救出編
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『・・・そうだよね、ユーリ』
「?」
微かにだが何処からかリアの声が聞こえたような気がし、ユーリは歩みを止めるとカロルがユーリの方を振り返った
「どうしたの、ユーリ?」
「いや・・。セイ、リアはどの辺りにいるんだ」
「貴族連中が住んでる場所だからもうちょい先だ」
「・・そうか「「「!」」」
途端、何処からかドンっという大きな音が響いてきた
「何!?」
「まさかアレクセイが!?」
「いや、御剣の階梯はまだ先だ」
「それにあそこの音は此処には届かないはずよ」
「あんな高い所の音だったら、此処より外に響くはず」
「じゃあ一体・・・」
「隠れて」
アスラが何かに気が付きユーリ達は近くの部屋に隠れ、少しだけ扉を開けて様子を伺う
「あれは親衛隊?」
「何か騒いどるようじゃの」
何を話しているかまでは聞こえないが親衛隊は何処かに向かって行く
「さっきの音が聞こえた方に向かって行ってるのかな?」
「さあね。でもこれってある意味ラッキーなんじゃない」
「ああ。あいつ等がいなくなったら一気に行くぞ」
「うん」
ユーリの言葉に頷き親衛隊がいなくなると部屋を出て御剣の階梯へと向かい出した
92.誰がために、交差する思い
「う・・・くっ・・」
あれから暫くすると急に息苦しくなった
此処にはアレクセイはいない、だけどさっき見た場所・・多分国の偉い人達しか入れない場所、御剣の階梯でエステルや私の光結界を操作しているだろう
「はぁ・・はぁ、・・・いつ、までも・・こんな所でじっとして、・・られない・・・」
このままじゃ自分の体力もなくなってしまうし、それにさっきの光景で見たエステルが危ない
あのまま力を使わされてしまえばいつか自我を無くしいいように扱われてしまう
そうなれば、エステルが口にしたあの言葉をやらなくてはいけない
それに、あの光景に飛ばされる前に見えた景色と城の外の事が気に掛かり頭の隅から離れなかった
きっとユーリ達はもう此処に来てるはず
「・・・! また、・・あの景色・・・」
そう思っているとまたあの海と神秘的な風景が見えた
(何処の景色なのかは解らない・・・。だけど、この景色って・・何処かで見た事あるような・・・)
「っ!!」
その景色の事を考えていると急に心臓が脈を打ち、それに応えるかのように光結界を作っている聖核から光が発せられる
「きゃああっっ・・・。もう、・・時間がないって事・・・?」
これだけ頻繁に力を制御され始めると言う事はアレクセイがやろうとしてる事が最終段階に入ったのだろうと思った
「早く・・エステルを助けて、あげなきゃ・・・」
そこで呼吸を整え、同じ環境にいて誰よりも心を痛めているエステルの事を思った途端、
『 ―― なら、力を貸してあげましょうか?』
「え?」
何処からかそう声が聞こえた
そして辺りは目映い光に包まれた
*
「ようやく来ましたね」
御剣の階梯を目指し、謁見の間に入ると背後から女性の声が聞こえ振り返ると
「クリティア族!? いえ、貴女は確か・・・」
「帝国騎士団特別諮問官クローム、・・・要するにアレクセイの秘書殿よ」
そこにアレクセイの秘書のクロームがいた
「アレクセイの・・・って事は!?」
「敵!?」
「いいえ違います。・・・少なくとも今は」
「引っかかる言い方だな・・・」
「悪ぃが、こっちは急いでんだ。戦うか、でなきゃ後にしてくんねえかな」
クロームはリタの言葉に否定をし首を横に振り、ユーリ達は疑問を抱き尋ねると今度はクロームがユーリ達を見て尋ねた
「誰が為に貴方達は戦うのですか?」
「え?」
「あの哀れな娘の為ですか」
「哀れだとかあんたに言われる筋合いなんかない!」
「回りくどいねぇ。何が言いたいのよ?」
「あの人が貴方達に何を見たのか分りませんが・・・貴方達があの人を止めてくれるのを願っています」
