『青服の日常』より

 視線が怖い奴がいるらしい。
 そう言ったら、バイヤーは少し黙ったあとにそうなんスね、と言った。
 そこで俺の出動時間になったので、その話はそこで終わった。
 俺は視線が怖いとは思わないが、まあ、確かに視線というものは気持ちが悪い。すれ違う奴らがこちらを見ているかどうかとか、視線の向きとか、いちいち気にしてたら吐きそうになるし。
 これは俺のメンタルが弱いだけか? よくわからない。
 バイヤーの反応は芳しくなかったが、あいつも視線を怖いと思ったことがあったりするのだろうか。あったとしても、あいつがそんなことを俺に打ち明けてくれるとは思わないが。
 まあ、そんなことはどうでもいい。
 今一番の問題は突然舞い込んできた小学校の田んぼでやってる稲刈りの手伝い(手作業)で腰がやられないかどうかってことなのだから。



 一コマ漫画。俺はやっぱり腰をやられた。ドクターからもらった湿布を貼ろうとして身体が硬くて届かなくて困っていたらバイヤーが何やってるんスかと言って俺の手から湿布を取って貼ってくれた。
 優しくないか?
 バイヤーの顔をじっと見ていたら何スかと聞かれたのでいやお前意外とかわいい顔してるなと思って、と言ってしまってから失言だったと気付いてやっぱり何でもないと答えた。
「かわいい顔で悪かったッスね」
「悪くはないと思う」
「ハイハイ」
「むしろいいと思う」
「はあ?」
「いややっぱ今のなしで」
 バイヤーは一つ息をつき、今日のアンノウンさん失言多いッスね、と言って笑った。
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