12月24日の灯り
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先ほどバタバタと動き回っていた先生達の内のひとりが、ドアの向こうで返事を待っている。
(みさき先生? いいよ、どうぞ)
先生が遠慮がちに入ってくると、女の子はすぐさま駆け寄って、先生の腰回りにぎゅっと抱きついた。
(先生、みんなのプレゼントの準備は済んだの?)
見上げた女の子の顔を見て、先生は降参とばかりの表情を浮かべた。
(つばさちゃん、やっぱり気付いていたのね。
そう、みんながベッドに入った今の内に下で準備中よ…
つばさちゃんには、今年はもう枕元には置けないと思ったから…はい、メリークリスマス)
先生が可愛らしい小箱を差し出すと、女の子はありがとうといいながら受け取って、そのままじっと贈り物を見つめた。
(開けてもいいのよ? それとも、明日のお楽しみにする?)
先生は小首をかしげて女の子に問う。
すると女の子は再度、今度は勢いよく、悲痛に歪めた顔を上げた。
(みさき先生。
あたし、ずっとここにいたい。何でもする。先生達の事、うんと助ける。
引き取り先の家、みんないい人達でうまくやっていけると思うけど…ここから遠過ぎるよ。
…困らせるような事って分かってるよ、もう決まった事、どうにもならない事って分かってるよ。
毎年の先生達からのプレゼント嬉しかった、だけど、だけど。
あたしが本当に欲しいのは…っ)
…