漆黒の王女〈後編〉

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 その後のシーナと僕は。



 涙が枯れたと同時に雨も上がったのだけど、僕達はいつまでも立てないでいた。

 でも、シーナの頭をずっと抱えたままなのがたまらなく恥ずかしくなって、パッと両腕の力を分散させた。

 自分の身体を預けていたものが急になくなって、シーナは不思議そうな顔をして僕を見上げる。

 その拍子に僕の腰を巻き付けるシーナの腕も、スルッと抜けた。

 今、ちょっと、シーナに顔を見られたくない。

 そう思って視線をずらそうとしたその時、

「…姫様? 姫様なのですか…!?」

 しゃがれた男の声がどこからか飛んで、シーナと一緒にキョロキョロすると、外壁沿いの垣根から老人と、若い女の人と、中年の男が2、3人、こぞって出てきたのだ。

「あ…じいや…? イオも…」

 シーナの精魂尽きた声を聞くなり、

「姫様あーー!」

 二人は涙ぐみながらシーナに飛びついて、僕を突き飛ばした。

「はっは、大丈夫か坊主?」

 軽く吹っ飛んだ僕は、連れの男のひとりに背中から支えられた。

 それに気付いた、イオと呼ばれた女の人がごめんなさいと慌て、僕とシーナを交互に見て言った。

「…こちらの坊やは…?」

「サザン…ザザの弟よ…
 ずっと、お世話になってた…」

 この言葉を聞いて、シーナは全てを思い出したんだと悟った。





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