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懐かしのゲームで遊んだら。(銀星)
「はい、ココア」
「ありがと」
テーブルに置かれたマグカップをちらりと確認し、私はまたすぐに視線を手元へ戻す。
横長の小さな画面の中では、当時大人気だったハムスターのキャラクターが、二匹揃って私の操作を待機していた。
「それ、結構昔のやつだよな。まだ動くのか?」
「電池換えたら動いた」
比較的コンパクトで持ちやすいこのゲーム機は、確か二十年ほど前に発売されたもの。夢中になって遊んでいたのをふと思い出し、押し入れの奥から引っ張り出したら見事に懐かしさが爆発した。
クラスや周りの子もほとんど持ってたよねと共感を求める私に、同世代の彼もそういえばそうだったかもと首を縦に振る。
「あ、そうだ」
隣に腰を下ろした彼にもたれながら、画面の中のとある一覧を開く。ずらりと並んだ言語は字面だけでも可愛らしく、声に出せば一層その魅力を発揮する。
ということで、まずはこれが欠かせないよね。
「はむはー!」
「……は?」
「挨拶だよ挨拶。はむはー!」
「は、はむはー」
まったく乗り気ではないのに、求めれば流されてくれる彼が面白くも愛おしい。
「何なんだ、それ」
「ハム語。意味当ててみて」
「えぇ……」
若干引いている気がするけど、そんなことは気にしない。むしろ気にしたら負けなのだ。
「第一問。ぐれえてる」
「グレーテル? え、童話の?」
「違う。悪い子って意味」
「グレーテルは悪い子じゃないだろ」
「だから違うって。つぎ簡単なやつね。パーへくち」
「ぱーへくち? ……ぱーへく……ぱーふぇ……完璧?」
「当たり〜! じゃあ最後。ちゅ〜ラブー」
「中ラブ……? 結構好き、とか?」
「んー、惜しい。結構どころじゃないんだな。これはね――」
耳元で囁くように答えを教えれば、思案顔だった彼の頬にかあっと赤みが差す。その様子に満足して、私は口元を緩めたまま、少しだけ温度の下がったココアを味わった。
「そんな言葉もあるのか……」
「うん。言ってみて?」
「えっ。……ちゅ、ちゅーらぶ〜」
「はぁ…………かわ」
「え、川?」
幼い頃の懐かしい記憶に、恋人との甘い思い出が新たに重なる。当時もすごく楽しかったけれど、今この瞬間に巡り会えたことが心から嬉しい。
「付き合ってくれてありがと! ちゅ〜ラブー!」
「わ、わかったから……!」
すぐに赤くなる愛しい彼の隣で、私はもう一度、幸せの溜め息を吐いた。
「はい、ココア」
「ありがと」
テーブルに置かれたマグカップをちらりと確認し、私はまたすぐに視線を手元へ戻す。
横長の小さな画面の中では、当時大人気だったハムスターのキャラクターが、二匹揃って私の操作を待機していた。
「それ、結構昔のやつだよな。まだ動くのか?」
「電池換えたら動いた」
比較的コンパクトで持ちやすいこのゲーム機は、確か二十年ほど前に発売されたもの。夢中になって遊んでいたのをふと思い出し、押し入れの奥から引っ張り出したら見事に懐かしさが爆発した。
クラスや周りの子もほとんど持ってたよねと共感を求める私に、同世代の彼もそういえばそうだったかもと首を縦に振る。
「あ、そうだ」
隣に腰を下ろした彼にもたれながら、画面の中のとある一覧を開く。ずらりと並んだ言語は字面だけでも可愛らしく、声に出せば一層その魅力を発揮する。
ということで、まずはこれが欠かせないよね。
「はむはー!」
「……は?」
「挨拶だよ挨拶。はむはー!」
「は、はむはー」
まったく乗り気ではないのに、求めれば流されてくれる彼が面白くも愛おしい。
「何なんだ、それ」
「ハム語。意味当ててみて」
「えぇ……」
若干引いている気がするけど、そんなことは気にしない。むしろ気にしたら負けなのだ。
「第一問。ぐれえてる」
「グレーテル? え、童話の?」
「違う。悪い子って意味」
「グレーテルは悪い子じゃないだろ」
「だから違うって。つぎ簡単なやつね。パーへくち」
「ぱーへくち? ……ぱーへく……ぱーふぇ……完璧?」
「当たり〜! じゃあ最後。ちゅ〜ラブー」
「中ラブ……? 結構好き、とか?」
「んー、惜しい。結構どころじゃないんだな。これはね――」
耳元で囁くように答えを教えれば、思案顔だった彼の頬にかあっと赤みが差す。その様子に満足して、私は口元を緩めたまま、少しだけ温度の下がったココアを味わった。
「そんな言葉もあるのか……」
「うん。言ってみて?」
「えっ。……ちゅ、ちゅーらぶ〜」
「はぁ…………かわ」
「え、川?」
幼い頃の懐かしい記憶に、恋人との甘い思い出が新たに重なる。当時もすごく楽しかったけれど、今この瞬間に巡り会えたことが心から嬉しい。
「付き合ってくれてありがと! ちゅ〜ラブー!」
「わ、わかったから……!」
すぐに赤くなる愛しい彼の隣で、私はもう一度、幸せの溜め息を吐いた。
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