シークレットガイド
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#ヒロくん
「げーっ、坂本広史!」
ターザンロープの台から灯琉が叫ぶ。
「なんだ、灯ザルも一緒か。お前らいっつもくっついてんなぁ。
ちょうどよかった、サッカー人数足りないんだ。ちょっとでいいから入ってくれよ」
おじさんが言ってた通り、ヒロくんは同じクラスの仲間達とサッカーをしていた。
背が高くてガタイがいい、愛嬌もあって男女問わず人気者、さすが次期生徒会長に推薦されるだけある。
「だーれがお前ら1組のチームに入るかよっ」
灯琉は両腕をめいっぱい広げて、僕と芦屋クンと今ちゃんとえだっちを後ろからひとまとめにして、ヒロくんの前に立ち塞がった。
「お前ら1組と俺ら2組でショーブだ!」
「えええええ~~~っ!」
灯琉の申し出に不満の声を上げたのは、えだっち、今ちゃん、そして僕も。
「ちょっと灯琉…5対8じゃあ、いくらなんでもハンデありすぎじゃないの?」
「いけんだろ! 俺と真守でツートップ。えだっちと芦屋でディフェンス。今田がキーパー」
「まったまった、中堅がいないじゃないの。層が薄くて話にならない」
「じゃーえだっちが兼任でやれよ。頼りにしてるぞ、司令塔」
「えぇ? もー、しょーがないなぁ、えへへぇ」
わざとなのか天然なのか灯琉のアゲに、えだっちがすっかりその気になって怪しい笑いをした(笑)
「まじかよ。手加減しないからな。お前の幼なじみは、いっつも突っかかってくるなぁ」
一旦目を丸くしながらも、ヒロくんは面白そうに笑った。
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