夏だ! Wkumoみんみん祭・会場
「好きなんだ」
「何が?」
「お前が」
「えっ」
何だこの目の前にいる男(17)は、何を言っているんだ?
目の前にいる男(17)は高校生で、高1のときに出席番号が隣でたまたま意気投合し仲良くなったダチ……っていうか、まあ、親友? 的な?
「……」
黙り込むなよ、気まずいだろ!
「えーと俺のことが?」
「好きだ」
そっかー好きなのかーっていや意味がわからない。俺男だぞ。みたいなのは最近じゃ差別になるらしく、困ったなー俺バッシングされちゃう? 炎上?
「お前は俺にどうしてほしいの?」
ドS彼氏みたいなこと訊いてしまったー! 別にそういうプレイしたかったわけじゃなくて俺もこんなこと慣れてないからテンパってしまってこういうあれをだな……
「どうしてほしい、な」
「……」
「特に考えてなかった」
「考えずに告白したのか」
「した」
考えなしかよー! いや俺だってそれについてはどうこう言える立場じゃない、普段からよく考えずに喋ってるしな、っていうか親友と日常会話するときに熟考してたら会話止まるだろっていうか、そういう人もいるかもしれないけど俺とこいつはそうじゃないっていうかああ俺は何を考えているんだ全くもって意味不明、
「彼氏になるのか?」
また変なことを聞いてしまったー! 何が彼氏だ恥ずかしい! 恥ずかしすぎる!
「そうなるな」
「俺から見たお前は彼氏で、お前から見た俺も彼氏……」
俺の思考がぐるぐるぐるぐる……
「いいのか」
何が?
「彼氏になってくれるのか?」
「そ、そんなことは言ってないだろ!」
「そうか」
なんでちょっと残念そうなんだよ! ってそうか、告白した返答がそうだったらそりゃまあ残念にもなるわなってこういうのは俺の意識が大切になるわけで俺はこいつのことどう思ってるんだってどう? そんなこと考えたこともなかったけど俺は、こいつが、
「お前はどうなんだ」
「どうって……」
「俺のことをどう思っている?」
「……」
「黙るなよ」
なんでちょっと押されてるみたいになってるの!? 話が違う! いや違うも何もない、違わない、押されてるんだよ! 考えろ俺! 返答次第で友人関係壊れかねない!
「どうって、どうって、俺は、この前一緒に花火見に行った時」
「?」
「呼び出されて告白されてるお前を見てさ、」
俺は何を言おうとしているんだ!? でも言いかけたものを途中でやめるわけにもいかねえ! とにかく言ってしまえ!
「それで……、ちょっと嫌だなって思った」
俺ー!?
「なんで?」
訊くよねー! そりゃ訊きますわー! だって言ってる俺もなんで? って思ってるもん! 俺にわかんないことがお前にわかるはずないもんなー! でなんでなんだこれ!? 何か、何だ!?
「なんでってえーとそれは……ずっと一緒にいたかったから」
どういうことなんだ俺、ずっと一緒に!? 誰と!? お前と!?
「俺と?」
「まあ、そうだな……そう」
そう、独占したくなって、執着して、ふとした仕草に心臓が高鳴って、なんか、なんか、いつからかわからないけど、何かがこう、あれしている、あれってなんだあれって、なんだ!?
「つまり?」
「つまり……まあ、俺はお前のことが好きってことになってもおかしくはない」
おかしくはないとかじゃねーこれたぶん「好き」だな!?
「なるほど」
なるほどって、なるほどって!
「……」
そこで黙るのやめろよ! 無言やめて! 沈黙きついって!
「……ありがとな」
待ってなんで俺の方が告白したみたいな雰囲気になってるの!? おかしくないか!? いやおかしくはないな!?
「これからもよろしくな」
「あ、あー、うん! よろしく!」
俺、声、裏返ってるー!
「帰ろうか」
ナチュラルに手を繋ごうとするんじゃねえ! って俺も嬉しそうに微笑むんじゃねえこの頬が! 頬が! やめろやめてくれ俺は、俺は……お前が……
「好きだーーーー!!!!」
「ああ、わかってる」
わかってるの!? なんで!?
「なんでだと思う?」
フッと笑って見せたお前の顔にドキッとしたなんてそんなことは決してないからな!
