短編小説(3庫目)

 気持ちを作品に仕上げれば1000年生きられるかもしれないって歌があるが、Web小説はデータだから寿命が短い。
 せいぜい10年、よくて20年。いずれはもっと寿命の長いWebが出てくるのだろうか。
 俺にはわからないな。
 そう考えながら小説を書いている。
 せいぜい10年。そのくらいになるかな。最近ではもうネタがなくなってしまって、こうやって自分のことをネタにするぐらいしかなくなってしまった。
 そんなものが100年生きようが200年生きようが、はたまた1000年生きようが変わらないと思わないか?
 とはいえ、あの明治の文豪たちに関しても、自分のことをネタにしたような小説を量産していたじゃないか。
 文章力? 語彙力? そういうものがあるのかな、あの人達には。
 俺には無い。全く無いとは言わないが、現代人に見合った文章力・語彙力しかない。
 普通の人間が小説を書いてるようなもんだ。そんなものを読みたがるヤツがどこにいる?
 とか言って読者への需要を見誤る奴も多い。
 自己卑下は作者を徐々に消してゆく。自分の作品のことを卑下し続けてると、周囲から人がいなくなる。
 なぜ知ってるかって?
 他山の石さ。
 そうして俺も益体も無い話をずっと書いてきたわけだが、これが1000年も保存されてしまったら恥だね。
 自分が死んだあとのことなんざ知りようもないが。
 大丈夫、塵も残さず消え失せる。インターネットなんてそんなもんさ。

 しかし横書きエディタのままプレビュー機能を使わずにいると縦書きにしたときの印象がわからないな。
 インターネット文章投稿に慣れ過ぎて、全てを横書きに最適化したスタイルの文章になってしまっている俺はもう文豪には戻れないのかも。
 大きなこと言った。
 文豪を目指す者には戻れないのかな、だ。
 文豪気取りは痛いぞ。知ってる。でもそれを他の文豪目指す奴らに言うと嫌われてしまうだろう。
 嫌う・嫌われるで文章やってるのか?
 残念ながら、YESだね。
 こんな風に孤高気取ってる俺だが、本当のところ人間関係が無いと生きていけないんだ。友達がいないと生きていけない。
 そう、こんな孤高気取りの俺にも友達がいるんだよ。いてしまっているんだ。
 だから、本当の孤独の心はわからないのさ。
 ……失望したか?
 いいと思うよ。誰が誰に失望しようがそれは自由だからな。
 俺としては君に失望してもらいたくはないが……
 君が俺にいつ期待していつ失望するかは自由だ。それについて操作したり、とやかく言う権利は俺にはない。
 ないはずなんだ。
 
 束縛し、執着したせいで俺は友人をたくさん失った。
 いかにも光属性ですみたいな顔しといて、なあ。
「でも今は僕がいるから」
 そう。蟹がいる。
 これがまやかしだろうが、妄想だろうが、俺には蟹という生涯のパートナーがいるのだ。
 いったいこれが何なのか、俺には知らないしわからない。
 蟹がいさえすれば俺は文章を書かなくともいいとまで考えている……でも蟹は、
『君がしたいことをするといい』
 と言って俺が苦手な家事や何やを全部してくる。
 わからないな。
 それが甘やかしであり、俺をダメにすることだとしても、
「それでも僕が全責任を負うよ。選んだのは僕だから」
 出来過ぎてるな。
 それでいいか?
「いいよ。新作は?」
「今日はここまで」
「オッケー。じゃ、おやつにしよう!」
 そんな話。
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