元がネームレスのため、変換箇所は少ないです。ご了承ください。
main
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
春を待つ約束
「あっ、梅が咲いてる! 綺麗……」
「ふふ、本当だ。あ、そこ、段差があるから気をつけて」
長い指先に手を取られて、土の上を歩くスニーカーが軽やかに跳ねる。ありがとう、と私が笑みを返せば、美しい金色の瞳がにこりと弧を描いた。
スターレスの近くにある公園は自然豊かで、気分転換やお散歩には持ってこいの場所。今日は一日オフだという彼に誘われて、予定していたランチの前のウォーキングだ。
「良いお天気でよかったね」
「そうだね。最高のデート日和だ」
握った手をそのままに、白や紅が咲き誇る道を並んで歩く。ふわりと香る甘さが心地よくて、ついふらふらと花に惹き寄せられそうになる私を、彼の優しい腕がやんわりと引き止めている。
「梅には、春告草 とか風待草 って別名があるそうだよ」
「へぇ、なんか素敵。でも木なのに草なんだね」
「言われてみれば……確かにそうだね」
なんでだろう? そう口にはするものの、真相にはあまり興味がない。ただこうしてのんびり歩いていることが大切で、彼もそれをわかっている。だから、私の疑問に彼は答えを返さない。
しばらく無言で足音を鳴らし、時々立ち止まって花を見つめる。そうしているうちに、徐々に梅並木は終わりを迎え始めていた。
「う〜ん、お腹空いてきちゃった。早くご飯食べたい」
「ふふ、まだ予約の時間まで少しあるよ」
「えー、じゃあもうちょっと歩くかぁ」
鮮やかな紅白を過ぎれば、また茶色や緑だけの道が続く。園内の散歩コースは、まだほとんど目には寂しかった。
「たくさん歩けばランチはもっと美味しくなる」
「うん、頑張ろ!」
「単純で助かるよ」
「なんだと〜?」
わいわい声をあげてはしゃぐ私たちを、周りの木々が呆れながら、それでもあたたかく見守ってくれている。
「今度は桜を見に来ようね」
公園を出る間際、笑い合う私たちの小指がそっと絡まった。
解かれ、再び重なる約束の証。それはきっと、淡く色づく花びらのように、少し先の未来をも優美に彩ってくれることだろう。
「あっ、梅が咲いてる! 綺麗……」
「ふふ、本当だ。あ、そこ、段差があるから気をつけて」
長い指先に手を取られて、土の上を歩くスニーカーが軽やかに跳ねる。ありがとう、と私が笑みを返せば、美しい金色の瞳がにこりと弧を描いた。
スターレスの近くにある公園は自然豊かで、気分転換やお散歩には持ってこいの場所。今日は一日オフだという彼に誘われて、予定していたランチの前のウォーキングだ。
「良いお天気でよかったね」
「そうだね。最高のデート日和だ」
握った手をそのままに、白や紅が咲き誇る道を並んで歩く。ふわりと香る甘さが心地よくて、ついふらふらと花に惹き寄せられそうになる私を、彼の優しい腕がやんわりと引き止めている。
「梅には、
「へぇ、なんか素敵。でも木なのに草なんだね」
「言われてみれば……確かにそうだね」
なんでだろう? そう口にはするものの、真相にはあまり興味がない。ただこうしてのんびり歩いていることが大切で、彼もそれをわかっている。だから、私の疑問に彼は答えを返さない。
しばらく無言で足音を鳴らし、時々立ち止まって花を見つめる。そうしているうちに、徐々に梅並木は終わりを迎え始めていた。
「う〜ん、お腹空いてきちゃった。早くご飯食べたい」
「ふふ、まだ予約の時間まで少しあるよ」
「えー、じゃあもうちょっと歩くかぁ」
鮮やかな紅白を過ぎれば、また茶色や緑だけの道が続く。園内の散歩コースは、まだほとんど目には寂しかった。
「たくさん歩けばランチはもっと美味しくなる」
「うん、頑張ろ!」
「単純で助かるよ」
「なんだと〜?」
わいわい声をあげてはしゃぐ私たちを、周りの木々が呆れながら、それでもあたたかく見守ってくれている。
「今度は桜を見に来ようね」
公園を出る間際、笑い合う私たちの小指がそっと絡まった。
解かれ、再び重なる約束の証。それはきっと、淡く色づく花びらのように、少し先の未来をも優美に彩ってくれることだろう。
31/47ページ