短編小説

 ■■さんへ。
 忍者になってから8ヶ月。忍者の修行は大変だけど、楽しいこともいっぱいあります。
 今日はミズグモの術をしようとしたら重心の置き所を間違えて水に落ちました。
 先生が「こんなこともあろうかと」と言ってバスタオルやストーブや色々な器具を使って僕を乾かしてくれました。
 おかげで今夜は暖かく過ごせています。
 忍者の里と言っても旧式ではなく、普通に電化製品とかPCとかがあります。忍者も時代に乗らねばな、というのが師匠の口癖で、忍者サイバー部門とかもあって、なんか普通にホワイトハッカーの訓練をしています。
 僕はPCとかは弱いのでサイバー部門の特訓はあまり得意じゃないんですけど、バックドアを見つける訓練とかしています。難しいです。頭脳派忍者も必要だとか師匠は言いますが、自分がバリバリ肉体派忍者なのに説得力がないです。でも師匠は地味にサイバースキルもあるから何も言えません。
 忍術の修行、体幹がブレブレなのでなかなかうまくいかないこともありますが、師匠や周りの仲間たちがいいストレッチとかマッサージとかしてくれて、だんだん身になってきています。
 忍者が現実になっていいこともあったし、悪いことも……悪いことはあまりありません。
 何の夢か現実になった忍者の夢を僕はこれからも楽しむのかもしれないし、ないとは思うけど、ふと覚めてしまって後悔することもあるのかもしれません。
 でも忍者生活は楽しいし、これからもこんな生活がずっと続いてくれるなら別にいいかな、と思っています。
 長くなってしまいました。
 君も元気で過ごしてください。
 それでは。
 忍者より
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