒ってさ。どうしてと聞いたら、「散り散りになるのが怖いから」と言っていた」
花城の言葉は謝憐にも覚えのある感情だったようで、しばし感慨に耽った後、「そうだな」と自嘲気味に笑って頷く。
「昔はまとまったものが壊れるのが怖くてね。一度それを目にしてしまうと食事も喉を通らなくなったし、寝ることも出来なかった。母后はそんな私を心配して、一晩、付きっきりで私を宥めてくれた。父王は「きみが皇子を公主の様に甘やかすからだ」と良く怒ってた」
気を取り直して、謝憐は花城に他にどんな遊びをしたのかとあれこれ聞いてくる。
銀の蝶を出し、幼い謝憐を笑わせてやり、一緒に蟻の巣をほじくり返したり、彼を担いで城壁に登り、城の外の景色を見せてやったと説明してやった。
「そうか」
「兄さんは楽しそうだったよ」
「うん」
実際に子供時代の謝憐自身が体験したかのように謝憐の顔にも微笑が戻る。
「三郎、その羹はたぶん、クソ不味いからちゃんと作り直すよ」
「太子殿下がクソ不味いなんて言葉を使っても良いの?」
「その太子殿下に、先祖に顔向けできないような、はしたない真似をさせている鬼王が気にすることか?」
「確かに」
別に謝憐の料理が不味かろうが、花城は全然気にしないのだが、とりあえず彼のご機嫌が戻った様で安心したらしい。
それに夢で見た謝憐の皇子時代の姿は本当に愛くるしくて、白い手や頬など真っ白で穢れのない餅か、ふわふわな饅頭のようだったのだ。
隻眼の紅い衣を着た鬼の王を見た子供時代の謝憐は、
「お兄さん、だあれ?」
と小首を傾げ、人懐っこい笑みを浮かべ、花城の差し出す手を臆しもせずに取り、大人しく彼の腕の中に収まってくれた。
「太子殿下」
花城の呼び掛けに、幼い謝憐が「ん?」と首を傾げ、
「俺と一緒に行きますか?」との問いにも、
「いいよ」
とあっさり答えてくれた。
「俺が誘拐犯だったら、どうします、太子殿下」
「大声で叫ぶけど、でもあなたは悪い人には見えないよ」
「なるほど。では太子殿下はどこに行きたいですか? 僕の俺がどこへなりともお連れ致しますよ」
「お城の外!」
謝憐の小さな手はしっかりと花城の肩を掴み、そして彼が出して見せた死霊蝶を嬉しげに指先で戯れさせていた。
そして現実に戻り、花城は死霊蝶を一匹舞わせると、鍋を手に火の元へ向かう謝憐の方へ向かわせる。
鼻先で舞う蝶を見た謝憐が、かつての子供時代と同じ笑顔で笑い、「三郎」と困り顔をして見せた。
「好きだ兄さん。誰よりも愛してる」
「はいはい、分かったよ」
「俺ほどあなたを想う者はいないし、俺ほどあなたを欲している者もいない。三郎は兄さんだけを見続けているし、この先も兄さん以外、目に入らない」
「もう、分かったってば。いい加減、揶揄うのやめろってば」
からかってなどいない。
花城は何度もそう言ったが、謝憐は頑として冗談としか受け取らなかった。
そうでもなければ恥ずかしくて死んでしまいそうだ。
ぐつぐつと煮えたぎる鍋の中、謝憐が飛び込んで死んでも良いのかと言ったらようやく止めてくれた。
「じゃあ、兄さん。兄さんは三郎を愛している?」
「………」
良く聞こえないと後ろから抱き締める花城の腕から逃れようと謝憐は焦ってじたばた暴れるが、結局、最後には言わせられた。
謝憐がこの世で一番愛して止まないのは───
20240509
寝起きで頭がぼーっとしていた謝憐は、隣で寝ている花城を起こさない様に気を遣いながら、その蝶へ向かって人差し指を差し出した。
ふわっと風のような軽やかさで蝶が謝憐の指先に止まり、羽根休めのようにゆっくりとぱたぱた双翅を羽ばたかせる。
「兄さん」
てっきりまだ彼は寝ていると思っていた謝憐はびっくりして身動ぎし、それと同時に銀色の蝶も跡形もなく消えてしまっていた。
「三郎、起きたのかい」
昨晩の情事のせいで一糸まとわぬ姿で寝てしまった自分を恥じたのか、白衣を胸元まで引き寄せる謝憐の赤くなった頬を見、眼帯で隠されていない方の花城の目が笑いの形を取る。
