短編小説(2庫目)

 幼い頃から、夢という夢がなかった。
 子供のころ、俺は親に報告して認めてもらいたい生き物であった。夢を抱いて親に言うたび否定されてきた。
 繰り返して繰り返して、俺には夢がなくなった。
 
 親のせいにしたいわけじゃない。
 今の年齢の癖に親のせいにしてと言われることに異常に怯えている。
 世間体というものを気にしてずっと生きてきたが、今はそこまで気にならない。
 内容のない駄文を脳内で垂れ流すことだけが得意なんだ。
 ストーリーなんてない。なぜなら俺の人生にストーリーが無いから。
 
 書けるものが何もなくなって、俺は袋小路に陥った。
 つまらない、つまらない人生。
 「魂をぶつけて書いてるんじゃありません、淡々と書いている」よく言うよな。俺だってそんな風になりたかったよ。
 このままでは愚痴を言うばかり。
 低温はどこに行ってしまったんだ?
 無い。何も無い。どこに行ったかわからない。俺のざりがにはどこに行った? 居場所はどこに行った?
 
 解散だ。人生解散になった。縄を並べている人を知っている。
 解散だ。俺は解散になった。秘密を逸らしている人を知っている。
 
 一日中眠って、今日も終わり。
6/164ページ
    スキ