長編『亀のゾンビサバイバルログ』(全26話番外編3話、完結済)
食料食料と思いながら歩いていたら、野犬の群れが現れた。
犬たちは目をぎらつかせながらあっという間に僕たちを取り囲んだ。
「神父、これどうしましょう」
「どうもこうもなかろう」
「絶対襲われますよねこれ」
野犬たちはじりじりと包囲網を詰めてくる。
「甲羅だ」
神父はそう言い残し、街灯の上に跳びあがった。
「たまには一緒に戦ってくれてもいいのにな……」
僕は一番近い犬に甲羅を向けた。
犬が唸る。
僕がジャンプするのと犬たちが飛び掛かってくるのは同時だった。
回転。犬を弾き飛ばす。
回転。犬を切り裂く。
回転。あまりいい感触ではない。
回転をやめるころ、生きた犬はそこには残っていなかった。
「うわ……」
犬は死んでも消えないのか。
「これどうしましょう……あれ? 神父?」
街灯を見上げると、神父はいなくなっていた。
犬の残骸の真ん中に僕一人。
お腹が空いている。
神父はいない。
「こんなものでも食料、か……」
「待ちたまえ」
突然、空から神父が降りてきた。
「あ、神父。今までどこに」
「これを使うといい」
「ピークツー……こんなもの、どこから……」
ピークツーとは野外で使えるガソリン使用カセットコンロ、のようなものの製品シリーズ名だ。カセットコンロよりも強い火力を出せる上にかさばらないため、持ち運びに適している。
「色々あったので持ってきた」
神父が僕の前に置いた鍋の中には各種調味料が入っていた。ドライにんにくまである。
「すごい……」
無言で肉をさばき始める神父。その動きは澱みない。
ややショッキングな映像であることは否定できない。のだが、なんだかそれが幕一つ隔てられたところで行われているようでそこまでショックには感じない、妙な感じだった。
スパイス増し増しの焼肉が完成した。
「自信作だ」
ピークツーの火を止め、鍋の中を見せる神父。見た目は普通の骨付き肉だ。
「食べてみたまえ」
僕は肉を一つ口に入れてみた。
「おいし……犬の臭いがしますね……でもおいしい」
スパイスが効いていた。
犬たちは目をぎらつかせながらあっという間に僕たちを取り囲んだ。
「神父、これどうしましょう」
「どうもこうもなかろう」
「絶対襲われますよねこれ」
野犬たちはじりじりと包囲網を詰めてくる。
「甲羅だ」
神父はそう言い残し、街灯の上に跳びあがった。
「たまには一緒に戦ってくれてもいいのにな……」
僕は一番近い犬に甲羅を向けた。
犬が唸る。
僕がジャンプするのと犬たちが飛び掛かってくるのは同時だった。
回転。犬を弾き飛ばす。
回転。犬を切り裂く。
回転。あまりいい感触ではない。
回転をやめるころ、生きた犬はそこには残っていなかった。
「うわ……」
犬は死んでも消えないのか。
「これどうしましょう……あれ? 神父?」
街灯を見上げると、神父はいなくなっていた。
犬の残骸の真ん中に僕一人。
お腹が空いている。
神父はいない。
「こんなものでも食料、か……」
「待ちたまえ」
突然、空から神父が降りてきた。
「あ、神父。今までどこに」
「これを使うといい」
「ピークツー……こんなもの、どこから……」
ピークツーとは野外で使えるガソリン使用カセットコンロ、のようなものの製品シリーズ名だ。カセットコンロよりも強い火力を出せる上にかさばらないため、持ち運びに適している。
「色々あったので持ってきた」
神父が僕の前に置いた鍋の中には各種調味料が入っていた。ドライにんにくまである。
「すごい……」
無言で肉をさばき始める神父。その動きは澱みない。
ややショッキングな映像であることは否定できない。のだが、なんだかそれが幕一つ隔てられたところで行われているようでそこまでショックには感じない、妙な感じだった。
スパイス増し増しの焼肉が完成した。
「自信作だ」
ピークツーの火を止め、鍋の中を見せる神父。見た目は普通の骨付き肉だ。
「食べてみたまえ」
僕は肉を一つ口に入れてみた。
「おいし……犬の臭いがしますね……でもおいしい」
スパイスが効いていた。