言うとクロームは立ち去って行き、リタは腕を組んで息を吐きながら言う
「意味不明。ワケ分かんないだけど・・・」
「アレクセイを止めて欲しいって事?」
「さぁな。ま、考えても仕方ねぇ」
「そうね。もう、この先にエステル達はいるのだから」
「のじゃ、止めるなんて生ぬるい。ぶっ倒すのじゃ」
「後はぶっつけってとこかねぇ?」
「そう言うこった。行くぜ!」
言うとユーリ達は歩き出し、クロームの立ち去った所を見ていたセイ、アスラ、ジュディスも少し遅れて後を追い駆けた
静かな廊下に足音が響く
普段なら騎士や貴族、城で働く者達が行き交っているのだが、今はアレクセイと親衛隊、そしてユーリ達と食堂に隠れている下町の住人とルブラン達しかいない
彼等がいる場所からは随分と離れ、更に妙にシンっと静まり返っている城の廊下をクロームは歩いていた
「哀れ、はヒドイんじゃないかしら?」
突如聞こえたその声にクロームは歩みを止め、背後にいるその人物をちらりと見た
「・・・先程の力、まさかとは思いましたが、やはり貴女でしたか」
クロームはそのまま振り返りその人物を見る
「久しぶり・・と言いたい所だけど、今はお互いにゆっくりしてられないわね」
「そうですね。ですが、あの満月の子が哀れなのは違いありません」
「・・・手厳しいわね」
「貴女もそう思っていると思っていましたが」
クロームの言葉に苦笑しそのまま立ち去ろうとしたが、
「・・・あの人の所には行かないのですか?」
そう問われその人物は立ち止まり、背中越しに応えた
「・・・会いたいのは山々だけど、私は私のやるべき事をしなくちゃいけない」
「・・・」
その言葉には何処か寂しさが混ざっていた
クロームは目の前の人物の見えない表情をその背中で感じた
そしてまた一歩踏み出そうとしている時に声を掛けた
「・・彼等の元へ、向かうのですか」
「ええ・・・。私の力が何処まで持つかは解らないけど、それが“彼女”の望みだから。この状態じゃ一緒に行くのは無理かもしれないけれど」
「・・・貴女もあの人と同じように彼等に何かを見たのですね」
「彼等と彼女に、ね。だから今もこうして行動している。 ・・・貴女は貴女の思うように彼に着いててあげて」
「・・・・」
クロームがその人物の名を呼ぼうとしているとくるりと振り返り
「私の事は、あの人には内緒にしててね」
ニコリと微笑み身を翻して駆けて行き、暫くその後ろ姿を見ていたクロームも何処かへと歩いて行った
*
「セイ」
そう声が聞こえ、前を見るとフキが姿を現した
「フキ、どうだった」
「ああ、それが・・・」
セイはそのままフキの所に歩いて行き何か話しを始めた
「何か遭ったの?」
「さっきの騒動が気になったからフキに調べに行って貰ってたんだ」
「!?」
カロルがアスラに尋ねていると急にセイの表情が変わった
「どうかしたのかしら?」
少し険しい表情になったセイを見てジュディスが声を駆けるとセイは振り返りフキと交互にユーリ達に話した
「さっきの騒動、あれはリアがやったものらしい」
「リアが!?」
「どういう事なのじゃ?」
「詳しくは解らないが、親衛隊がもう一人の姫が脱走した!って騒いでてな」
「結界を破って逃げたって事・・・?」
「リアちゃんってそういうのに詳しかったの?」
「リタやアスピオの魔導師ほど詳しい訳じゃないが、多少なら、な・・」
「けど、言霊使い達はエアルに干渉するものには極力近付かないように言い聞かされてるから」
「エアルの影響を受けない為にな」
「じゃあ・・・」
「誰っ!」
話し込んでいると急に足音が聞こえユーリ達は警戒を強め振り返った
続く
あとがき
やっと箱版と違う形に仕上がってきました!
謎もかなり増えてきてww
さ、次回はいよいよエステル救出ですよぉ~!
最初からまた違う形になってるのでお楽しみに♪
2011.05.03