これについては謝憐はしょっちゅう花城に言っているのだが、一向に彼が改める気がないのが困りものだ。
笑いたいなら思い切り笑えば良いし、馬鹿にしたいならはっきりそう言えば良い。
花城のやり方はいつもどちらとも取れる曖昧な表現で、それについて文句を言う謝憐の不満も押し倒されて口付けで塞がれてしまった。
「さ…三郎、その…、朝だし。そろそろ起きて、ほら、朝ごはんを作ったりしないと」
「兄さんは寝ていて良いよ。俺がやるから」
そう言いながらも花城は謝憐の身体を裏返しにし、剥き出しになった彼の臀部に硬くなったものが当てられる。
謝憐の頬の赤みは更に増したが、それよりも恥ずかしいのはこの触れ合いで自身の股間も同じように反応を示してしまったことだ。
鬼の砲身は人間のそれと違い、生身の身体の温かさはないものの、それが故に一層、硬く感じられる。
いや、他者と比べる程、謝憐は自分自身のそれについてさえ精通しているわけじゃないが、「三郎、頼むから」ともう一度彼に頼み込む前に、既に謝憐の中にそれは入り込んでしまっていた。こうなるともう謝憐にもどうにもならない。
背後から突かれ、強弱をつけて幾度も揺すられ、花城の唇に肌を吸われ、翻弄されるうちに、謝憐の身の内にも熱く、官能的な欲情が湧き起こる。
「あ……」
とか細く泣く、謝憐の鼻先に先程の蝶が飛来し、無数の鱗翅で埋め尽くされる幻想の中に謝憐を閉じ込め、彼は鬼王の腕の中で藻搔き、蝶の中へと埋もれて行った。
おかげで今朝は朝から謝憐のご機嫌がいささか斜めのご様子だ。
そうは言ってもこの太子殿下は修行のせいかのおかげで、感情の波に揉まれて、激情をぶつけたりなどしないが、花城を見る目が何やらちくちくと刺々しく感じる。
「三郎、今日の羹の出来はどうかな」
「うん。美味しいよ。兄さんが作る物なら、何でも美味しい」
「それは良かった」
と言いつつ、謝憐はまったく口にせず、先程から皮を剥いた慈姑だけを食べ続けている。明らかにわざと塩辛く、それはもう花城でなければ気が狂う程のクソ不味くて、到底、食べられないものを敢えて気の向くままに作ったに違いない。
先程の仕返しとばかりにふふんといつになく得意気な謝憐を見ることが出来たのだから、この世のものとは思えない食事を与えられようと花城は充分、満足だった。
「いつもならきみの方が早く起きてるのに」
それに死霊蝶が彼の意図から外れて勝手に飛んでいた。死霊蝶は花城の耳であり、目であり、そして彼の武器でもある。
寝ている最中に花城の身の回りを舞うのは非常に稀で、謝憐もそのことが気になったようだ。
特にそのことを指摘されても花城は動じもせず、いつも通り、眉を動かしただけで「ああ、夢を見ていた」とあっさり答えてくれた。
鬼王が見る夢──?
謝憐の目にはっきりと興味を示す光りが見え隠れする。
それを見ても別段、面倒とも思わない顔で花城は笑うと、「兄さんの夢を見ていた」とあっさり教えてくれた。
「私の?」
「うん。兄さんの」
「どうせろくでもない夢だ」
「どうしてそう思うの?」
「どうしてって───」
そんなこと、口に出来る筈はない。
謝憐は高潔な士で、三界の笑いものなどと嘲られようと、彼の心は常に清廉潔白なのだ。
夢の中で花城と抱き合い、彼の愛撫に身を委ね、声も絶え絶えになる程、喘ぐ姿など、想像したくもない。
「安心して。兄さんが思うような夢じゃないから」
「わ、私は、べべべつに、そんな変な夢は想像して」
「だから安心してってば。兄さんが子供の頃の夢さ」
花城のその言葉で謝憐の手から食べかけの慈姑の実が落ち、コロコロと卓の上を転がる。花城は箸でその実を捉えると、汚れた実をもったいないと謝憐が食べてしまわない様に、そっと自分の傍へと移動させた。
「私の子供の頃なんて、きみが知る筈がない」
「うん。俺は兄さんより後に生まれてるからね。でも死霊蝶を使えば出来ないこともない」
「………」
