シークレットガイド
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#翌日
「今日はみんなに、話したい事があります」
僕達の秘密の案内が終わって翌日。
みよちゃん先生が朝の会で、灯琉の転校の事をクラスのみんなに話した。
みんなは一斉に灯琉の席だった机を振り返って、「ウソでしょ?」「なんにも言わずに?」と騒然とした。
事情を知っている僕達4人は…うつむいて先生の話を聞いていた。
今朝、お父さんが灯琉達を空港まで送っていく事になっていた。
朝一番の離陸時間は7:30。空港まで車で約1時間。
6:00に迎えにいくと言っていたので、僕も早起きをして乗せて貰った。
もちろん学校があるから、僕は灯琉の家から歩いて帰る。
僕が来た事に灯琉はすごくビックリしていたけど、くしゃっと顔を崩して、
「…ひっでぇカオ(笑)」
と笑った。
「…そっちこそ(笑)」
昨日の涙で僕達の顔は腫れていた。
「俺さぁ。向こうでも頑張るわ」
「うん」
「お前もたまには手紙よこせよ。俺も書いてやるから」
「うん」
「電話、は、やめとくか。高ぇもん」
「うん」
「お前、うんしか言わねぇのな」
「…灯琉。
たまにでいいから…
…帰ってきなよ?」
「………へへ。
そんなの、わかんねぇけど…
…いつか。いつか、必ずな?」
そう言って灯琉は、車に乗り込んで行ってしまった。
今朝登校してきて、門の前でえだっち、今ちゃん、芦屋クンにバッタリ会って、
「…行っちゃった…?」
「…ん」
「…そっか。そっかぁ…」
短い会話をした。みんなも、なかなかひどいカオをしてた。
灯琉はもう、向こうへ着いたかな。
高い秋の空を、飛行機雲が一筋伸びていく。
それを、国語の授業を聞きながら、教室の中から目で追った。
…