マイクロノベル
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2021/09/23 21:13
20210923(木)21:13「蟹は遠い。どこにいるのかもわからぬそれを君はいつまで探し続けるのかね?」「見つからなくても探す、それでいいんです。僕は探すのは好きだから」たぬきつで『桜の木の下には』
20210720(火)20:17「桜の木の下には」「え、たぬきくんそんなこと信じてるんですか?」「いや流行ってるんだよ…」「本当に掘ってみたことあるんですか?」「あるわけないだろ……」「じゃあ今度掘りに行きます?」「なんでそうなるんだ!?」「ふふ、冗談ですよ」「こわい……」桜の木の下には
20210720(火)20:14「桜の木の下に」「桜なんて散ったやんけアホか」「は? なんでそんな罵倒してくるわけ」「これはツッコミっていうんやで」「俺ツッコまれなくても生きていけるから放っといてくださいます?」「関西人の血がツッコミを求める」「求めるならされる方じゃん」「細かいことはええんや!!」「声でっか」ある日
20210504(火)08:50「ねー、ある日っていつの日かなあ」
「ある日はある日だよ」
■の曖昧な答えに僕は首を傾げる。
「でもそれがいつ来るか教えてもらえないと準備できないじゃないか」
「いつ来るかわからないから『ある日』なんだよ」
「そんなのおかしいよ」
「どうして」
「いつ来るかわからないなら知ってても意味ないじゃん」
風が吹く。
■が消える。
『意味はあったさ』
既に過去なのだから。
そうだね、と僕。
本当はわかっている、全てが終わったこと。
けれど繰り返す、あの日までの全てを。
何一つ変えられないと知っているけど。手帳
20201226(土)19:01山がある、ただある。俺はそれを漫然と眺めて、漫然と、ではいけない、思い直して手帳を開く。手帳はぐちゃぐちゃのまま役に立たない。文字を書いても写らない。俺は新しい手帳を出す、手帳はぐちゃぐちゃのまま役に立たない――数列
20201226(土)18:58わからないものを埋めたままわからないでいる。
それさえもわからぬままわからないでいる。
目の前で掘り出すのを他人事のように見、終わったことだと解釈したそれを数列にした。潜行する
20201226(土)18:55潜行する。それはいない。どこへ行ったのか問うても知らない、俺しかそれのことを知らない。
潜行する。それはいない。何だったのかもわからない。
わからなくなったそれを探して潜行して、潜行して、海の底で1バイトに圧縮されたそれを、
待っている。暗いもの
20201226(土)18:55「暗いもの、暗いもの」
呼んでいる、呼んでいる。誰を? って俺を。
「それ」は本当に俺なのか? それ、が本当に俺なのか?
わからないまま呼ばれて出ていく、呼ばれているのは「俺」だから。無念の巻物
20201217(木)00:02救われずに埋もれていった無念の作品たち…それが合わさり世は大戦国時代となった。
絵巻物から虎が出る、龍が出る。
そこの兄さん寄ってきな、作品避けの魔鈴だよ。いらない? まあまあそう言わず、無念は気を汚す、まけとくからまあ一つ、そうそうそうでなくちゃ、似合ってるよ、行ってらっしゃい!闇の創作者
20201206(日)20:41「うーんうーん、闇の創作者………はっ! もう夜か……」「やあ」「わあ!?」「蟹だよ」「なんだ蟹か、びっくりさせないでくれよ」「部屋に蟹がいたことについてはびっくりしないんだね」「そりゃ俺は『選ばれる』ってわかってたからな」「絶望の中でも自信を失わない人間は嫌いじゃないけど」「けど?」「よくわからないね」「何が?」「こっちの話さ」