12月24日の灯り

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 12月24日。

 1年で1番きらめいて、多過ぎる人が行き交う日。

 駅から少し離れた、最近新しく出来たショッピングモールのでかいもみの木のそばで、ある若者が声を張り上げる。

「いらっしゃいませぇ、クリスマスケーキはいかがでしょうかぁ」

 サンタクロースの格好をして、クリスマスケーキの路上販売のバイトをする高校生のタケトは、目的のバイクを買う為に、この世間的に大イベントの日も日雇いで働く。

 さすがに誰もが笑顔の中、あーあ皆楽しそうなのに俺だけ必死だわと、溜め息混じりの勤務。

 というか、もう一人、呼び込みのバイトのヤツがいるはずなのにちっとも姿を現さないので、それでタケトはますますイライラしていた。

「あれーっ、もしかしてタケト?? すげー久しぶり! てか、ぷぷーっ! ナニそのカッコ」

 聞き親しんだ声が飛んで振り返ると、幼馴染みのてっちゃんが、手で口元を押さえて笑いをこらえていた。





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