シークレットガイド

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 #ある秋の日曜日



 ある秋の日曜日、と言っても、夏休みが終わってすぐの事。

 僕達が住んでいる地方はすぐに冬がやってきてしまうから、秋の心地良さを感じられるのは短いんだ。

 この日はよく晴れて、すうっと空が高い。

 僕は、こないだうちのクラスに転校してきたばかりの芦屋あしやクンを連れて、仲間と待ち合わせている、サイクリングロードのある地点に向かって走っていた。

 …指示通り、休日なのに、ランドセルを背負って。

「はぁっ…ま、真守まもるくん? あそこ?」

「そっ! おぉーい、みんなぁ!」

 待ち合わせ場所には、すでに仲間が全員集まっていた。

 こちらに背を向けていた、僕の幼なじみでクラスのガキ大将の灯琉ともるが、腕を組みながら振り返る。

 そして、凄みをきかせた大声を響き渡らせた。

「おっせーぞ、真守ぅ!」





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