短編小説

 世界でたった一人だけになるのは寂しい。
 そう言ってお前は俺だけ残し、旅立った。
 ふざけるにもほどがある。たとえ世界が終わろうが二人で生き続けるって、あれはそういう約束だったのに。
 約束を破った者には罰を。それ相応の報いを。
 世界の欠片を積み上げて、積み上げて、お前を作る。
 組んでも組んでもまだ足りない。こんなものでは罰にはならない。
 終わりのない「創作」をずっと一人で続けている。
 組んで、組んで、組んで、組んで、いつになったらお前は帰ってくるのだろうか。
 それでもやめる気にはなれない。お前が帰ってこないから。
 そう、これは復讐なんだ。俺を残して旅立ったお前も、勝手に滅んだ世界も、許せないから、組んで、組んで、まがい物だけの楽園を作ってやる。
 帰ってきたら驚くがいいさ。この侵食は既に始まっている。世界が滅んで終わってしまった侵食よりも、俺がしている侵食の方がずっと強いに決まってるじゃないか。
 だから俺は今日も創る、空を、海を、雲を、ヒトを、お前を。
 戻ってきても許してはやらない。
 俺がそう決めたから。
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