「そんな顔しないで。太子殿下はものすごく可愛くて、愛らしくて、そして皆に愛されていた」
「──過去のことだよ」
「捨てる必要はない。過去も今も、兄さんは誰よりも最高で、至上で、素晴らしい人だ」
「もー、三郎!」
ぐしゃぐしゃと髪を掻き毟り、卓に突っ伏す謝憐の反応に花城はくすりと笑いはしたが、彼のご機嫌を取って、「そうだね、過去の兄さんは今の兄さんとは関係ない」とは言ってくれなかった。
どうやら花城は本当に小さな頃の謝憐に会ったようで、「兄さんと一緒に金箔の城を作って遊んでた」と報告してくれた。
「俺が壊そうとしたら、子供の兄さんは「そんなことしちゃ駄目だ」って怒ってさ。どうしてと聞いたら、「散り散りになるのが怖いから」と言っていた」
花城の言葉は謝憐にも覚えのある感情だったようで、しばし感慨に耽った後、「そうだな」と自嘲気味に笑って頷く。
「昔はまとまったものが壊れるのが怖くてね。一度それを目にしてしまうと食事も喉を通らなくなったし、寝ることも出来なかった。母后はそんな私を心配して、一晩、付きっきりで私を宥めてくれた。父王は「きみが皇子を公主の様に甘やかすからだ」と良く怒ってた」
気を取り直して、謝憐は花城に他にどんな遊びをしたのかとあれこれ聞いてくる。
銀の蝶を出し、幼い謝憐を笑わせてやり、一緒に蟻の巣をほじくり返したり、彼を担いで城壁に登り、城の外の景色を見せてやったと説明してやった。
「そうか」
「兄さんは楽しそうだったよ」
「うん」
実際に子供時代の謝憐自身が体験したかのように謝憐の顔にも微笑が戻る。
「三郎、その羹はたぶん、クソ不味いからちゃんと作り直すよ」
「太子殿下がクソ不味いなんて言葉を使っても良いの?」
「その太子殿下に、先祖に顔向けできないような、はしたない真似をさせている鬼王が気にすることか?」
「確かに」
別に謝憐の料理が不味かろうが、花城は全然気にしないのだが、とりあえず彼のご機嫌が戻った様で安心したらしい。
それに夢で見た謝憐の皇子時代の姿は本当に愛くるしくて、白い手や頬など真っ白で穢れのない餅か、ふわふわな饅頭のようだったのだ。
隻眼の紅い衣を着た鬼の王を見た子供時代の謝憐は、
「お兄さん、だあれ?」
と小首を傾げ、人懐っこい笑みを浮かべ、花城の差し出す手を臆しもせずに取り、大人しく彼の腕の中に収まってくれた。
「太子殿下」
花城の呼び掛けに、幼い謝憐が「ん?」と首を傾げ、
「俺と一緒に行きますか?」との問いにも、
「いいよ」
とあっさり答えてくれた。
「俺が誘拐犯だったら、どうします、太子殿下」
「大声で叫ぶけど、でもあなたは悪い人には見えないよ」
「なるほど。では太子殿下はどこに行きたいですか? 僕の俺がどこへなりともお連れ致しますよ」
「お城の外!」
謝憐の小さな手はしっかりと花城の肩を掴み、そして彼が出して見せた死霊蝶を嬉しげに指先で戯れさせていた。
そして現実に戻り、花城は死霊蝶を一匹舞わせると、鍋を手に火の元へ向かう謝憐の方へ向かわせる。
鼻先で舞う蝶を見た謝憐が、かつての子供時代と同じ笑顔で笑い、「三郎」と困り顔をして見せた。
「好きだ兄さん。誰よりも愛してる」
「はいはい、分かったよ」
「俺ほどあなたを想う者はいないし、俺ほどあなたを欲している者もいない。三郎は兄さんだけを見続けているし、この先も兄さん以外、目に入らない」
「もう、分かったってば。いい加減、揶揄うのやめろってば」
からかってなどいない。
花城は何度もそう言ったが、謝憐は頑として冗談としか受け取らなかった。
そうでもなければ恥ずかしくて死んでしまいそうだ。
ぐつぐつと煮えたぎる鍋の中、謝憐が飛び込んで死んでも良いのかと言ったらようやく止めてくれた。
「じゃあ、兄さん。兄さんは三郎を愛している?」
「………」
良く聞こえないと後ろから抱き締める花城の腕から逃れようと謝憐は焦ってじたばた暴れるが、結局、最後には言わせられた。
謝憐がこの世で一番愛して止まないのは───
20240509