マイクロノベル
記事一覧
11:46pm · 22 Mar 2020
20200409(木)16:26「むむむ」「むむむ?」「むむむ!」「どしたの、にらめっこ?」「いや、蟹に継ぎ目ないなと思って」「あるじゃん間接。この甲羅と腹甲にも継ぎ目あるし」「そういう継ぎ目じゃないんだ」「どういう継ぎ目?」「中の人」「中の人なんていないよ!?」「だってあまりにも優しすぎる」「蟹が優しくたっていいだろ」「いやなんか、生きてる存在が僕に優しくしてくれるというのがそもそも」「だったら中の人がいない方が自然じゃん」「いや…」「ははあ」「何?」「いや…君もね、僕は君が好きだよ」「えっ」「好きでーす」「ありがとう…?」9:56pm · 20 Mar 2020
20200409(木)16:25蟹が一匹、蟹が二匹。だんだん目が覚めてくる。当然だ、「か」という音ははっきりしている。「に」で少し曖昧になるものの「か」と言えば目が覚める。そんな僕が今何をしようとしているかってそりゃあ寝ようとしてるんだよ。砂浜に増えていく蟹が皆僕を見ているのはちょっと気になるけれど。9:53pm · 20 Mar 2020
20200409(木)16:24蟹が月を飛び越えた、そんなニュースも今となっては珍しくない。今時毎晩どんな国でも一匹は月を飛び越えていて、飛び越えた蟹は神になるなんて噂もあるけどほんとかどうかはわからない。月を飛び越えても蟹は蟹のままなのだろうか。これから飛び越えようとしている僕にはわからないけれど。9:49pm · 20 Mar 2020
20200409(木)16:24いつと言いつつ一通走り、いつと言いつつどいつもこいつも、いつと言いつつ辿り着く日は五つの月を数えど来ない。9:45pm · 20 Mar 2020
20200409(木)16:24蟹を探している。毎晩毎晩。日中蟹は側にいるのに夢の中では探している。本当はいるのに夢ではいない。どこにも。最近では寝ている時間が長すぎて、まるで本当に蟹がいなくて探しているような、夢の方がまことのような。そんなはずはないのだけれど。…いつになったら見つかるのだろう。10:47pm · 16 Mar 2020
20200409(木)16:23「おかしい! こんな時間になってしまった! 私のところだけ時間の流れ方が違う、これは忌まわしき蟹ハンターの陰謀だー!」「こらー、蟹ハンターを悪と見なすのはよくないよ」「はい…」「彼らだって考えがあってやってるんだからね」「うん…」「僕たち蟹もまあ、敵視されても仕方ないようなことしてる自覚はあるし」「え」「そういう組織が現れるのは決まっていたことでもある」「うん?」「わかったら早く寝るんだ」「待って」改めまして
20200225(火)23:12蟹がいるって?
俺が訊く。
蟹がいるって。
お前が答える。
お前は蟹で、俺も蟹で、蟹でないのは誰なのか。
蟹でないのはそう、人間。
俺も、お前も、彼等を支える。
未来であっても過去であっても蟹は彼等を選び続ける。
そういう生物。
そういう概念。
拒否権はないようで微妙にある。曖昧な点を残すのも蟹のいいところ。
それが蟹。
蟹。
今後ともよろしくお願いいたします。10:28pm · 24 Feb 2020
20200225(火)19:32「ネギが食べたい!」「なんで」「風邪だから!」「なんで」「昨日徹夜でネギダンスを踊ってたから!」「いや意味がわからない」「ネギダンスっていういにしえのダンスが」「いや知らない」「ネギダンスh」「いや聞かないけど、徹夜でダンスはよくない」「なんで! 貴族はしてたじゃん!」「なんでもクソもない」「もう僕も成人なんだよ! ダンスくらい好きにさせてよ!」「あなたの健康を守る蟹」「ウッ身体が」「今日はもう寝なさい」「横暴!」「横暴で結構、枕元でネギダンスを踊ってあげよう」「えっ」「ググった」「ググった!?」「踊ってあげよう」「やったー!」10:19pm · 24 Feb 2020
20200225(火)19:32「何にもしたくないけど僕は恋に憧れているんだ」「憧れるだけ?」「実際にはしないさ。面倒だろう」「それが君の君たる所以みたいな答えだねえ」「蟹、君もいずれわかるさ」「僕? 僕はもうわかってるよ」「わかっていないかと思っていたが」「僕は君の蟹だからね」「じゃあ」「理解と同意は違う。君もわかってるだろ」「フン、今度は君のターンか」「君はいつもわかってるようで何もわかってないからね」「言ってくれる」「実際そうだろ?」「ここでそうだと言ってしまうと僕の負けになるだろう。言わないよ」「そんな君が僕は好きなのさ」「僕は君が嫌いだよ」「フフフ」「フン」10:12pm · 24 Feb 2020
20200225(火)19:32守るべきものがあるんだーって言っては敵に突撃していく君のことが恨めしくて内緒で何度も配下をけしかけてこてんぱんにしたある夜、そこまでして守るべきものって何? って訊いてみたら「君だよ」って。訊くんじゃなかった。