マイクロノベル
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9:44pm · 4 Aug 2019
20190807(水)18:56「どうしてだ、蟹を信じれば救われるって、そう言ったじゃないですか」
「信心が足りんのだよ。蟹は金を必要とする。全てを捧げる心のない者の前に蟹は現れぬ」
蟹に選ばれた教祖、その座は磐石。蟹を求めて得られなかったと教団の誰が信じよう。
世界を諦め絶望した彼は今日も蟹を説き続ける。9:36pm · 4 Aug 2019
20190807(水)18:55大事にしている物語。そんな言葉がふと浮かぶ。宙をかけるSF、幻獣と交流するファンタジー、愛を抱く物語。でも。物語は本当ではない、物語では救われない。そうですよね?
「その通り。君を救えるのは」
「蟹しかいない、わかっています」
信じていれば救われる。だから今日も、待っている。9:24pm · 4 Aug 2019
20190807(水)18:55削られる。好きなことをしているはずなのに罪悪感がじわじわ心を苛む。誰からも何も言われるはずがないのに削られていく。仰向けになったり横を向いてみたりして気分を変えようとする。それでも変わらない、削られていく。耐えられなくて、布団に潜り込んで、私はハリネズミになった。9:44pm · 3 Aug 2019
20190807(水)18:55「うおおアイスがないと俺は生きていけないんだ!」「嘘乙」「嘘じゃない」「は?」「ねーアイス買いに行こう」「22時」「まだいける!」「あなたの健康を守る蟹」「ウッ身体が」「夜におやつはダメ」「横暴!」「と言いたいところでしたがここにダッツが」「神か?」「蟹でーす」「蟹よ!」9:32pm · 3 Aug 2019
20190807(水)18:54「っべー大正時代に来ちまった」
馬車走りガス灯が点き洋装和装入り乱れるそこは帝都。
「浪漫! 文豪探そ」
あちこちふらつき一高にも入ってみたが文豪は見つからない。
「おかしい。山盛り文豪パラダイスじゃないのか。先生、文豪は幻でしょうか」
「滅びるね」
「えっ」
「だって君の夢だからさ」9:47pm · 2 Aug 2019
20190807(水)18:54#世界・神様・僕を使って文章を作ると性癖が出る
蟹に選ばれたものは人と違う世界を生きる。それは神ですら例外ではない。蟹は真理、蟹は摂理。世界を決めるのは僕達蟹だがそれを自ら言うことはない。蟹ゆえに。12:10am · 2 Aug 2019
20190807(水)18:54「蟹だーっ」
子供は元気だなあ。ただの蟹であんなに喜べるなんて羨ましいよ。俺にもあんな時代があったかな。そう思いながら子供の行く先を眺めたが蟹なんかどこにもいない。速すぎて見えなかっただけか? いくら探しても蟹は見えず、謎だと思いながら空を見てもやっぱりどこにもいなかった。12:02am · 2 Aug 2019
20190807(水)18:53いない、どこにもいない。探しても今度こそ見つからない。蟹は俺。自分自身。己を愛する心のあらわれ。最初からいなかったのかも。ただの幻覚。ずっと側にいてくれるパートナーなんて幻だ。虎になりたくなくて視野を広げて見えすぎて、疲弊しくたくたになって現実に戻る。蟹は…もういない。12:39am · 1 Aug 2019
20190807(水)18:53「蟹は狂気とも正気とも言える」「それは?」「外から見ると狂気かもしれぬが蟹と蟹に選ばれた人にとっては正気、つまり私と君にとっては正気なのだ」「は~虎になりそうな論」「虎の何が悪い」「悪いって話を見た」「虎にならぬと生きていけぬ奴もいるだろう」僕は己の尾を見、ただ黙った。12:20am · 1 Aug 2019
20190807(水)18:53俺の蟹は緑色だ。共生している苔の色だと蟹は言う。遠くから見つけやすいので重宝しているが、山や森に行ったらどうするんだろう。そう訊いたら、そのときは見つけやすい色に光るから問題ないと言われた。
「光るってまたなんで?」
「知らないのかい君」
「知らないよ」
「光合成さ」
へえ…
