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重なる未来に夢を見る
「キスマークを、付けてみてくれませんか?」
ダメ元で口にした言葉だった。
好奇心というか、憧れ、というか。
自分で言うのもなんだけれど、彼から愛されているのだということは、出会ってから今までの過程で十分すぎるほど感じている。
けれども彼からの愛は単なる男女間のそれではない気がして、どちらかといえば崇拝とか家族愛の類に近いのではないかという印象を受ける。もちろん、それが嫌というわけではない。
「君の口からそのような愛らしい言葉が聞けるとは、願ってもない幸福だ」
彼はわずかに驚いた様子を見せたあと、その表情をふっと緩ませて微笑んだ。本当に、心の底から幸せそうに。けれど、少しだけ残念そうに「だが、」と言葉を繋ぐ。
「君の美しい肌に痣を作るなど、俺にはできない。どうか、今はこれで許してはもらえないだろうか」
ケイさんはその場で膝を折り、恭しく私の左手を取る。そして、そのまま形の良い唇をそっと私の指先に触れさせた。
「いつか、君が俺だけのものになった暁には……他の場所への口付けも、許してくれると嬉しい」
儚く微笑む彼の手が頬に添えられ、その親指がさらりと私の唇をなぞる。
許すも何も、私の心はとっくにあなたのものになっているというのに。
すべてを奪い去ってはくれない彼にもどかしさを感じつつ、優しく胸を締めつけられる感覚に酔っていたいとも思ってしまう。
「じゃあ、そのときが来たら……私もケイさんに付けていいですか?」
「っ、……ああ、君の望むままに」
彼が何にも苦しまず、私や周りの人に隠さなくてはいけないことがすべて無くなるときが来るのなら。
それまでは、私のこの想いは大切に胸の中にしまっておこう。
「キスマークを、付けてみてくれませんか?」
ダメ元で口にした言葉だった。
好奇心というか、憧れ、というか。
自分で言うのもなんだけれど、彼から愛されているのだということは、出会ってから今までの過程で十分すぎるほど感じている。
けれども彼からの愛は単なる男女間のそれではない気がして、どちらかといえば崇拝とか家族愛の類に近いのではないかという印象を受ける。もちろん、それが嫌というわけではない。
「君の口からそのような愛らしい言葉が聞けるとは、願ってもない幸福だ」
彼はわずかに驚いた様子を見せたあと、その表情をふっと緩ませて微笑んだ。本当に、心の底から幸せそうに。けれど、少しだけ残念そうに「だが、」と言葉を繋ぐ。
「君の美しい肌に痣を作るなど、俺にはできない。どうか、今はこれで許してはもらえないだろうか」
ケイさんはその場で膝を折り、恭しく私の左手を取る。そして、そのまま形の良い唇をそっと私の指先に触れさせた。
「いつか、君が俺だけのものになった暁には……他の場所への口付けも、許してくれると嬉しい」
儚く微笑む彼の手が頬に添えられ、その親指がさらりと私の唇をなぞる。
許すも何も、私の心はとっくにあなたのものになっているというのに。
すべてを奪い去ってはくれない彼にもどかしさを感じつつ、優しく胸を締めつけられる感覚に酔っていたいとも思ってしまう。
「じゃあ、そのときが来たら……私もケイさんに付けていいですか?」
「っ、……ああ、君の望むままに」
彼が何にも苦しまず、私や周りの人に隠さなくてはいけないことがすべて無くなるときが来るのなら。
それまでは、私のこの想いは大切に胸の中にしまっておこう。
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