マイクロノベル
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終わり
20250401(火)20:59文句が来た。
「最近の投稿には毒がありすぎる」
「最近の投稿には生活感がありすぎる」
どれも身に覚えのあることだったが、三つ目だけは何だと思った。
「もっとファンタジーな小説家を目指してはどうか」
ファンタジーな小説家とは?
妖精でも目指せば良いのか?
「意味のわからないこと言ってる」
何かが告げる。
もう終わりだ、と。
エイプリルフールは終わりだと。知り合い
20250314(金)20:46「あんたあの子の知り合いだって?」
「そうですが、それが何か」
「あんたの知り合い名乗ってあの子が私に失礼をしたのよ」
「ああそれはあの子の常套手段ですね、知り合いを名乗って失礼するのは」
「でも実際知り合いなんでしょ」
「そうですよ」
「あの子すごく嫌な子ね」
「それには同意しかねますが、失礼な態度を取ったというのは事実、知り合いとして謝罪いたします」
「知り合いってだけなのに随分親切するじゃない」
「知り合いですからね。それに」
「それに?」
「まあ、腐れ縁ですよ」なぜか飛んでくるから
20250302(日)21:04「なぜか飛んでくるから」
「何が?」
「信者ファンネルかな…」
「その言い回し、古いって自覚はある?」
「あるわけではないが、ないわけでもない」
「そうやって煙に巻くの君の悪い癖だよ、僕以外にはやってない?」
「やってるかもしれないし、やってないかもしれな……うっ」
「ほらまたやった」
「*純文スラング*」
「会話文なのに…」「明日が休みになってくれ高校 校歌!」
20250220(木)19:37「明日が休みになってくれというのは受動的で感心しないね」
「そんなこと言っても俺は受動的な人間なんだから仕方ないだろ。やってる娯楽もテレビにSNSの見る専とほら見ろとても受動的、受動的で何が悪い? 人間はそもそも受動的に流れる生き物なんだ」
「能動的に考えることこそが価値であり理性さ」
「賛成できないね、理性なんて使い古されてカビの生えた概念だろ」
「君そのヒートアップするとものをディスる癖なんとかならないの」
「ならん。今の俺は機嫌が悪いんだ」
「明日休みになってほしいの?」
「ああ」
「じゃせめて明日を休みにしよう高校にしたら?」
「明日を休みにしよう高校 校歌!」
校歌を歌って、めでたしめでたし。
己と向き合う
20250208(土)20:46「己と向き合いたくない、向き合うと心の傷が開くから」
「心の傷って言葉ちょっと古いんじゃない?」
「そんなことはない、現役だろ」
「古いよ」
「その新しい古いっていうのやめないか? 古い方が劣っていて新しい方が良いっていう、その、嫌だよその考え方」
「フフフ」
「なんだよ」
「じゃあ君が己と向き合うのを助けてさしあげましょう」
「え、いらない……嫌なものは嫌だ」
「あ…そう…」
(おわり)いやな夢
20250201(土)22:03毎日いやな夢を見ます。空が落ちてくる夢。夢の中では身体が重く、どこに行こうと逃げられません。空を飛ぼうとするのですが、その空が落ちてくるのではどうにもなりません。右往左往する人の群れ。そうして私は消えました。空になって、消えました【蟹】お絵描きマン
20250117(金)19:05「みんな絵を丁寧に描いてるなあ」
「そうだね」
「手寧に描かないやつには絵を描く資格が無いのかな」
「それは違うよ!」
「えっなんで」
「どんな描き方をしようと自由! 絵は自由にやればいい」
「そうかなあ……」
「そうだよ。さ。うどんでも食べて落ち着こう」
「うん……」
そうして俺と蟹はうどんを食べた。【蟹】深夜の民
20250117(金)01:21「深夜の民よ鎮まり給え」
「んなこと言って夜更かしは身体とメンタルに悪い科学的根拠を並べ立てるんだろ」
「ぎくうっなぜわかった」
「蟹のような手合いはすぐそういうことする。俺たちはなあ、好きで夜更かしをしてるんじゃないんだよ。夜更かしをせずにはいられないからしてるんだ」
「ふむふむ」
「?」
「じゃあ僕も!」
「えっ……夜更かしするのか?」
「その通り! 夜更かしをして、深夜の民の気持ちになるよ。今日は朝までオールナイト! うどんを作ってあげましょう!」
「えー俺ラーメンがいい」
「……仕方ないな、特別にラーメンにしてあげる。深夜の民の気持ちを知るために!」
「やったー!」
そして俺と蟹はラーメンを食べた。
蟹が深夜の民の気持ちをわかったかどうかは蟹のみぞ知る。ほらみろ!
20250109(木)22:38「ほら見ろマウント合戦になった」
「それは君がそう思ってるだけじゃないの?」
「わかんないだろ! 俺からしたらなってるんだよ!」
「精神の乱れを検知しました。鎮静モードに移行します」
「えっ何こわい」
「精神の鎮静を確認しました。通常モードに移行します」
「何今の」
「ん〜? ひみつ!」年賀状が来た
20250102(木)19:22「蟹~ッ」
「どうしたの」
「喪中で年賀状が送れないのに年賀状が来た!」
「そういうときは『寒中お見舞い』を返すんだよ」
「そうなんだ!」
「そうなのさ」
「生活の知恵だね!」
「そうかな?」
「そうだよ!」
「そうかあ……」