「そいつは光栄」
ないからなー!
(おわり)
「何が?」
「お前が」
「えっ」
何だこの目の前にいる男(17)は、何を言っているんだ?
目の前にいる男(17)は高校生で、高1のときに出席番号が隣でたまたま意気投合し仲良くなったダチ……っていうか、まあ、親友? 的な?
「……」
黙り込むなよ、気まずいだろ!
「えーと俺のことが?」
「好きだ」
そっかー好きなのかーっていや意味がわからない。俺男だぞ。みたいなのは最近じゃ差別になるらしく、困ったなー俺バッシングされちゃう? 炎上?
「お前は俺にどうしてほしいの?」
ドS彼氏みたいなこと訊いてしまったー! 別にそういうプレイしたかったわけじゃなくて俺もこんなこと慣れてないからテンパってしまってこういうあれをだな……
「どうしてほしい、な」
「……」
「特に考えてなかった」
「考えずに告白したのか」
「した」
考えなしかよー! いや俺だってそれについてはどうこう言える立場じゃない、普段からよく考えずに喋ってるしな、っていうか親友と日常会話するときに熟考してたら会話止まるだろっていうか、そういう人もいるかもしれないけど俺とこいつはそうじゃないっていうかああ俺は何を考えているんだ全くもって意味不明、
「彼氏になるのか?」
また変なことを聞いてしまったー! 何が彼氏だ恥ずかしい! 恥ずかしすぎる!
「そうなるな」
「俺から見たお前は彼氏で、お前から見た俺も彼氏……」
俺の思考がぐるぐるぐるぐる……
「いいのか」
何が?
「彼氏になってくれるのか?」
「そ、そんなことは言ってないだろ!」
「そうか」
なんでちょっと残念そうなんだよ! ってそうか、告白した返答がそうだったらそりゃまあ残念にもなるわなってこういうのは俺の意識が大切になるわけで俺はこいつのことどう思ってるんだってどう? そんなこと考えたこともなかったけど俺は、こいつが、
「お前はどうなんだ」
「どうって……」
「俺のことをどう思っている?」
「……」
「黙るなよ」
なんでちょっと押されてるみたいになってるの!? 話が違う! いや違うも何もない、違わない、押されてるんだよ! 考えろ俺! 返答次第で友人関係壊れかねない!
「どうって、どうって、俺は、この前一緒に花火見に行った時」
「?」
「呼び出されて告白されてるお前を見てさ、」
俺は何を言おうとしているんだ!? でも言いかけたものを途中でやめるわけにもいかねえ! とにかく言ってしまえ!
「それで……、ちょっと嫌だなって思った」
俺ー!?
「なんで?」
訊くよねー! そりゃ訊きますわー! だって言ってる俺もなんで? って思ってるもん! 俺にわかんないことがお前にわかるはずないもんなー! でなんでなんだこれ!? 何か、何だ!?
「なんでってえーとそれは……ずっと一緒にいたかったから」
どういうことなんだ俺、ずっと一緒に!? 誰と!? お前と!?
「俺と?」
「まあ、そうだな……そう」
そう、独占したくなって、執着して、ふとした仕草に心臓が高鳴って、なんか、なんか、いつからかわからないけど、何かがこう、あれしている、あれってなんだあれって、なんだ!?
「つまり?」
「つまり……まあ、俺はお前のことが好きってことになってもおかしくはない」
おかしくはないとかじゃねーこれたぶん「好き」だな!?
「なるほど」
なるほどって、なるほどって!
「……」
そこで黙るのやめろよ! 無言やめて! 沈黙きついって!
「……ありがとな」
待ってなんで俺の方が告白したみたいな雰囲気になってるの!? おかしくないか!? いやおかしくはないな!?
「これからもよろしくな」
「あ、あー、うん! よろしく!」
俺、声、裏返ってるー!
「帰ろうか」
ナチュラルに手を繋ごうとするんじゃねえ! って俺も嬉しそうに微笑むんじゃねえこの頬が! 頬が! やめろやめてくれ俺は、俺は……お前が……
「好きだーーーー!!!!」
「ああ、わかってる」
わかってるの!? なんで!?
「なんでだと思う?」
フッと笑って見せたお前の顔にドキッとしたなんてそんなことは決してないからな!
「そいつは光栄」
ないからなー!
(おわり)
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