シークレットガイド
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#開通
それがどういう意味か。僕達の掘るスピードが自然と上がる。
「…あっ!!」
灯琉が声をあげた。
僕達の視界がうっすら、明るくなった。
外からの光が一筋、僕達の顔を照らした。
その一筋の光が差す箇所を、僕達は無我夢中でシャベルで掻き出した。
光の筋はどんどん広がって帯となり、色がオレンジだと分かった。
よくあるマンホールの大きさほどに整えて、ついに、ついに上が開通した。
えだっちと芦屋クンが組み立てたはしごを立て掛けて、ギシギシと一人ずつ上っていく。
そこは…偶然にも木で遮られていない、拓けた小高い丘のようになっていて、遠くの景色が一望出来た。
「やった! やった! すげーな、俺達!」
「ウン! ウン! 今何時ー!?」
「えーと! 16:22!!」
みんなで、泥だらけ、汗まみれのまま抱き合った。
太陽がゆっくりと沈んで、空が燃える。
心地よい風が通り抜け、赤トンボが沢山飛んでいた。
その美しい景色をぼぅっとしばらく眺めて…
「なぁ」
灯琉が
「俺な」
口を開く
「俺なぁ。
引っ越すんだ。
…明日」
僕達のまわりの空気が
瞬時に張り詰める
えだっち
今ちゃん
芦屋クン
三人の視線を一斉に受けた僕は
ポツリポツリと話し始める灯琉を見つめた
そう
僕は
それを知っていた
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→【シークレットガイド】中間雑談・4
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