空の兄弟〈前編〉

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 残された清作と易は、この場で鷹と仲直りすることにした。謝ることにした。

「洪ちゃんもさ、きっと俺たちと同じ気持ちでいると思うんだ。
 だから、洪ちゃんが自分からそう言ってくるのを待っていてやってよ」

 清作は鷹にそう言った。

「そんなもの、一生なさそうだけどな」

 鷹はふっと笑った。

「それから、チビ、お前の宝物のこども」

 易が申し訳なさそうに悟を見て言った。

「宝物?」

 鷹が首を傾げていると、

「ああ…後で話すわ。あれは事故やろ。どうしようもないわい」

 と、悟は意外と明るい声で言った。

 あの青い宝物を鷹も気に入っていたから、今ここであの時の怒りに任せて失くした経過を話したら、きっと鷹も怒り狂うだろう、折角の仲直りがパアになるだろうと思ったのだ。

「そういえば、チビ、お前の名前何て言うの」

 今までそうならなかったのも可変しな話だが、清作はようやく悟の名を訊いた。

「俺か? 俺は空悟や。よう覚えとけよ」

 鷹以外の人間に空悟の名を知ってもらえるのがよほど嬉しいのか、名乗った悟の声は弾んでいた。

 ところが、

「くうご?」

 清作と易はその名に目をまんまるくし、

「ごはんを食うことだべか」

 と言うと、鷹はげたげたと品なく笑い、悟は機嫌を損ねた。





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