短編小説

「あけおめあけおめー!」
「うわっ誰だお前」
「やだなー君の『友達』でしょ?」
 こんな友達いたか? っていうか友達? いや……
「俺、友達とかいないんだが……」
「いなくても僕は君の友達だよ、残念ながら」
「残念ながらって何だよ」
「まあともかくあけおめってこと。今年からよろしく」
「今年からって……あ、お前ひょっとして『一月』か!?」
「ぴんぽーんあたりー。一月は君の友達! さらっと来てさらっと去る!」
「嫌だなあ……」
「なんで嫌なの!」
「去るくらいなら来ないでくれよ……」
「季節は過ぎゆくもの、だからこそ美しいんじゃないか!」
「自分で美しいとか言うな」
「いいもーん僕は美しいもーん」
「はあ……おせち食べるか?」
「食べるー!」

(1月拍手・『一月』)
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