短編小説

>2020/8/31

「最終日になってしまった」
「何お前、昨日までとうってかわって落ち着いてんな」
「落ち着かざるを得ない…お前を笑って見送るためには…落ち着かないと…」
「おいおい無理すんなよ…」
「無理なんか…」
「とりあえずポカリ飲めポカリ」
「むぐぐ」

>2020/8/31
>23:59

「8月……8月……」
「泣くなよ、熱中症になる」
「8月ぅ……」
「俺が行っても達者でな」
「……」
「じゃあ、また」

>0:00

 そう言って、8月は消えた。


>2020/9/1
>0:01

「8月……」
「8月くんの言ってた子ってキミ? 噂通りめっちゃ暗い顔してるー!」
「きみは」
「僕は9月!」
「8月は……」
「現世から月々待機所に戻ったよ。今年のあいつの実体は消えたけど来年もまた来るし、そんなに落ち込まないで」
「でも来年の8月は同じ8月じゃ……」
「んー、僕たちからしたら同じなんだけど、困ったな……そうだ。はい!」
「これは?」
「焼き芋! 食べるといいよ」
「え、なんで」
「おいしいよ」
「…………!」
「ね?」
「おいしい」
「ははは、よかった」
「9月……」
「何?」
「よろしく」
「……うん!」
33/190ページ
    スキ