12月24日の灯り

38/71ページ

前へ 次へ


 先ほどバタバタと動き回っていた先生達の内のひとりが、ドアの向こうで返事を待っている。

(みさき先生? いいよ、どうぞ)

 先生が遠慮がちに入ってくると、女の子はすぐさま駆け寄って、先生の腰回りにぎゅっと抱きついた。

(先生、みんなのプレゼントの準備は済んだの?)

 見上げた女の子の顔を見て、先生は降参とばかりの表情を浮かべた。

(つばさちゃん、やっぱり気付いていたのね。
 そう、みんながベッドに入った今の内に下で準備中よ…
 つばさちゃんには、今年はもう枕元には置けないと思ったから…はい、メリークリスマス)

 先生が可愛らしい小箱を差し出すと、女の子はありがとうといいながら受け取って、そのままじっと贈り物を見つめた。

(開けてもいいのよ? それとも、明日のお楽しみにする?)

 先生は小首をかしげて女の子に問う。

 すると女の子は再度、今度は勢いよく、悲痛に歪めた顔を上げた。

(みさき先生。
 あたし、ずっとここにいたい。何でもする。先生達の事、うんと助ける。
 引き取り先の家、みんないい人達でうまくやっていけると思うけど…ここから遠過ぎるよ。
 …困らせるような事って分かってるよ、もう決まった事、どうにもならない事って分かってるよ。
 毎年の先生達からのプレゼント嬉しかった、だけど、だけど。
 あたしが本当に欲しいのは…っ)





38/71ページ
スキ