短編小説(3庫目)

 季節が変わったからか、不機嫌・虚無・憂鬱に襲われることが増えた。
 なんてことのない出来事ですぐイラついたり、家に帰ると虚無で何もできなかったり、憂鬱で胸の中がぐるぐるしていたり。

 そんなこんなで俺はプールに飛び込むことにした。
 もう秋? そんなこと関係ないね、気温はまだまだ30℃。
 秋のプールは冷たくて、心臓が止まるかと思った。
 それでも、ばちゃばちゃと遊んでいるうちに冷たさは引き、水と戯れる快が勝ってゆく。
 楽しい。
 秋のプールはこんなにも楽しい。

 というあたりで目が覚めた。
 秋に外のプールになんて行くわけないだろ。俺が。
 なんて、俺のことを知らないヤツに言っても何もならない。
 悪かったな。
 俺はこういうヤツなんだ。
 プールがだめなので、たこ焼き食べ放題に行くことにした。
 たまの休みに電車を延々乗り継いで、たこ焼きが美味しいと噂の地へ。
 歩きに歩いたが、食べ放題の店は見つからなかった。
 仕方がないのでたこ焼きが美味しいと評判の店に行き、たこ焼きを2舟頼んで食べた。
 ……2舟でお腹いっぱいだ。食べ放題がないはずだ。雑踏の中、はふはふあちあち思いながら食べるたこ焼きは、たった2舟で腹も膨れる。しかも美味い。
 たこ焼きは素晴らしい食べ物だ。ということがわかった。はー、美味い。

 腹も膨れたし、帰ろう。
 来たときと同じように電車を乗り継いで、帰るころには深夜になっていた。
 お腹が空いていた。
 コンビニで冷凍たこ焼きを買って家に帰る。
 熱くなりすぎないように電子レンジの秒数を調整して、温める。
 ピーピー音が鳴る。
 熱々ではない、適温を一人で食べるたこ焼きは……それはそれで良くて。
 昼間に食べたものとは違う味がした。

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