マイクロノベル

記事一覧

  • 2020/05/20 22:06

    20200520(水)22:06
     流れて来る葉を拾い上げようとして成功したことはなかった。今日もまた見送っている。足袋に水がしみて足がぐちゃぐちゃなことから気を逸らすかのように崖の断面を見る。規則的な縞。表面を削り、出てきたさらに細かな縞、それしか見えなくなる。そういう風にして、初夏の一日は過ぎる。
  • 5:41pm · 20 May 2020

    20200520(水)19:12
     紅茶にメイプルシロップを入れるといいと教えてくれたのは君だった。たぶん、君のはず。遠く、もう霞んでしまったあの日の夏。風鈴の下で笑い合った僕と君はもう戻らなくて、それなのに、紅茶を飲む度思い出してしまうのだ。
  • 5:35pm · 20 May 2020

    20200520(水)19:11
     これは紅茶だろうか。いや、紅茶、紅茶のはずだ。近くにありすぎて、飲みすぎて、わからなくなってしまったのかも。そんなこと今まで気にしてもいなかったのに君が言うから、言うから、俺は。
  • 6:01pm · 20 May 2020

    20200520(水)19:11
     本当のこととはなんだろう。俺は本当のことがわからなくなってしまった。そもそも目にうつるこの世の全ては捏造なのだ。キィキィと鳴く声。ああ今日も大虫が来ている。窓を開けて餌をやった。俺の正気のかけら。
  • 9:23pm · 11 May 2020

    20200515(金)18:58
    「怪獣と恋したい!」「怪獣と恋したいの?」「したいんだよ~、怪獣かっこよくない? あのフォルム、ぎざぎざ、多様性、素晴らしいよね…あっ決して君に満足してないというわけではなくて、君は人間だけどかっこいいと思う」「ん、ありがとう」今さら怪獣ですとかすごく言い出しづらいな…
  • 9:19pm · 11 May 2020

    20200515(金)18:57
    「来い~来い~」
    「何してるの?」
    「怪獣呼んでるの!」
    「怪獣を?」
    「なかなか来ないの!」
    「来ないんだ~残念だね~」
    「でもきっと来るの! 来い~来い~」
    「来ないと思うけど」
    「えー来るもん! お兄ちゃんのいじわる!」
     だってヒト化してるけど僕が怪獣だからね…とは言わないでおいた。
  • 5:41pm · 15 May 2020(習作)

    20200515(金)18:55
    読もうと思ってずっと大事にとってあるとある本はもはや風景と化していてそれに手をつけるのは日常を壊すことと同義、とまでは思わないけどそんなツイートはフィクションなんだなあと本に手を伸ばした瞬間、世界が――
  • 11:19pm · 11 May 2020

    20200515(金)18:54
    滅亡のときはラッパ吹けって神に頼まれたけど僕蟹だしラッパとか吹けないんだよね、困る…でもいいか! 蟹だしハサミカスタネットで勘弁してもらおう!「滅亡!」「カカカッカカカッカカカッ」「待ってそんなんじゃ滅亡しない待って」「カカカッ」「ちょっと蟹ぃ~滅亡延びちゃったでしょ!」
  • 11:14pm · 11 May 2020

    20200515(金)18:54
    「デンデレンレレデンデレンレレ」「なんでそんな曲かけるの」「滅びのときだから!」「滅びのときなの!?」「蟹により人間社会は作り替えられつつある、それh」「まって君そんなキャラだっけ」「……いっけなーい! 遅刻遅刻!」「何に!?」「滅亡ー!」
  • 11:12pm · 11 May 2020

    20200515(金)18:53
    「何を隠そう私は碧眼の!」「碧眼の!?」「蟹!」「えっ」「すごいと思わないか?」「それ生物としての視力とか大丈夫なの?」「蟹は概念だから大丈夫!」「そういうものなの!?」「そういうものだよ、碧眼の蟹かっこいいでしょ」「くっ…かっこいいです…」「ふふん」