悠の詩〈第3章〉

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 それからまた幾日か経ったが、占いの事は誰も何も触れなかった。

 何で? とは思ったが、俺自身もそんな興味を引っ張られたわけではなかったから、日常にすぐに埋もれて忘れてしまった。

 あと、野上さんとやらがあれ以来うちの教室に姿を見せなくなった、というのも原因だろうか。

 あの耳に障る、由野を呼ぶ声を聞かずに済むのは大変ありがたかったけど、何で?

 由野自体は特に気にする様子も見せず、文化祭の前の頃と同じ様にクラスの女子と広く浅く交流して、柏木とも、タイミングが合えば話し込んだりしていた。

 そんな由野に野上さんとやらの事を尋ねるのは…なんとなくまずい気がして、俺からは何も言わなかった。



 が、容赦なく斬り込んでくる動じないヤツがここにいた。

「あー由野さん、帰りひとり? 途中まで俺達と一緒にどう?
 そういえば、野上さん最近見ないねえ」

 ある日の帰り、校門の近くまで来て、前を歩いていた由野に追いついた樹深が、背後からそんな風に声を掛けた。

 あんまり自然に言うので、由野はびっくりしながらも「後藤くんってば、突然だねほんとに」笑いながら俺達の輪に入った。

「…うーん、実はね。あっ、ここだけの話にしてね」

 しばらく歩いた所で、少し迷った顔を見せながら、由野は打ち明けてくれた。

 その始まりの言葉は…ちょっと刺激が強いもののように聞こえた。

「千咲ちゃんとはこれからは、同じクラスにならない限りは干渉しないって、決めたの」





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