12月24日の灯り

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 右手に図鑑、左手にゲームソフト、仲間の家へ向かう途中で私はある場所へ寄り道をした。

 もうクリスマスは終わった、いや、まだ25日、もしかしたら──一筋の期待を持った私は、再び出逢う事が出来た。あの奇っ怪な男に。

 私の願いは叶った、あなたの寄越した契約書が効いたのだと、いの一番に伝えるつもりだった。

 だが、私は彼に声を掛けられなかった。

 何故なら、この時の彼があの日の彼と様子が違ったからだ。

 もじゃ髪と無精髭、真っ赤なセーターに真緑のマフラー、恰好は全く一緒だったが、何と言ったらいいのか、とにかく別人に思えたのだ。

 彼は先輩とおぼしき中年の男に缶コーヒーを奢られながら、

「集金あとどのくらい?」
「いやあ、皆さんなかなかご在宅でなくてね」
「お前いつまでそんな浮かれた服着てんだ、もう年の瀬だろうが」
「勘弁して下さいよ、僕の一張羅なんですって」

 と話していて、妙にハキハキと喋っているのが違和感でしょうがなかった。

 「さあもうひと回りしてかなくちゃな」とふたりがそれぞれ持ち場に戻ろうとする所を、私はチャンスと思い今度こそ声を掛けると一歩踏み出した。

 ところが私が出来たのはそこまでで、どうした事か、私の身体がぴくりとも動かなくなったのだ。

 前もこんな事あったな、焦りながらも頭の隅でそんな事を思っていると、手からふたつの贈り物がドサリと落ちた。

 その音で、彼はこちらを振り向いた。





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