12月24日の灯り
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そうした事により光が入った妹の瞳は、なんだか星空みたいだな、なんて柄にもなく思いながら、
「メリークリスマス。おやすみ」
妹の頭をくしゃりと撫で付けて背を向けた。
そして自分の部屋に入ろうとドアノブに手を掛けた時、ドタドタと幼児特有の足音を鳴らしながら妹が、
「まっま! まっま! あっぱぁ、あーっぱぁ!」
リビングのドアの向こうへ消えていこうとした。
早く部屋に引っ込んだ方がいい、と思ったのが遅かった。
妹の来る気配を察知して、サンタのカラクリを知られたくない母親が、リビング侵入を防ぐ為に素早く廊下に出てきたのだ。
「ちょっともう、どうしたのよ、寝室に連れてって言ったじゃない…」
「まっま! こえ、こえ! あっぱぁ!」
母親の小言に被せて、妹が必死に私のサプライズを伝えようとする。
「これ、は…」
私が妹に贈ったのは。
流れ星の様なモチーフの、大きいスリーピンタイプの髪留め。
妹のお気に入りの◯◯マンが流星と共に飛んで来る──という設定を聞きかじっていたから、あの日、迷わず手に取った。
「にんにん! にんにんー!」
「え…お兄ちゃんから…? ええ…?」
妹からの大絶賛と、母親の鳩が豆鉄砲を喰らったような顔に、とても
「おやすみなさい」
早口でそう言って急いで閉めた、そのドアは乱暴に聞こえたかもしれない。
妹と母親はまだ何か話していたけれど、私はヘッドホンをして贈り物の図鑑を読み始めたから、知らないふりを出来た。
しばらくしてドアの外側は何も音がしなくなって──私は眠りに落ちていた。
電気を消さないままだったと思ったが、誰かがそっと消してくれたらしい。
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