マイクロノベル
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12:03am · 30 Jun 2019
20190630(日)02:50冬が去った。長い梅雨が、枯れた落ち葉を、白く煙る息を、人々の心から忘れさせる。私の心の中では休暇中の冬が大量の雪を降らせ、空を鉛色に変えている。こんなところでバカンスをしなくてもいいのに。梅雨の機嫌を仰ぐ暇もなく休日を謳歌する冬に、ため息を吐いた。6:02pm · 26 Jun 2019
20190630(日)02:49雨。胸が詰まっている。どうにもこうにも新たな感情が通らない。好奇心も嬉しさも興奮もお腹で詰まって胃で消える。おしまいだ。こんなことはすぐにでもおしまいにしたい。ずっと詰まっている。身動きができない。雨を切り裂く鳥の声で僕の全てはばらばらになり、奈落に落ちていった。7:22pm · 24 Jun 2019
20190630(日)02:49わからぬものには近寄らない。それが俺のモットーだ。俺はいつもそうやって後ずさりつつ生きてきた。そろそろ壁にたどり着く。夕日が射した部屋の中、俺はそっと振り返り、壁に手をつき目を閉じた。皆目何もわからぬが、俺が己すらわからなくなったこと、そのことだけはわかっていた。7:10pm · 24 Jun 2019
20190630(日)02:48崖っぷちにいる。何が、と言われると答えにくいけれど、いる。いつ落ちてもおかしくない。そんな僕を見た友人は崖っぷちやって、と笑った。崖っぷちなんだよ、と必死に主張する。わかったわかった話聞いたるから今日はお前んち行くわ。す、と息が抜けて、小さな声でうんと言った。3:54am · 24 Jun 2019
20190630(日)02:48長く眠りすぎた。仲間たちは既に出ていき、広い部屋に一人取り残されている。そもそも、あんな奴等は仲間ではなかった。あいつらは私を知らない、知らないから無視している。壁ばかり見ていた夜。今は一人、静けさが耳を浸食する。どうして。そう呟いてみても、壁に反響するだけだった。1:40am · 23 Jun 2019
20190630(日)02:48夜が明けるのがいやなの。そう言った君がいなくなってからどれくらい経ったろう。君のいない部屋で布団にくるまって君が嫌がった夜明けを同じように嫌って、やりすごそうと窓を締め切っているのに聞こえる雀の声。もうそこに夜明けがいる。宙に残った君の声を、朝日が刺して消し去った。1:15am · 23 Jun 2019
20190630(日)02:48*こころのなか が からっぽだ。 *なにかで うめなければ。 僕は空洞に丸めたハンカチを押し込んだ。空洞は埋まらない。 僕は空洞に昨日買ったハチミツを流し込んだ。すぐに吸収されてしまった。 僕は最後に昨日までの鈍色の記憶たちを押し込んだ。 空洞は埋まり、鉛のように重たくなった。10:32pm · 22 Jun 2019
20190630(日)02:47カラスの鳴き声が耳を侵略してくる。何時だ? 時計は壊れている。随分と長く眠っていたせいで、カラスが鳴くのがいつ頃なのかすら忘れてしまった。覚えていてもろくなことはない、ただ惨めになるだけだ。俺はベッドサイドに放置してあった最後のウォッカを取って呷った。カアカアカア。12:03am · 21 Jun 2019
20190630(日)02:47仕事が終わらない、と悲鳴を上げる。実際に叫んだりしたら誰もいない職場に反響して警備員さんが飛んできそうだから心の中で叫ぶだけ。最近行方不明者が多いせいで僕の部署にも皺寄せが来て毎日残業ばかり。僕だって仕事なんか放り出してどこか遠くに「その願い、聞き届けた」えっ ─終─12:35am · 20 Jun 2019
20190630(日)02:47「どんなに夜が憂鬱でも仕事が終わってる、これ最高ね」言いながら彼女がビールを飲んでいる。あれ? ビール飲めないんじゃなかったっけ? 「これはりんごジュースに生クリーム浮かべたやつよ」こんな深夜になんという…「気分よ気分」気分か。じゃあ僕も一杯「蟹には毒だから駄目」ちぇー。