マイクロノベル

記事一覧

  • 2:01am · 9 Apr 2020

    20200409(木)16:32
    『青い薔薇』
     不可能を可能にする、そんな言葉は嘘でしかない。不可能が可能になってしまえばそれは不可能ではなく、もはや可能なのだから。そう、だから振り向いてなどやらない。可能などには堕ちない。そうなった瞬間、君は喜ぶだろう。君の喜ぶ顔が反吐が出るほど嫌いだから、僕は不可能のままでいる。
  • 1:58am · 9 Apr 2020

    20200409(木)16:32
    『青い鳥』
     ずっとそばにいたのにどうして気付いてくれなかったの? 僕のこと好きって言ってくれた言葉は嘘だったの? ねえなんで? 青い鳥なんて殺してしまおうって君が言ったから僕は死んだのに、ずっと悲嘆にくれてこっちを見てさえくれないのはどうして? 後悔したって遅いよ、もう終わりなんだから。
  • 1:37am · 9 Apr 2020

    20200409(木)16:31
    「アヴァンギャルドなことがしたい」「何いきなり」「したいんだよぉ」「なんで?」「アヴァンギャルドってかっこよくない?」「君、芸術家だっけ?」「人類皆芸術家とはよく言ったものである」「ごまかさないで」「趣味で詩書いてる!」「えっ初耳」「今日から始めた!」「初耳なわけだ…」「そもそも君、アヴァンギャルドの意味知ってる?」「なんかこう…破天荒なみたいな…」「間違ってはないけど…」「違うのー?」「前衛的なって意味だよ」「前衛的って?」「ほらなんか…機械に詩を書かせるとか…」「機械が詩を書くの?」「君も機械でしょうが」「そうだった!」
  • 1:31am · 9 Apr 2020

    20200409(木)16:30
    「罪売りまーす!」「えっいらない」「なんでー?」「重いじゃん」「配送サービスもありまーす!」「そういうことじゃないんだって」「なんでー? 手軽に悩めるよー?」「君は軽いな!」「今時罪なんてスナック感覚でつまむものだよ、君も一つ…」「だからいらないって」「ちぇー」
  • 1:26am · 9 Apr 2020

    20200409(木)16:30
     罪とはいったいなんなのか? 諸説ある。鬼のようにある。罪は余所では大人気。それが輸入されて今日もこんな、コンビニの罪コーナーで手軽に買える。お得に買いたいならスーパーへ。高級な罪ならデパートへ。各種取り揃えております。僕は脳内で生産できるからいらないんだけどね。君もどう?
  • 1:22am · 9 Apr 2020

    20200409(木)16:29
     罪が重い、罪が重い。どんな罪かはわからない。ただ漠然と、罪悪感。それがずっとまとわりついている。罪が重い。罪が重くても誰も罰しちゃくれないし、責めてもくれない。それなら罪など背負わぬ方がまし。わかってるのに罪が重い。今日もますます罪が重い。
  • 1:17am · 9 Apr 2020

    20200409(木)16:29
     憂鬱なかえるに会いたくて遠出をした。けれど見つかるはずもなく。けろけろと聞こえるたびに思い出す、いつも暗い顔をしていたお前。助けられるわけでもなく、ただ見ていた。それでも気になる、お前は元気にやっているのか? 無責任でもなんでも、ただ気になるだけ。雨が降る度、思っている。
  • 1:13am · 9 Apr 2020

    20200409(木)16:29
     憂鬱に甘えている。そう言った奴等が俺を助けてくれることなどなかった。みんなそうだ、無責任に物を言ってそのまま。それなら何も言われない方がましだ、そう思った俺は旅に出てかえるになった。雨が降ればけろけろと鳴く。それだけでいい。憂鬱に、憂鬱に。そうして今日もけろけろと鳴く。
  • 1:10am · 9 Apr 2020

    20200409(木)16:28
     さよならと言った俺は言葉の通り。戻るつもりなんてなかった。戻るものか、あの街には憂鬱しかない。憂鬱が重く垂れ込めて、それはこの街も同じ。俺が行く街は全て憂鬱、なぜなら俺が憂鬱だから。俺自身が変わらなければ一生そのままだってわかってる、でも今はこの憂鬱がただ愛しくて。
  • 1:07am · 9 Apr 2020

    20200409(木)16:28
     さよならと言ったあなたが戻ってくることは二度となかった。ずっとずっと待っていたのに。待ちくたびれた俺は天使にでもなれたらよかった、実際はただのなりそこない。それでもまだ、帰ってくるかもしれないなんて希望を捨てきれずに待つことをあなたは愚かと言うだろうか。